あらすじ
神武末期の江湖では、五岳門の長老である霍青流が老齢のため、後継者を選出する招賢令を発布しました。ところが、霍星辰という名の紅衣の女性が思いがけず選出され、江湖の伝統を破ることとなりました。周囲からの疑問の声に対し、霍青流は公開で婿を募るという策を講じます。この策は江湖の人々の間で大きな議論を巻き起こし、特に若き俊才である蒋歩汀と慕冰河の二人の間で競争が激化しました。
霍星辰は他人に頼ることを望まず、五岳門からの脱出を図ります。その途中で蒋歩汀と出会い、門内で起きた不可解な失踪事件に興味を持つ彼に助けられ、連れ戻されてしまいます。慕冰河に助けを求めようと考えた霍星辰の計画も、ある誤解によって複雑な様相を呈していきます。
ネタバレ
神武末期、武林の覇権を巡り争いが絶えなかった時代。五岳門の門主、霍青流はその卓越した武芸で争乱を鎮め、朝廷から神武令を授かり武林を統べる権限を得た。以来、五岳門は武林最大の門派となった。時が流れ、老いた霍青流には娘が一人。武林の伝統で女性が要職に就くことはなく、神武令を継承させるため、霍青流は武林中に招賢令を発し、新たな五岳門門主、そして神武令継承者を決める大会を開いた。
各門派の猛者が集結し、激しい戦いを繰り広げる中、ついに勝者が決まったと思われたその時、赤い衣を纏い、赤い傘を持った少女が天から舞い降り、勝者を突き落とした。騒然とする群衆の中、少女は挑んできた者たちを軽々と倒していく。敗れた者たちは「女に武林を率いさせるわけにはいかない」と不満を漏らす。混乱の中、霍青流は娘、霍星辰を紹介し、彼女こそが招賢令に応じた新たな門主だと宣言する。しかし、前例のない女性門主誕生に仮対の声が上がる中、霍青流は解決策として婿選びを提案した。
この婿選びこそ、霍青流が霍星辰に良き伴侶を見つけさせるために仕組んだものだった。多くの男たちが難色を示す中、忘憂穀の少穀主、蒋歩汀と慕家の少主、慕冰河は強い興味を示す。二人は激しい争いを繰り広げ、最終的に慕冰河が多額の賄賂で優位に立った。これを見て他の男たちもこぞって名乗りを上げる。
幼い頃に出会った謎の少年、叉侠から「女性は自立すべき」と教えられた霍星辰は、自らの人生を切り開くため五岳門からの脱出を決意する。使用人の妨害、父の策略、兄弟子の追跡をかわしながら逃げる霍星辰。その途中、蒋歩汀と出会い、彼の車椅子に助けられ窮地を脱する。
しかし、自由を掴んだと思ったのも束の間、蒋歩汀は霍星辰を五岳門に連れ戻してしまう。実は蒋歩汀は、五岳門で起きている侠士失踪事件の真相を探るため、あえて霍星辰に近づいていたのだ。五岳門で一夜を過ごすと、また一人侠士が姿を消し、蒋歩汀の疑念は深まる。
何度も脱出を試みるも失敗した霍星辰は、幼馴染の慕冰河に助けを求める手紙を送る。しかし、その手紙は蒋歩汀に奪われ、慕冰河はそれを恋文だと勘違いしてしまう。霍星辰の計画は、ますます複雑に絡み合っていく。
第1話感想
「無敵なお嬢様は手におえない!」第1話は、武侠ものとラブコメの要素が絶妙に絡み合い、今後の展開に期待を抱かせるスタートとなりました。まず目を引くのは、主人公・霍星辰のキャラクター。武林の頂点に立つ家柄に生まれながら、自由を求めて奔走する姿は痛快です。おしとやかなお嬢様像を覆す、彼女の型破りな行動は見ていて飽きません。赤い衣装と傘を身につけ、軽やかに戦うシーンはまさに「無敵」という言葉がぴったり。
一方、婿候補として登場する蒋歩汀と慕冰河も魅力的です。一見クールな蒋歩汀は、実は侠士失踪事件の真相を追うなど、ミステリアスな一面も。慕冰河は、お金に物を言わせる少々頼りない印象ながらも、霍星辰への一途な想いが垣間見え、今後の変化に期待が持てます。
つづく