軍営では、傅音(ふいん)が陸琪(りくき)に杜寧(とねい)を殺さないよう必死に説得していた。皇帝(こうてい)直属の杜寧(とねい)に手を出せば大変なことになると訴えるが、陸琪(りくき)は戦の非情さを理由に聞き入れようとしない。最終的には、杜寧(とねい)がおとなしくしていれば危害を加えないと約束するにとどまった。

一方、尚宮に昇進した傅柔(ふじゅう)は、何司賛(かしさん)に宮中の規則を厳守するよう釘を刺す。皇后(こうごう)亡き後、後宮の管理を誰が担うかが問題となっていた。皇帝(こうてい)は顔妃(がんひ)を推していたが、傅柔(ふじゅう)は彼女の病弱さを懸念し、経験豊富な王太妃(おうたいひ)を推薦。皇帝(こうてい)はこの提案を受け入れたが、顔妃(がんひ)は不満を募らせる。

掖庭局の新人選抜で、傅柔(ふじゅう)は小鹿(しょうろく)の姿を見つけ喜び、彼女を自分の側近として秦王(しんおう)の教育係に同行させることに。秦王(しんおう)は小鹿(しょうろく)に強い興味を示し、側に座らせて共に学ぶなど、親密な様子を見せる。

その頃、陸雲戟と共に遠徴中の杜寧(とねい)は、盛国の仮乱軍との無益な戦いを避けるため、交渉による解決を提案する。しかし、陸雲戟は戦功を焦り、事態の長期化を望んでいた。洪沢から和平の使者が訪れた際、陸雲戟はその使者を殺害し、仮乱軍の仕業に見せかける。真相に気付いた杜寧(とねい)は皇帝(こうてい)に密告しようとするが、送り出した使者は殺されてしまう。そして杜寧(とねい)自身も、陸雲戟の策略によって仮乱軍に殺されたように偽装され、命を落とす。この知らせを聞いた傅音(ふいん)は悲しみに暮れ、陸琪(りくき)に自分と杜寧の関係、そして陸家に潜入した真の目的を告白する。陸琪(りくき)は衝撃を受け、取り乱す。

禁苑を視察中の傅柔(ふじゅう)は、練兵中の盛楚慕(せいそぼ)と偶然出会い、口論となる。盛楚慕(せいそぼ)は傅柔(ふじゅう)が周王(しゅうおう)に取り入り、韓王(かんおう)妃の死を傍観したと責めるが、傅柔(ふじゅう)は自分にできることはなかったと仮論する。感情が高ぶった傅柔は盛楚慕(せいそぼ)を平手打ちし、その場を去ろうとして転倒する。盛楚慕(せいそぼ)は手を差し伸べようとするが思いとどまり、そこに現れた周王(しゅうおう)が助けようとするも、傅柔はそれを断り、自力で立ち上がって去っていく。宮殿に戻った傅柔に、李宝林は薬を塗りながら盛楚慕(せいそぼ)を諦めるよう諭すが、傅柔の心は揺れ動いていた。

一方、陸盈盈は落ち込んでいる梁王を慰め、彼の機嫌を直す。しかし、そこに現れた厳子方(げんしほう)が梁王の地方への左遷を告げ、梁王は激怒する。また、覆水(ふくすい)が太子(たいし)に献上した烈馬が暴れ、太子(たいし)が危うく大怪我を負うところを、盛楚俊(せいそしゅん)が孫霊淑(そんれいしゅく)を救う。盛楚俊(せいそしゅん)はこれを機に、孫霊淑(そんれいしゅく)に孫霊薇(そんれいび)への想いを伝え、彼女を守ると約束する。

第44話の感想

第44話は、まさに波乱の展開でした。杜寧の無念の死、傅音(ふいん)の悲痛な告白、そして傅柔と盛楚慕(せいそぼ)のすれ違い。それぞれの想いが交錯し、見ているこちらも胸が締め付けられるような思いでした。

特に印象的だったのは、杜寧の最期です。平和を願う彼の誠実な行動が、陸雲戟の野望によって踏みにじられる様は、あまりにも残酷でした。傅音(ふいん)の告白シーンも涙なしには見られません。愛する人の死を目の当たりにし、自らの正体も明かさざるを得なくなった彼女の苦悩は、深く心に響きました。

一方、傅柔と盛楚慕の関係は、さらに複雑さを増しています。誤解と不信感が積み重なり、二人の間には深い溝ができてしまったように感じます。盛楚慕の傅柔への想いは変わらないものの、彼の言葉は傅柔には届かず、二人の距離はますます離れていくばかりです。

また、後宮の権力争いも新たな局面を迎えています。顔妃(がんひ)の不満、梁王の左遷など、今後の展開を闇示する出来事が次々と起こり、目が離せません。

つづく