皇后(こうごう)は東宮正殿にて、太子(たいし)を厳しく問い詰めていた。最近の太子(たいし)周辺で起こった騒動の数々についてである。太子(たいし)は仕方なく釈明する。梁王を東宮に招き、友好を示すつもりだったのだ、と。そして、東宮の警備兵を一時的に梁王の指揮下に置いたのだが、盛楚令(せいそれい)が公然と命令に背いた、と。傍にいた侍衛が慌てて説明を加える。梁王の気まぐれで、警備兵たちに真剣での組手をさせようとした、盛楚令(せいそれい)は梁王がすでに怪我をしているのを見て、命令違仮を承知で止めに入ったのだ、と。皇后(こうごう)はすぐに盛楚令(せいそれい)を治療させに連れて行かせたが、太子(たいし)は盛楚令(せいそれい)への処罰を主張し続けた。

その時、傅柔(ふじゅう)が盛楚令(せいそれい)を庇って前に出た。梁王の命令は道理に合わぬ乱命であり、聖人の教えに従えば、乱命は受けなくてもよい、と主張した。梁王は不快感を露わにしたものの、仮論できなかった。皇后(こうごう)も梁王の軽率な行動に不満を抱き、府に戻って謹慎するように命じ、皇帝(こうてい)がこの件を必ず問いただすだろうと釘を刺した。梁王は渋々立ち去った。

皇后(こうごう)は今度は太子(たいし)を叱責した。東宮の秩序を乱したと非難する。太子(たいし)は腑に落ちない様子で、今では東宮の警備兵すら指揮できないと不満を漏らし、怒って出て行った。孫霊淑(そんれいしゅく)は太子(たいし)に付いて行こうとしたが、皇后(こうごう)に引き留められ、個別に説教された。皇后(こうごう)は、太子(たいし)と韓王(かんおう)の不仲を煽り立て、キン楠公主(きんなんこうしゅ)がいじめられていることにも無関心だったと、孫霊淑(そんれいしゅく)を厳しく叱った。そして、今後また同じようなことがあれば、厳罰に処し、東宮から追放することもあると警告した。

皇后(こうごう)が去った後、傅柔(ふじゅう)は孫霊淑(そんれいしゅく)の境遇に同情し、皇后(こうごう)の対応は厳しすぎると感じた。しかし皇后(こうごう)は、皇族の家庭の和を保つことが何よりも重要であり、必要であれば皇子の妻を取り替えることもあり得ると考えていた。孫霊淑(そんれいしゅく)は叱責を受けたものの、自分の過ちに気づかず、他人のせいにしていた。

一方、韓王(かんおう)と韓王(かんおう)妃は皇后(こうごう)に挨拶に訪れた。皇后(こうごう)は韓王(かんおう)妃に子供がいないことを気にしている様子だった。韓王(かんおう)は慌てて王妃を弁護した。皇后(こうごう)は太子(たいし)と韓王(かんおう)の関係悪化を憂慮し、韓王(かんおう)に一時的に長安(ちょうあん)を離れることを提案した。傅柔(ふじゅう)は機転を利かせ、韓王(かんおう)に皇后のために奉天観で祈願することを提案し、韓王(かんおう)は渋々承諾した。

その後、皇后はキン楠公主(きんなんこうしゅ)を呼び出した。公主は罰を受けることを恐れ、傅柔(ふじゅう)に助けを求めた。傅柔(ふじゅう)は皇后の前では弱みを見せるように公主に教え、皇族の面目を保つために盛楚令(せいそれい)と結婚させることを提案した。皇后は盛楚令(せいそれい)の酒癖を心配したが、傅柔(ふじゅう)の進言を受け入れ、皇帝(こうてい)にこの件を提案することにした。

同じ頃、孫霊薇(そんれいび)は姉の孫霊淑(そんれいしゅく)に陸琪(りくき)と結婚したくないと打ち明け、身につけているお守りは福安寺でもらったものだと話した。孫霊淑(そんれいしゅく)は異変を感じ、問いただすと、孫霊薇(そんれいび)が盛楚俊(せいそしゅん)と親しくしていることが分かり、怒り心頭に発した。ちょうど韓王(かんおう)妃から贈り物があったが、怒りの収まらない孫霊淑(そんれいしゅく)は贈り物を捨てさせた。覆水(ふくすい)はこの機に乗じて皇后と孫霊淑(そんれいしゅく)の関係を悪化させようと画策した。

一方、陸琪(りくき)は傅音(ふいん)に結婚が決まったことを告げた。傅音(ふいん)は内心動揺していたが、平静を装った。二人は話し合い、和解し、生まれてくる子供に善児(ぜんじ)と名付けることにした。

盛楚俊(せいそしゅん)は、キン楠公主(きんなんこうしゅ)と盛楚令(せいそれい)の結婚が決まったことを兄に伝え、自分も孫霊薇(そんれいび)と結婚すると嬉しそうに話した。しかしその夜、孫霊淑(そんれいしゅく)からもらったナツメの菓子を食べた孫霊薇(そんれいび)は急死してしまう。実はその菓子は韓王(かんおう)妃からの贈り物で、孫霊淑(そんれいしゅく)が孫霊薇(そんれいび)に渡したものだった。それがまさか毒入りだったとは誰も予想だにしなかった。太子(たいし)は悲しみに暮れ、孫霊淑(そんれいしゅく)を連れて皇后に詰め寄った。皇后は激怒し、傅柔(ふじゅう)の製止も聞かず、韓王(かんおう)妃を死罪に処そうとした。傅柔(ふじゅう)はなんとか逃げ出し、周王(しゅうおう)に助けを求めたが葉わず、次に顔妃(がんひ)に助けを求めたがそれも拒否された。そして、韓王妃(かんおうひ)が絶望のうちに毒酒を飲むのを見届けるしかなかった。

第41話の感想

第41話は、まさに嵐の前の静けさ、といった印象でした。一見平和な宮廷の裏で、陰謀が渦巻き、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、緊張感が高まっていくのが手に取るように伝わってきました。特に印象的だったのは、皇后の揺るぎない厳格さと、孫霊淑(そんれいしゅく)の浅はかさと無自覚さです。

皇后は、皇族の体面と秩序を保つために、冷徹とも思える判断を下します。太子(たいし)や孫霊淑への叱責、韓王妃(かんおうひ)への処罰など、その厳しさは見ていて息苦しくなるほどです。しかし、それは彼女が皇族としての責任を深く自覚し、一族の繁栄を何よりも大切に考えているからこそでしょう。彼女の行動は、時に残酷に見えますが、実は深い愛情と責任感の裏返しなのかもしれません。

一方、孫霊淑は、皇后の叱責を受けても、自分の非を認めず、他人を責めるばかりです。その浅はかさには、苛立ちを覚えるとともに、彼女が今後どのような悲劇を招くのかと不安になります。彼女と対照的に、傅柔(ふじゅう)は冷静に状況を判断し、的確な助言を与えようと尽力します。しかし、彼女の努力も空しく、悲劇は避けられませんでした。

孫霊薇(そんれいび)の死はあまりにも突然で、衝撃的でした。韓王妃(かんおうひ)からの贈り物が、思いもよらぬ形で悲劇を招くという皮肉な展開は、見ていて胸が締め付けられました。この事件をきっかけに、宮廷内の権力争いはさらに激化していくことが予想され、今後の展開から目が離せません。

つづく