思玲公主(しれいこうしゅ)は燕回楼を忌み嫌い、怜燕児から駙馬の過去の醜聞を聞き、怒りを募らせる。駙馬は秘密が露見することを恐れ、怜燕児の口を封ろうと懐柔を試みる。一方、駙馬は厳子方(げんしほう)を探している最中、張合(ちょうごう)に手を差し伸べるどころか、厳子方(げんしほう)と結託して張合(ちょうごう)を懲らしめようとする。窮地に陥った張合(ちょうごう)だったが、父・張礼(ちょうれい)が兵を率いて駆けつける。混乱の中、御史大夫の懐明公(かいめいこう)が現れ、張礼(ちょうれい)の兵による公堂への乱入と紫袍著用を咎め、弾劾することを宣言する。駙馬は御史に後ろ盾を得て安堵する。

同じ頃、周王(しゅうおう)は銭長史と酒を酌み交わしていた。そこに傅柔(ふじゅう)が衣類を届けに訪れ、周王(しゅうおう)に誘われて同席する。傅柔(ふじゅう)、周王(しゅうおう)、銭文景は国事について語り合い、銭文景の「個人の享楽ではなく、男女問わず国への責任を果たすべき」という言葉に傅柔(ふじゅう)は感銘を受ける。盛楚慕(せいそぼ)の国境警備の選択を理解し、支持するようになる。

厳子方(げんしほう)は駙馬に取り入るため、屋敷に招き、美女と私邸を贈る。駙馬は喜び、結婚を早まったことを後悔する。陸盈盈は梁王府への輿入れを控えており、華やかな婚礼衣装に身を包み、父兄と別れを惜しむ。陸琪(りくき)は妹の将来を心配する。婚礼の夜、梁王は陸盈盈に誓いを立てるが、落紅がないことに気づき激怒し、姦夫の名を問いただす。しかし、入宮の時刻が迫り、梁王は怒りを抑え、陸盈盈と共に宮中へ向かう。その後、傅柔(ふじゅう)は陸盈盈の様子がおかしいことに気づき、心配して声をかけるが、陸盈盈は口を閉ざす。

張礼(ちょうれい)は御史の弾劾により大理寺に拘留される。周王(しゅうおう)は銭文景を長安(ちょうあん)に留めようとするが葉わず、銭文景は趙州へ戻り趙王(ちょうおう)を補佐することを決意する。太子(たいし)は辰辛(しん しん)の送別宴を催し、趙王(ちょうおう)への密書を託す。趙州に戻った辰辛(しん しん)は、銭文景が長安(ちょうあん)で趙王(ちょうおう)の失態を暴露したことを伝える。激怒した趙王(ちょうおう)だったが、再び現れた銭文景は、奸臣の韓鵬茂(かんほうも)と単雲沫(ぜんうんまつ)を趙王(ちょうおう)の傍から追放し、「再び過ちを犯せば皇帝(こうてい)に上奏する」と警告する。趙王(ちょうおう)は怒りを抑え、その場を去る。

諦めの悪い趙王(ちょうおう)は韓鵬茂(かんほうも)と単雲沫(ぜんうんまつ)を密かに呼び出すが、二人が趙州から追放されることを知る。焦った二人は銭文景の排除を提案するが、趙王(ちょうおう)は恐れおののき同意しない。この会話を宿屋の従業員が盗み聞きし、銭文景に報告する。銭文景は迅速に行動し、二人を捕らえる。しかし、趙王(ちょうおう)の幼さを考慮し、奏状には趙王(ちょうおう)の名は記さず、その面目を保とうとする。

国境では、盛楚慕(せいそぼ)が率いる軍は連戦連勝。脱走兵の葉秋朗を捕らえる。葉秋朗は私情で脱走したため、盛楚慕(せいそぼ)は周囲の懇願にも関わらず厳罰に処することを決める。盛楚慕(せいそぼ)の言葉に心を打たれた葉秋朗は罰を受け入れ、彼の幼馴染も罪滅ぼしとして軍営に残り、負傷兵の世話をする。

第34話の感想

第34話は、様々な登場人物の思惑が交錯し、それぞれの運命が大きく動き出す波乱の展開でした。全体的に見て、正義と悪、責任と享楽、愛と憎しみといった対照的なテーマが描かれており、見応えのあるエピソードだったと言えるでしょう。

まず、傅柔(ふじゅう)の成長に注目です。これまで宮廷内の権力争いに巻き込まれながらも、持ち前の明るさと機転で乗り越えてきましたが、今回は銭文景との出会いを通して、国への責任という大きなテーマに目覚めます。盛楚慕(せいそぼ)の戍邊の決断を理解し、支持するに至った彼女の姿は、一人の女性としての成長を感じさせ、感動的でした。

一方、駙馬の愚行は目に余るものがあります。思玲公主(しれいこうしゅ)の怒りを買い、さらに厳子方(げんしほう)に籠絡される様は、自業自得とはいえ、滑稽であり、同時に哀れでもあります。彼の行動は、権力と享楽に溺れる人間の末路を象徴しているかのようです。

また、趙王(ちょうおう)と銭文景の対立も激化していきます。趙王(ちょうおう)の幼稚さと無責任さ、そして銭文景の忠誠心と責任感の対比が鮮明に描かれており、今後の展開がますます気になります。特に、銭文景が趙王の面目を保とうとする優しさは、彼の高潔な人格を際立たせています。

つづく