陸盈盈は明るい表情で実家に戻り、父・陸雲戟と兄・陸琪(りくき)に梁王府での暮らしぶりを語り、特に梁王の厚遇を強調した。陸雲戟は娘の幸せそうな顔を見て、疑念を抱きながらも一旦は彼女の言葉を信じた。しかし、陸琪(りくき)は妹の様子に違和感を覚え、不安な表情を浮かべる。盈盈の乳母も彼女の身を案じ、王府に同行して世話を申し出るが、盈盈は迷惑をかけたくないと言って断った。

だが、梁王府の真実は全く異なっていた。梁王は人前では盈盈に王妃としての待遇を与えているものの、私室では彼女に華やかな衣装を脱がせ、宮女の服を著せて、自分や他の女の世話までさせていたのだ。盈盈はこの屈辱を誰にも言えず、一人で耐えていた。

一方、妹の境遇を心配する陸琪(りくき)は、梁王に近づき、貴重な虎の鞭や文鎮を贈り物として献上し、媚びへつらうことで盈盈への待遇改善を願った。しかし、その努力は報われそうにない。

それと時を同じくして、錢文景(せんぶんけい)は奏状で趙王(ちょうおう)の名前こそ出さなかったものの、密告によって皇帝(こうてい)の耳に入り、大問題へと発展する。激怒した皇帝(こうてい)は錢文景(せんぶんけい)と趙王(ちょうおう)を都に呼び出した。趙王(ちょうおう)は錢文景(せんぶんけい)の仕業と思い込み、辰辛(しん しん)たちに煽られて恐怖に駆られ、病を理由に上京を拒否し、ついには錢文景(せんぶんけい)を殺害してしまう。この行動は韓鵬茂(かんほうも)や単雲沫(ぜんうんまつ)たちの怒りを買い、彼らは趙王(ちょうおう)に挙兵を促し、ついに趙王(ちょうおう)は謀仮を決意する。

この知らせは長安(ちょうあん)にも届き、皇帝(こうてい)と周王(しゅうおう)は激怒する。周王(しゅうおう)は自ら討伐に向かおうとするが、太子(たいし)は彼の動揺を理由に止め、代わりに陸琪(りくき)を推薦する。皇帝(こうてい)は顔妃(がんひ)の前で趙王(ちょうおう)への失望を露わにする。周王(しゅうおう)は師の仇を討てない無念さを酒で紛らわそうとし、傅柔(ふじゅう)は彼の傍らに寄り添い、共に杯を交わす。傅柔(ふじゅう)は盛楚慕(せいそぼ)を討伐軍の将に推挙することを提案し、周王(しゅうおう)は迷いながらも彼女の意見を受け入れ、皇帝(こうてい)に奏上する。皇帝(こうてい)は盛楚慕(せいそぼ)と陸琪(りくき)を派遣することを決定するが、太子(たいし)は韓王(かんおう)を総大将に推薦し、趙王を利用して韓王(かんおう)の名声を落とそうと画策する。

皇后(こうごう)は太子(たいし)の行動を知り、厳しく叱責するが、太子(たいし)は真意を説明する。商界で成功を収めている馬海妞(ば かいちゅう)は、陸盈盈の梁王府での境遇を知り、すぐに厳子方(げんしほう)に伝える。厳子方(げんしほう)は罪悪感に苛まれ、馬海妞(ば かいちゅう)に梁王府の動向を探り続けるよう命じる。

趙王謀仮の知らせは後宮にも届き、西妃(せいひ)は絶望のあまり食事を拒み、自害を図ろうとする。傅柔(ふじゅう)は皇后(こうごう)が趙王の命を奪うことを禁じていること、そして盛楚慕(せいそぼ)が必ず趙王を守ると信じることを伝え、彼女を励ます。しかし、西妃(せいひ)は趙王の頑固さと運命を案じ、不安な気持ちを抱えたままだった。

こうして両軍が対峙し、国と一族の命運をかけた戦いが幕を開けようとしていた。それぞれの登場人物の運命は、この権力闘争の中で大きく揺れ動こうとしていた。

第35話の感想

第35話は、それぞれの登場人物の思惑が複雑に絡み合い、緊張感が高まる展開でした。特に印象的だったのは、陸盈盈の置かれた状況と、それを知らない家族の対比です。幸せそうに振る舞う盈盈と、彼女の身を案じる家族の姿は、見ていて胸が締め付けられました。梁王の冷酷さと盈盈の苦悩が鮮明に描かれており、今後の展開が非常に気になります。

また、趙王の謀仮は、物語全体を大きく揺るがす出来事と言えるでしょう。周りの人物に唆され、追い詰められていく趙王の姿は、悲劇的でありながらも、どこか人間味を感じさせます。彼の決断がどのような結末を迎えるのか、目が離せません。

つづく