東宮の一角で、孫霊淑(そんれいしゅく)と覆水(ふくすい)の対峙は張り詰めた空気に包まれていた。毒を盛ったと覆水(ふくすい)に 告発された孫霊淑(そんれいしゅく)は、すぐさま仮論するも、覆水(ふくすい)の冷徹な言葉は氷の刃のように彼女を貫いた。自分が最後に酸棗糕に触れたという事実を突きつけられ、孫霊淑(そんれいしゅく)は全てが覆水(ふくすい)の罠だと悟る。覆水(ふくすい)は玉内侍(ぎょくないじ)との秘密を盾に、彼女を脅迫し口封じを図る。愕然とする孫霊淑(そんれいしゅく)は、覆水(ふくすい)が立ち去る姿をただ見送ることしかできなかった。

この一部始終を屏風の後ろで聞いていた双喜(そうき)は、覆水(ふくすい)が去った後、物音を立ててしまい孫霊淑(そんれいしゅく)に気づかれてしまう。恐怖に慄く双喜(そうき)は、自分が次の犠牲になることを恐れ、孫霊淑(そんれいしゅく)の呼びかけも無視して逃げ出した。そこに盛楚俊(せいそしゅん)が現れ、双喜(そうき)は藁にもすがる思いで全てを打ち明ける。しかし、追いかけてきた孫霊淑(そんれいしゅく)は、双喜(そうき)が盗みを働いたと嘘をつき真相を隠蔽しようとする。納得のいかない盛楚俊(せいそしゅん)は剣を抜いて覆水(ふくすい)に斬りかかるが、逆に謀仮の罪を著せられ、その場で殺されてしまう。複雑な思いを抱く孫霊淑(そんれいしゅく)は、妹の孫霊薇(そんれいび)の孔雀の簪を盛楚俊(せいそしゅん)の手に握らせ、最後の別れを告げた。覆水(ふくすい)の手下は素早く遺体を隠蔽し、全ては再び静寂に包まれた。

一方、梁王府では、梁王が陸盈盈に富と名誉を約束するも、陸盈盈は冷淡な仮応を示す。彼女が真に大切にしているのは、富貴ではなく家族や友人の 安全性だった。梁王は嫉妬心を抱くが、嚴子方は密かに策を巡らせ、正午に届けられる一通の密書を仕込んでいた。

尚礼局の傅柔(ふじゅう)は、宮女の死の調査のため東宮を訪れる。彼女は孫霊淑(そんれいしゅく)の顔の傷と東宮の異様な雰囲気に気づき、問い詰めるも孫霊淑(そんれいしゅく)は言葉を濁す。傅柔(ふじゅう)は、疑念があれば内侍省に報告すると毅然とした態度を示す。覆水(ふくすい)は傅柔(ふじゅう)の真意を探ろうとするが、その行動が東宮の 危機を引き起こす。盛楚俊(せいそしゅん)の遺体が発見され、傅柔(ふじゅう)は足止めされる。嵐の予感が漂い始める。

時を同じくして、韓王(かんおう)府の外では、盛楚慕(せいそぼ)が周到な準備のもと太子(たいし)の襲撃をかわし、辰辛(しん しん)を捕らえることに成功する。また、嚴子方と陸琪(りくき)は複雑な思惑が絡み合う会話を交わす。嚴子方は陸盈盈を人質に、陸琪(りくき)に長安(ちょうあん)を離れるよう説得する。疑念を抱きながらも、陸琪(りくき)は混乱の中、長安(ちょうあん)を去ることを決意する。出発前に傅音(ふいん)と交わした言葉には、愛憎入り混じった複雑な感情が込められていた。

嚴子方はさらに梁王府を訪れ、陸盈盈に嘘を織り交ぜながら愛を囁き、彼女を連れ去ろうとする。彼の すべての言葉は鋭い刃のように、陸盈盈の家族への思いと未来への希望を切り裂いていく。

第46話の感想

第46話は、息詰まる展開の連続で、まさに嵐の前の静けさを感じさせる回でした。それぞれの思惑が複雑に絡み合い、緊張感が高まる中、盛楚俊(せいそしゅん)の死はあまりにも突然で、大きな衝撃を受けました。正義感に燃え、真実を明らかにしようとした彼の最期は、権力闘争の残酷さを改めて突きつけられるものでした。孫霊淑(そんれいしゅく)の苦悩も深く印象に残ります。愛する人を失い、さらに陰謀に巻き込まれ、偽りの証言を強いられる彼女の姿は、見ていて胸が締め付けられるようでした。

一方、梁王府では、梁王と陸盈盈、そして嚴子方の三者関係が新たな局面を迎えています。梁王の歪んだ愛情表現と、陸盈盈の毅然とした態度は、この先の展開を予感させます。嚴子方の真意はどこにあるのか、彼の行動はますます謎めいています。

そして、傅柔(ふじゅう)の鋭い洞察力と正義感は、この物語の希望の光と言えるでしょう。東宮の異変にいち早く気づき、真相を追求しようとする彼女の姿勢は、今後の展開のカギを握っているように感じます。

つづく