梁王は臨終の間際、遺書を残した。その内容は陸盈盈への不満で満ちており、蘇太妃(そ たいひ)への仮抗と病床の太妃への不敬を責めるものだった。陸盈盈は弁明の機会もなく、皇帝(こうてい)も彼女の言葉を言い訳と捉え、梁王の代理として盈盈を廃し、宮廷から追放した。盈盈は悲しみに暮れ、梁王は最期まで自分を恨んでいたのだと嘆く。しかし、親友の傅柔(ふじゅう)は真実を告げる。梁王の行動は盈盈を守るため、宮廷の外で安全に暮らせるようにするための苦肉の策だったのだ。傅柔(ふじゅう)は役目を果たし宮廷へ戻り、皇帝(こうてい)に報告する。皇帝(こうてい)は梁王の真意を理解し、弟の盈盈への深い愛情を汲み取った。
一方、馬海虎(かいこ)は手作りのかんざしを持って怜燕児との再会を心待ちにしていたが、彼女は約束の場所に現れず、海虎(かいこ)は落胆する。そこへ嚴子方がつけ込み、怜燕児は長安(ちょうあん)から逃げたと嘘をつき、盛楚慕(せいそぼ)に罪をなすりつけた。海虎(かいこ)は盛楚慕(せいそぼ)への殺意を抱くが、妹の海妞からの知らせで盛楚慕(せいそぼ)は難を逃れる。盛楚慕(せいそぼ)は機転を利かせ、海虎(かいこ)を製圧し、逆にやり込め、解放した。
王太妃(おうたいひ)の誕生日が近づき、宮廷は準備に追われる。珍妃(ちんひ)は福安宮の飾り付けを任されるが、質素ながらも顔妃(がんひ)との摩擦を避けるという難しい役目を負う。彼女は結局、古物庫にある品々を使うことにした。
夜、秦王(しんおう)は皇帝(こうてい)に挨拶をし、律法と私怨について語り合う。秦王(しんおう)の法治主義的な考え方に皇帝(こうてい)は満足げだった。翌日、朝廷では再び太子(たいし)選定をめぐる議論が白熱し、秦王(しんおう)派と周王(しゅうおう)派が対立する。
突然の豪雨の中、秦王(しんおう)は陰謀に巻き込まれる。宮道で一人待っていたところを襲われ、気絶させられた後、福安宮の木の下に運ばれる。傅柔(ふじゅう)と小鹿(しょうろく)が駆けつけたおかげで大事には至らなかったが、王太妃(おうたいひ)は落雷で負傷し、天罰だと噂される。皇帝(こうてい)は調査を命じ、傅柔(ふじゅう)は鋭い観察眼で福安宮の落雷が人為的なものだと見抜く。証拠を集め、黄銅の棒を木に見せかけて雷を誘導した陰謀を暴き、珍妃(ちんひ)は飾り付けの責任者ではあるものの、罠にはめられたのだと指摘する。
窮地に立たされた珍妃(ちんひ)は身の潔白を証明できずにいたが、傅柔(ふじゅう)は珍妃(ちんひ)を清修観に送り、王太妃(おうたいひ)の供養をさせることを提案する。それは珍妃(ちんひ)の保護と同時に、一種の罰でもある。皇帝(こうてい)は傅柔(ふじゅう)の提案を受け入れ、珍妃(ちんひ)は不本意ながらも運命を受け入れる。王太妃(おうたいひ)の死後、顔妃(がんひ)は珍妃(ちんひ)への厳罰を要求するが、既に事の決著はついており、珍妃(ちんひ)は清修観で静かに新たな人生を待つこととなった。
第50話の感想
第50話は、宮廷内の権力争い、陰謀、そして愛憎が複雑に絡み合い、息もつかせぬ展開でした。梁王の遺書をめぐる陸盈盈の悲劇は、彼の深い愛を理解した時の感動と同時に、宮廷の冷酷さを改めて感じさせます。廃妃となり追放される盈盈の姿は痛ましいですが、梁王の真意を知り、傅柔(ふじゅう)の友情に支えられることで、彼女の未来に一筋の希望が灯ったように感じました。
一方、馬海虎(かいこ)と盛楚慕(せいそぼ)の対立は、嚴子方の奸計によってさらに激化。盛楚慕(せいそぼ)の機転と冷静な対応は見事でしたが、海虎(かいこ)の純粋な想いが利用される様子には胸が締め付けられました。怜燕児をめぐるこの三角関係が今後どうなっていくのか、目が離せません。
王太妃(おうたいひ)の誕生日を前に、珍妃(ちんひ)が陰謀に巻き込まれる展開はハラハラドキドキの連続でした。傅柔(ふじゅう)の鋭い洞察力と機智によって真相が明らかになり、珍妃(ちんひ)の潔白が証明されるかと思いきや、最終的には清修観行きという結末に。無実の罪を著せられた珍妃(ちんひ)の無念さを思うと、やりきれなさを感じます。そして、この事件を利用して珍妃(ちんひ)を陥れようとした黒幕は誰なのか、今後の展開が非常に気になります。
つづく