あらすじ
第八話で、星辰は閉功丸の解毒薬を探すため、五岳門に戻り父親に助けを求める決意をしました。道中、彼女は蒋歩汀と蒋步贏と共に旅をします。五岳門に到着すると、星辰の父、霍青流は娘を危険な目に遭わせたとして蒋歩汀に不満を抱きます。しかし星辰は全て自分の意志だと説明し、更に蒋歩汀が今回求婚しに来たことを明かします。ところが、霍青流が蒋歩汀のどんな願いでも叶えるとほのめかしたにも関わらず、蒋歩汀は求婚を切り出すどころか、五岳門の婿養子になる申し出さえ断ってしまいます。この行動に星辰はひどく失望し、怒り、ついには武力で蒋歩汀に愛の言葉を吐かせようとさえします。結局、星辰は武功が回復したと勘違いし、蒋歩汀に挑戦しますが、実際には回復しておらず、再び窮地に陥ってしまうのでした。
ネタバレ
治癒法の手がかりが医書に見つからず、星辰は別の方法を考え始める。まずは五岳門に戻り、父親から閉功丸の解毒剤をもらうことだ。しかし、蒋歩汀が一緒に帰ると申し出て、彼女は驚き、そして恥ずかしがる。蒋歩汀は武功を失った星辰が一人で旅をするのは危険だと考えていたのだ。こうして二人は蒋の母に別れを告げ、五岳門へと出発した。同行するのは蒋步贏だ。
洛陽に到著すると、蒋步贏は師匠の行方と異人の調査のため街に残り、蒋歩汀と星辰は五岳門へと向かう。星辰の帰還に、門派中が喜びに沸き立つ。特に慕冰河は喜びを隠せない。まるで飢えた狼のように星辰に飛びかかろうとする慕冰河を見て、蒋歩汀は車椅子から立ち上がり、自ら彼の抱擁を受け入れる。それを見た星辰は慌ててその場を離れる。
父に会うと、星辰は興奮気味にこれまでの出来事を話す。神薬寨での話は特に熱を帯び、どの言葉にも蒋歩汀の名前が出てくる。霍青流はすぐに娘の気持ちに気づき、蒋歩汀が娘の心を奪っただけでなく、危険な目に遭わせたことを責める。星辰は慌てて自分が悪いと弁明する。
霍青流は頭を抱える。一人娘が蒋歩汀にすっかり心を奪われている。しかし、すでに外に発表した許嫁、慕冰河はどうすればいいのか。星辰は慕冰河への想いは兄に対するものだと説明し、男女の情はないと断言する。さらに何か言おうとする父を遮り、星辰は蒋歩汀との出来事を語り続ける。
霍青流は何も言えなくなる。娘がここまで言うのに、蒋歩汀はまだ何も言っていないのか。すると星辰は、蒋歩汀は今回、求婚しに来たのだと告げる。こうなっては、霍青流も娘の心を奪った男に会うしかない。星辰は蒋歩汀の好物ばかりを並べた豪華な食事を用意する。
星辰の指示通り、霍青流は蒋歩汀に会うなり、どんな願いでも葉えると伝える。しかし、食事の間、蒋歩汀はひたすら食べるばかりで、求婚の話は一切しない。痺れを切らした霍青流が、五岳門に婿入りする気はあるかと尋ねる。蒋歩汀は戸惑いながら立ち上がり、礼をして断る。怒った星辰は蒋歩汀の手を引いて外へ出る。
蒋歩汀は星辰に、以前の言葉は冗談で、本気ではないと告げる。その言葉は針のように星辰の心に突き刺さり、彼女は涙を流す。それでも諦めきれない星辰は、剣を蒋歩汀の首に突きつけ、「好き」という言葉を迫る。蒋歩汀は自分の余命がどれほどか分からず、星辰を幸せにできないことを悟っている。だからこそ、どんなに辛くても、断ち切る言葉を選ばざるを得なかった。
納得できない星辰は、蒋歩汀と勝負をする決意をする。霍青流の部屋に駆け込み、閉功丸の「解毒剤」を飲む。勢いよく歩き、多くの門弟を倒していく。自信満々に蒋歩汀に攻撃を仕掛けるが、さっきまでの力は消え失せている。蒋歩汀は、彼女にはそもそも武功がないのだと告げる。
第8話の感想
「無敵なお嬢様は手におえない!」第8話は、星辰と蒋歩汀の関係性が大きく揺れ動く、切ないエピソードでした。これまでコミカルな展開が多かった中で、今回は二人の想いのすれ違いが描かれ、見ているこちらも胸が締め付けられるようでした。
星辰の蒋歩汀への一途な想いは、見ていて応援したくなるほど。彼女は、好きな人のためなら危険も顧みず、自分の気持ちを素直に表現します。しかし、蒋歩汀は自身の抱える事情から、星辰の気持ちを受け入れることができません。彼の苦悩も理解できるだけに、二人のすれ違う想いがより一層悲しく感じられます。
特に、食事のシーンでの蒋歩汀の沈黙、そして星辰に突きつけられた剣の前での彼の告白は、非常に印象的でした。言葉少なく、表情にもあまり変化がない蒋歩汀ですが、その内に秘めた葛藤が痛いほど伝わってきました。星辰の涙も、彼女の悲しみと諦めきれない想いを物語っていて、思わずもらい泣きしてしまいそうになりました。
つづく