盛楚慕(せいそぼ)と陸琪(りくき)率いる大軍は破竹の勢いで趙州城に迫る。陸琪(りくき)の猛攻に趙王(ちょうおう)は敗走を重ね、東門を唯一の脱出口と見定めるも、盛楚慕(せいそぼ)の待ち伏せに遭う。盛楚慕(せいそぼ)は自ら東門を守り、矢文で降伏すれば危害を加えないと約束し、韓鵬茂(かんほうも)による食糧私売と城内の食糧不足を暴露する。この計略は功を奏し、趙州城は戦わずして降伏、盛楚慕(せいそぼ)は血を流さずに城を占領する。

落城後、自害を企てる趙王(ちょうおう)に対し、盛楚慕(せいそぼ)は機転を利かせ、西妃(せいひ)の安否を盾に、趙王(ちょうおう)が死ねば西妃(せいひ)も助からない、皇帝(こうてい)に自ら事情を説明すれば西妃(せいひ)は無事だと説得する。西妃(せいひ)を案う趙王(ちょうおう)は説得に応じ、自害を断念し、捕虜となる。

一方、陸琪(りくき)は盛楚慕(せいそぼ)と残党追討を協議するが、密かに盛楚慕(せいそぼ)の注意をそらし、傅濤(ふとう)に趙王(ちょうおう)府への潜入と太子(たいし)書簡の捜索を命じる。辰辛(しん しん)の奇襲を知った盛楚慕(せいそぼ)は、危険を顧みず韓王(かんおう)の救援に向かう。二人は陸琪(りくき)の援軍到著まで奮戦し、形勢不利と見た辰辛(しん しん)は逃走する。

長安(ちょうあん)では、皇帝(こうてい)が秋の実りを祝う宴を催す。流言を耳にし、気分が沈んだ陸盈盈は一人で河辺を散策する。慰めようとする厳子方(げんしほう)に、陸盈盈は無理な要求をし、厳子方(げんしほう)はそれを拒否する。二人の微妙な関係は、陸盈盈の負傷により一時中断される。

遠徴中の陸琪(りくき)を案じる傅音(ふいん)は、陸琪(りくき)への愛と母への復讐心の葛藤に苦しむ。母に祈りを捧げ、陸琪(りくき)の無事の帰還を復讐を諦める契機とする。陸琪(りくき)凱旋の報に、傅音(ふいん)は喜びと葛藤の入り混じる複雑な心境となる。

傅柔(ふじゅう)は皇后(こうごう)に西妃(せいひ)の様子を報告するため入宮する。そこに居合わせた秦王(しんおう)にせがまれ、荊軻刺秦の故事を語り、正道を歩むよう諭す。皇后(こうごう)は傅柔(ふじゅう)を褒め、秦王(しんおう)に師として敬うよう命じる。傅柔(ふじゅう)は光栄に思う。

韓王(かんおう)、盛楚慕(せいそぼ)、陸琪(りくき)は帰京し、皇帝(こうてい)は韓王(かんおう)の功績を称え「賢」の字を賜り、陸琪(りくき)にも褒美を与える。辺境に戻ろうとする盛楚慕(せいそぼ)は皇帝(こうてい)に引き留められ、玄武将軍に任命され玄武門の守備を命じられる。下城後、周王(しゅうおう)から盛楚慕(せいそぼ)の帰還を知らされた傅柔(ふじゅう)は、顏妃の香囊の修理を頼まれる。その場面を目撃した盛楚慕(せいそぼ)は、傅柔(ふじゅう)に話しかけることなく憤然と立ち去る。

皇帝(こうてい)は趙王(ちょうおう)を見舞い、趙王(ちょうおう)は深く後悔し涙を流す。皇后(こうごう)は皇帝(こうてい)に趙王(ちょうおう)の赦免を勧める。しかし、趙王(ちょうおう)が死士と結託し謀仮を企てたことを示す書簡が届けられ、太子(たいし)が黒幕として名指しされる。激怒した皇帝(こうてい)は太子(たいし)を問い詰めるが、韓王(かんおう)と傅柔(ふじゅう)の嘆願により、皇帝(こうてい)は太子(たいし)に機会を与える。続いて西妃(せいひ)の処分を決めようとする皇帝(こうてい)に対し、傅柔(ふじゅう)は再び西妃(せいひ)を擁護し、勇気と正義を示す。

陸琪(りくき)は帰府後、厳子方(げんしほう)の屋敷に潜入させていた密偵が露見し、厳子方(げんしほう)が洪義徳(こうぎとく)を捕らえたことを報告しなかったことに激怒する。書房の出入りを厳しく調査させ、真相究明と再発防止に動く。

第36話の感想

第36話は、趙州城の陥落とその後の波紋、そしてそれぞれの登場人物の複雑な感情が交錯する濃密なエピソードでした。盛楚慕の機転と知略によって趙州城は戦わずして開城し、自害しようとする趙王(ちょうおう)を西妃(せいひ)への愛を盾に説得する場面は、彼の冷静さと人間味を感じさせました。一方、陸琪(りくき)は残党狩りを口実に、密かに太子(たいし)関連の証拠を探させており、彼の腹黒さが際立っています。二人の対比が今後の展開を闇示しているようで、目が離せません。

長安(ちょうあん)では、秋の実りを祝う宴の裏で、陸盈盈と厳子方(げんしほう)のぎこちないやり取りや、傅音(ふいん)の陸琪への複雑な想いが描かれ、それぞれの恋模様の行方も気になります。傅柔(ふじゅう)は、秦王(しんおう)への諫言や西妃(せいひ)への擁護など、常に正義感と勇気を示し、その凛とした姿が印象的でした。盛楚慕の帰還と、周王(しゅうおう)とのやり取りを目撃した彼の複雑な表情は、二人の関係に新たな波乱を予感させます。

最後に明らかになった趙王(ちょうおう)謀仮の証拠と、太子(たいし)への疑惑は、物語を大きく揺るがす展開です。韓王(かんおう)と傅柔(ふじゅう)の嘆願によって太子(たいし)は一度は救われますが、この事件が今後どのような影響を及ぼすのか、非常に興味深いです。それぞれの思惑が複雑に絡み合い、緊張感が高まる第36話でした。

つづく