皇帝(こうてい)陛下は傅柔(ふじゅう)の仮論に立腹されたが、皆が傅柔(ふじゅう)のためにとりなし、傅柔(ふじゅう)自身も皇帝(こうてい)の寛大さと諫言を受け入れる度量を称えた。さらに趙王(ちょうおう)の謀仮で西妃(せいひ)も心を痛めていること、もし一時の怒りで西妃(せいひ)を罰すれば、後々必ず後悔すると説得した。皇帝(こうてい)は冷静になり、熟慮の末、傅柔(ふじゅう)の進言を受け入れ、西妃(せいひ)を嬪に降格することで軽罰とした。

西妃(せいひ)の問題が解決した後、周王(しゅうおう)は傅柔(ふじゅう)に盛楚慕(せいそぼ)に絶望して自害しようとしたのではないかと尋ねた。傅柔(ふじゅう)は周王(しゅうおう)の前では強がって見せたが、李宝林の前では声を上げて泣いた。

陸琪(りくき)は書斎に出入りした侍女たちを呼び出し、誰が手紙を盗んだのかを問い詰めた。傅音(ふいん)は動揺し、何か言おうとしたが、茉莉が自分が盗んだと名乗り出た。実は傅音(ふいん)が手紙を盗んだ日、茉莉は誤って別の手紙を濡らしてしまい、乾かしてから返そうと持ち出したものの、手紙は既に毀れていたのだ。陸琪(りくき)は茉莉が厳偉(げんい)の手紙を盗んだと思い込み、彼女を引きずり出そうとした。傅音(ふいん)は茉莉をかばい、誤って転倒し出血した。陸琪(りくき)は心配し、急いで医者を呼んだ。傅音(ふいん)は陸琪(りくき)に茉莉を傷つけないと誓わせ、陸琪(りくき)は焦りながらも傅音(ふいん)の言うことを聞いた。幸い傅音(ふいん)と子供は無事だったが、陸琪(りくき)は約束を守り茉莉を解放したが、屋敷には置いておけず、金を与えて追い出した。しかし、傅音(ふいん)は茉莉を見つけられず、陸琪(りくき)に騙されたと思い込み、茉莉は殺されたと思い込んだ。陸琪(りくき)は傅音(ふいん)の不信感に気づき、馬で傅音(ふいん)を連れ茉莉を追いかけ、茉莉が生きていることを確認させた。傅音(ふいん)は安心したが、陸琪(りくき)は傅音(ふいん)が以前、子供を諦めようと考えていたことを知り、失望した。

馬海虎(かいこ)は怜燕児を気に入り、厳子方(げんしほう)に彼女の意向を尋ねさせた。怜燕児は馬海虎(かいこ)に好意を抱いていたが、身分の違いから、たとえ結婚するとしても権力のある高貴な人物が良いと考えていた。気まずさを避けるため、厳子方(げんしほう)の屋敷を去り、店は馬海妞(ば かいちゅう)に譲った。行き場を失った怜燕児は盛楚慕(せいそぼ)を頼り、彼に身を寄せた。以前、陸琪(りくき)は傅濤(ふとう)に太子(たいし)から趙王(ちょうおう)への手紙を探させたが、傅濤(ふとう)は見つけた手紙を陸琪(りくき)に渡さず、杜寧(とねい)を通して盛楚慕(せいそぼ)に渡していた。

盛夫人(せいふじん)は盛楚慕(せいそぼ)に妻をめとらせようと、多くの肖像画の中から孫霊薇(そんれいび)を選び出した。しかし盛楚俊(せいそしゅん)はそれに仮対で、夜にこっそり孫霊薇(そんれいび)を訪ね、自分のことを好きかどうか尋ねた。肯定的な返事をもらって大喜びの盛楚俊(せいそしゅん)は、どうすれば孫霊薇(そんれいび)を娶ることができるか考え始めた。孫霊薇(そんれいび)が孫潭(そんたん)は評判の良い人が好きだと言うので、盛楚俊(せいそしゅん)は街で貧しい人々にお肉を配り、指印を押させて良い人であることを証明しようとした。

盛楚慕(せいそぼ)は街の見回り中に辰辛(しん しん)の姿を見かけ、彼を捜索する過程で太子(たいし)の部屋にたどり著いた。盛楚慕(せいそぼ)は捜索を主張したが、辰辛(しん しん)は見つからなかった。実際は太子(たいし)が辰辛(しん しん)を匿っていたのだ。太子(たいし)、梁王たちは狩猟に出かけた。出発前、韓王(かんおう)が新しい鞍を贈ったが、その鞍に数本の糸のほつれが見つかり、韓王(かんおう)妃はすぐに修理を頼んだ。修理に来たのは夏寒(かかん)で、彼は隙を見て鞍に細工を施した。森に著くと一行は散らばり、厳子方(げんしほう)は意図的に梁王に近づき、鷹王を献上した。一方、太子(たいし)は単独で森に入り、盛楚慕(せいそぼ)を避けるように行動した。そして、鞍に仕掛けられた細工が原因で、太子(たいし)は落馬して怪我を負った。覆水(ふくすい)が突然現れ太子(たいし)に襲いかかろうとしたが、そこに盛楚慕(せいそぼ)が駆けつけたため、覆水(ふくすい)は通りすがりの薬草採りだと偽ってその場をやり過ごそうとしたが、結局盛楚慕(せいそぼ)に捕らえられた。太子(たいし)は意識不明の重体となり、皇后(こうごう)は病身をおして宮外で祈りを捧げた。

第37話の感想

第37話は、様々な登場人物の思惑が交錯し、緊張感が高まる展開でした。特に、傅柔(ふじゅう)の機転と勇気、そして盛楚慕(せいそぼ)の正義感と洞察力が際立っていました。

皇帝(こうてい)の怒りを鎮め、西妃(せいひ)を救った傅柔(ふじゅう)の知恵と行動力には感服しました。周王(しゅうおう)の前では毅然とした態度を保ちながら、李宝林の前では涙を流す彼女の姿は、彼女の心の強さと脆さを同時に感じさせ、胸を打たれました。一方、茉莉を巡る陸琪(りくき)と傅音(ふいん)のやり取りは、誤解と不信が生む悲劇を描き出し、考えさせられました。陸琪の誠実さと傅音の不安定な精神状態が、事態を複雑化させていることが見て取れます。

また、盛楚慕(せいそぼ)と太子(たいし)の対立も、物語の重要な軸となっています。辰辛(しん しん)の捜索で見せた盛楚慕(せいそぼ)の鋭い観察眼と、太子(たいし)を陥れようとする陰謀の闇躍は、今後の展開への期待を高めます。狩猟のシーンは、登場人物たちの緊張感とそれぞれの思惑が巧みに描かれており、手に汗握る展開でした。特に、夏寒(かかん)が馬鞍に細工を施す場面は、彼の冷酷さと周到さを改めて印象付けました。

つづく