盛楚慕(せいそぼ)は傅柔(ふじゅう)が東宮に囚われていると聞き、いてもたってもいられず駆けつけた。傅柔(ふじゅう)の手を取り、「柔児、恐れるな。今回の件は父上が公正に判断なさる。わしはもう一度お前とやり直したい。怜燕児とのことは全て誤解だ」と慰めた。しかし、傅柔(ふじゅう)は涙を浮かべ、言葉を発する代わりに、傍らの箱を指差した。訝しげに近づき、箱を開けた盛楚慕(せいそぼ)は、中に横たわる盛楚俊(せいそしゅん)の姿を見て愕然とし、慟哭する。傅柔(ふじゅう)は彼を抱きしめるが、怒りに燃える盛楚慕(せいそぼ)は孫霊淑(そんれいしゅく)への復讐に走ろうとする。傅柔(ふじゅう)は私刑の危険性を訴え、盛楚慕(せいそぼ)を必死に止めた。ようやく冷静さを取り戻した盛楚慕(せいそぼ)は、復讐を諦めた。

一方、梁王は形勢不利と見て逃亡を図り、陸盈盈を連れて梁王府へ戻ろうとしたが、彼女は既に厳子方(げんしほう)と共に去った後だった。絶望した梁王は追手に追われ、鷹王の密告により捕らえられた。同時に、馬海虎(かいこ)は急ぎ温泉宮へ厳子方(げんしほう)の手紙を届け、太子(たいし)が梁王に唆され韓王(かんおう)を害そうとした陰謀を暴いた。激怒した皇帝(こうてい)は太子(たいし)を深く失望し、即刻帰京を決意、太子(たいし)の印璽を停止する処分を下した。

郊外へ出た陸盈盈は、陸琪(りくき)が無事で長安(ちょうあん)を脱出したと聞き安堵する。しかし、厳子方(げんしほう)から梁王と太子(たいし)の悪事を聞かされても、彼女は梁王にはまだ改心の余地があると信じ、彼を裏切ろうとはしなかった。厳子方(げんしほう)は彼女の考えを理解できず、梁王府に戻ることを防ぐため、彼女を留め置いた。

また、傅音(ふいん)は陸琪(りくき)に家を追い出され、傅濤(ふとう)は善児(ぜんじ)を彼女に返し、憎しみを捨てて子供を育てるよう諭した。しかし、傅音(ふいん)は復讐の辛さを知り、傅濤(ふとう)に同じ道を歩ませまいと、復讐を諦めるよう説得した。

帰京した皇帝(こうてい)を韓王(かんおう)と百官が出迎えた。韓王(かんおう)が無事で皇帝(こうてい)は安堵し、太子(たいし)を保護したことを報告した。韓王(かんおう)が太子(たいし)を傷つけていないと知り、兄弟愛に感銘を受けた皇帝(こうてい)は彼を賞賛した。その後、皇帝(こうてい)は太子(たいし)を召したが、太子(たいし)は精神的に不安定な状態で、孫霊淑(そんれいしゅく)と闕児(けつじ)の命と引き換えに自らの死を望んだ。皇帝(こうてい)は失望を隠せない。

孫霊淑(そんれいしゅく)が捕らえられたと知った盛楚慕(せいそぼ)は尚礼局へ怒り狂って向かうが、傅柔(ふじゅう)の真意を理解せず、彼女が権力のために邪魔をしていると誤解した。二人が言い争う中、韓王(かんおう)が孫霊淑(そんれいしゅく)の部屋から出てきて、彼女の自殺を告げた。盛楚慕(せいそぼ)は深い悲しみに暮れ、韓王(かんおう)と共に去った。

皇帝(こうてい)は孫霊淑(そんれいしゅく)を軽く罰するつもりだったが、彼女の自殺、そして韓王(かんおう)の関与を疑い、怒りのあまり倒れそうになる。顔妃(がんひ)は傅柔(ふじゅう)がその場に居ながら止めなかったと非難する。皇帝(こうてい)は傅柔(ふじゅう)を呼び出し、追及する。傅柔(ふじゅう)は事実を語り、詳細な文書を提出し、自分が孫霊淑(そんれいしゅく)を守ろうと最善を尽くしたが、葉わなかったと説明した。そして、私刑ではなく、孫霊淑(そんれいしゅく)が生きて裁きを受けることを望んでいたと訴えた。皇帝(こうてい)は傅柔(ふじゅう)の公正さと冷静さを認め、彼女の行動を是とした。

第47話 感想

第47話は、怒涛の展開で息つく暇もないほどでした。それぞれの登場人物の運命が大きく揺れ動き、悲劇的な結末を迎える者も少なくありませんでした。特に印象的だったのは、盛楚慕(せいそぼ)の悲痛な叫びと、傅柔(ふじゅう)の静かな涙です。愛する弟を失い、復讐心に駆られる盛楚慕(せいそぼ)の姿は、見ているこちらも胸が締め付けられるようでした。そして、そんな彼を冷静に諭す傅柔(ふじゅう)の強さと優しさは、この物語の光と言えるでしょう。

梁王や太子(たいし)の失脚、孫霊淑(そんれいしゅく)の自害など、物語は大きな転換点を迎えました。権力争いの虚しさ、そしてその中で翻弄される人々の悲哀が、深く心に刻まれました。陸盈盈の梁王への一途な想いは、切なくも美しいものでしたが、同時に彼女の哀れさを感じずにはいられませんでした。

一方、傅音(ふいん)と傅濤(ふとう)の姉弟の物語にも変化がありました。復讐に囚われる傅音(ふいん)と、彼女を救おうとする傅濤(ふとう)。二人の葛藤は、復讐の連鎖の恐ろしさを改めて私たちに突きつけます。

皇帝(こうてい)の苦悩、韓王(かんおう)の思慮深さ、そして顔妃(がんひ)の闇躍など、脇を固める登場人物たちの存在感も光っていました。それぞれの思惑が複雑に絡み合い、物語をより深く、重厚なものにしています。

つづく