あらすじ
第九話では、蒋歩汀が星辰に残酷な真実を明かしました。それは、閉功丸によって内力を失ったのではなく、そもそも星辰は武功を全く使えないということです。この事実は星辰に大きな衝撃を与え、彼女は深い絶望と苦痛に苛まれました。慕冰河は星辰を慰め、守ると約束しますが、かえって星辰の苛立ちは募るばかりでした。
一方、蒋歩汀は星辰の過去の勇敢な行動を語り、体が弱くても心は強いと励まします。励まされた星辰は、七日間猛特訓をして蒋歩汀を倒し、誰にも頼らず江湖を生きていけることを証明しようと決意します。
しかし、七日目の約束の日が迫る中、蒋歩汀は星辰を危険から守るため、一人で去ろうとします。このエピソードは、登場人物たちの複雑な感情の絡み合いと、挫折に直面した星辰の成長と変化を描いています。
ネタバレ
蒋歩汀は、星辰が江湖に飛び出したいという思いを断ち切るため、彼女に真実を告げる決意をする。それは、星辰には武功の才能がなく、閉功丸で内力が封じられているというのは嘘だったということ。五岳門の人々はあまりに残酷な真実だと止めようとするが、蒋歩汀は言葉を続ける。
星辰はこれまで五岳門が作り上げた優しい嘘の中で生きてきた。突然の真実に、彼女の心は耐えきれず、霍青流に蒋歩汀の言葉が本当かどうかを問う。霍青流は目を逸らし、答えることができない。その様子で、星辰は全てを悟る。自分が夢の中に生きていたことを。現実を否定しようとするも、他人の懐にある血袋を見て、ついに現実を受け入れる。怒りか、失望か、彼女の目から熱い涙がこぼれ落ちる。
部屋に閉じこもり、食事も取らない星辰を心配し、慕冰河は見舞う。武功がなくても自分が守ると言うが、星辰は誰かに頼る金糸雀のような存在になりたくないと、慕冰河を追い返す。一方、蒋歩汀は星辰に食事をさせようと、彼女の部屋の前で肉を焼き、挑発する。星辰は蒋歩汀にとって自分が何なのかを問うが、「ただの友達」という答えに落胆する。
慕冰河は今度は宝飾品を贈るが、星辰は心を閉ざしたまま、結婚を受け入れる。蒋歩汀は焦り、星辰を説得する。武功はないが、理想のために突き進み、人買いにさらわれた子供たちを救い、異人の襲撃にも毅然と立ち向かう星辰の強さを語る。
蒋歩汀の言葉に、星辰の心は晴れる。彼女は7日間武功の修行をし、蒋歩汀に勝てば彼と江湖を旅すると決意する。
やっと星辰との結婚が決まったと思った慕冰河は、蒋歩汀のせいで星辰が修行を始めたことに激怒し、彼を問い詰める。二人は霍家の祠堂の前で鶏の鳴き真価をするほど子供じみた喧嘩を始める。霍青流は二人を止め、慕冰河には星辰の心情を考えろと言い、蒋歩汀には一緒に見回りに行こうと連れ出す。
修行初日、星辰は満身創痍となる。慕冰河は心を痛めるが、何もできない。霍青流は父親として意外にも冷静で、むしろ安堵しているように見える。7日後、蒋歩汀は星辰が勝つ見込みは薄いと考え、また彼女を危険に巻き込みたくないと、黙って旅立とうとするが、門口で霍青流に会う。
第9話の感想
第9話は、星辰のアイデンティティの崩壊と再構築が描かれた、非常に重要なエピソードでした。これまで「無敵のお嬢様」として、偽りの武功の才能を信じ、守られる存在だった星辰が、真実を知り、深い絶望に突き落とされます。その姿は痛々しく、見ているこちらも胸が締め付けられました。
特に、霍青流に真実を確認するシーンは印象的です。言葉ではなく、目を逸らすという霍青流の行動が、全てを物語っていました。星辰の表情の変化、そして溢れ出る涙は、彼女の心の揺れを雄弁に表現しており、視聴者の感情を大きく揺さぶる名シーンと言えるでしょう。
慕冰河の優しさも、皮肉にも星辰の苦悩を深めてしまいます。「守られる存在」という現状を突きつけられた星辰の frustration は、彼女の自立心、そして自分自身で道を切り開きたいという強い意誌の表れです。
つづく