チーニン飯店での再会の後、夜も更け、路炎晨(ルー・イエンチェン)は複雑な思いを抱えながら一人でホテルに戻った。彼は紙とペンを用意し、ゆっくりと腰を下ろして、帰暁(グイ・シャオ)への手紙を書き始めた。この手紙には、言葉にできないほどの想いと感謝の気持ちが込められていたが、結局送ることはなかった。心の奥底に隠された秘密は、彼女に直接伝えたいと願っていたからだ。

彼の思いは2008年の春へと遡る。それは、初々しさとときめきに満ちた季節だった。路炎晨(ルー・イエンチェン)は朝、急いで学校に向かっていたが、妹の黄婷(ホワン・ティン)と帰暁(グイ・シャオ)の友情が、彼の世界を静かに変えていくことになるとは、その時は知る由もなかった。黄婷(ホワン・ティン)から初めて帰暁(グイ・シャオ)の名前を聞き、そして学校の樹の下での偶然の出会い。その瞬間、少年の心は優しく揺さぶられ、帰暁(グイ・シャオ)の姿は彼の目に特別な輝きを放っていた。

黄婷(ホワン・ティン)の仲介で、二人は正式に知り合う。帰暁(グイ・シャオ)の冷静さと時折見せる戸惑いは、春の風が湖面を撫でるように、路炎晨(ルー・イエンチェン)の心に波紋を広げた。帰暁(グイ・シャオ)が水を飲んでむせた時、彼は見ていられず、心配でたまらなかった。その後の日々、路炎晨(ルー・イエンチェン)は帰暁(グイ・シャオ)の全てが気になり始めた。彼女のクラスが校庭で朝のランニングをしている時、あるいは彼がバスケットボールコートを通り過ぎる時に彼女を見かける時、いつでも彼女の姿は彼の視線を捉えた。

下校途中、帰暁(グイ・シャオ)がトラブルに巻き込まれた時、路炎晨(ルー・イエンチェン)はためらうことなく彼女を守り、家まで送り届けた。その夜、並んで歩いた時間は、二人の心に消えない思い出となった。路炎晨(ルー・イエンチェン)は、特別な飲み物を用意したり、手料理を振る舞ったりと、陰ながら帰暁(グイ・シャオ)を気遣っていた。しかし、路炎晨(ルー・イエンチェン)が警察学校を受験し、北京を離れることを知った時、帰暁(グイ・シャオ)の心には言いようのない寂しさが広がった。

運命を決める高考の日、帰暁(グイ・シャオ)はわざわざ路炎晨(ルー・イエンチェン)の試験会場まで行ったが、合格者名簿に彼の名前を見つけることはできなかった。警察学校を受験するために、彼は父親に無理やり家に留め置かれ、受験できなかったのだ。幸いにも、彼は浪人することを選び、その強い意誌に帰暁(グイ・シャオ)は安堵と尊敬の念を抱いた。

2009年、路炎晨(ルー・イエンチェン)の生活は相変わらず忙しくも充実していた。彼は酔った父親の世話をしながら、勉強に励んでいた。帰暁の存在は、冬の日の一筋の光のように、彼の心を温めた。ある日、帰暁が小さな校章で路炎晨(ルー・イエンチェン)の遅刻のピンチを救ったことで、二人の距離はさらに縮まった。ノートを借りたり、返したりといった些細な出来事が、二人の心の交流の架け橋となった。

高考が終わり、海東(ハイ・ドン)の誕生日パーティーで、路炎晨(ルー・イエンチェン)は再び帰暁に会い、喜びで胸がいっぱいになった。警察学校への合格通知を受け取った時、彼は喜びと同時に、帰暁との未来への不安を感じていた。そこで彼は、黄婷(ホワン・ティン)の電話を使って帰暁を祖母の病室前へと呼び出し、巧妙に“偶然の出会い”を演出した。「手を繋いで」という言葉は、単なる誘いではなく、彼の心の奥底にある帰暁への深い告白だった。

夜になり、二人は電話で互いの想いと思いを馳せた。未来への道は、未知で困難に満ちているかもしれないが、互いに支え合うことで、どんな未来も遠くは感じなかった。こうして二人は手を取り合い、二人の幸せな未来へと歩み始めた。

第30話の感想

「マイ・ファーストラブ」の最終回、第30話は、二人の純愛物語の集大成であり、深い感動を与えてくれるエピソードでした。これまでの様々な出来事を振り返る構成により、路炎晨(ルー・イエンチェン)と帰暁の揺るぎない愛の軌跡を改めて実感することができました。

特に印象的だったのは、路炎晨が帰暁に宛てた手紙のシーンです。言葉にできないほどの想いと感謝の気持ちが綴られており、彼の誠実で一途な愛情がひしひしと伝わってきました。手紙を送ることを選ばず、直接伝えたいという彼の決意は、二人の関係の深さと、未来への強い意誌を感じさせます。

また、二人の出会いのシーンから、小さな出来事一つ一つが丁寧に描かれていたのも印象的でした。些細なことから生まれる心の繋がり、そして互いを支え合う姿は、まさに青春の輝きそのものでした。特に、帰暁が水を飲んでむせたシーンや、路炎晨が帰暁を家まで送り届けたシーンなど、二人の関係性が深まっていく過程が繊細に表現されており、共感せずにはいられませんでした。

さらに、路炎晨が警察学校を受験するために努力する姿や、帰暁が陰ながら彼を応援する姿も感動的でした。夢に向かってひたむきに努力する姿、そして互いを尊重し支え合う二人の姿は、私たちに勇気を与えてくれます。

最終的に二人が手を取り合い、未来へと歩み始めるシーンは、希望に満ち溢れており、見ているこちらも温かい気持ちになりました。二人の未来が幸せでありますようにと、心から願わずにはいられません。全体を通して、温かく優しい気持ちになれる、素晴らしい最終回でした。

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