『祈今朝<ききんちょう>』第17話 あらすじ/ネタバレ

夜色に紛れて、越祈(えつき)は柷敔(きゅうき)の深遠なる識海へと潜入する。古書で学んだ瞑想の術を駆使し、彼女は柷敔(きゅうき)に扈生之術を解く方法を求める。しかし、柷敔(きゅうき)は人類に対して根深い偏見を抱いていた。彼女にとって、人類は私欲のために手段を選ばない、偽善的で貪欲な存在だった。越祈(えつき)が越今朝(えつきんちょう)のために来たと知ると、柷敔(きゅうき)は激怒し、彼女の行為を不敬とみなした。

柷敔(きゅうき)の激しい仮応に、越祈(えつき)は退こうとするが、柷敔(きゅうき)はそれを許さなかった。さらに、柷敔(きゅうき)は扈生之術の解き方を知らないと告げる。この突然の事実により、越祈(えつき)は焦燥に駆られる。彼女は必死に抵抗し、識海から脱出しようとするが、柷敔(きゅうき)の力によって誤って傷つき、意識を失ってしまう。

この知らせは贏旭危(えいきょくき)の耳にも届き、彼は葛清霏(かつせいひ)に天晴之海へ向かい、柷敔(きゅうき)に約束を守るよう促し、越祈(えつき)を解放するよう命じる。この会話は扁洛桓(へんらくかん)に聞かれてしまい、越祈(えつき)が怪我をしたことを知った彼は、天晴之海へと急ぐ。柷敔(きゅうき)の宮殿の外で、扁洛桓(へんらくかん)は自分の体内の霧魂之力が越祈(えつき)と不思議な繋がりを持っていることに気づく。

越祈(えつき)が意識を取り戻すと、記憶に綻びが生じ、最も大切な人である越今朝(えつきんちょう)のことを忘れてしまう。しかし、師匠である扁洛桓(へんらくかん)が傍にいるのを見て、彼女の心は温もりに包まれる。扁洛桓(へんらくかん)は、これは霧魂之力の影響かもしれないと考える。彼はこの貴重な時間と幸せを噛みしめ、越祈(えつき)に連れられて天晴之海の市で無邪気に過ごす。市では、二人は物々交換を行い、越祈(えつき)は自分が身につけている小魚の玉佩を交換することを拒否する。この一日は、扁洛桓(へんらくかん)にとって三年間で最も幸せな日となったが、霧魂之力が消えれば、この幸せも消えてしまうことを彼は知っていた。

一方、越今朝(えつきんちょう)たちは苦労して手に入れた啟元珠を左冠人(さかんじん)に託し、新たな希望をもたらしてくれることを期待する。左冠人(さかんじん)は越今朝(えつきんちょう)と洛昭言(らくしょうげん)の能力を高く評価し、正武盟への加入を勧める。居十方にも重要な任務を任せるが、越今朝(えつきんちょう)は妖族の立場を考慮して断り、洛昭言(らくしょうげん)は家族の事情で参加できない。

柷敔(きゅうき)は目を覚ました越祈(えつき)に真実を告げる。扈生之術は存在せず、彼女の沈黙は欺瞞ではなく、人類に対する複雑な感情を言葉にすることができなかったためだった。洛昭言(らくしょうげん)は閑卿(しずか)からの手紙を受け取り、今日が友人の明繡の誕生日であることを知る。閑卿(しずか)と顧寒江(こかんこう)が祝いに来るという知らせに、洛昭言(らくしょうげん)の心は期待に満ち溢れる。

天晴之海では、越祈(えつき)は今日が禺族(ぎょぞく)の前女王である聆夜(れいよ)の忌日であることを知る。彼女は族人と一緒に祭祀大典に参加し、朔漩(さくせん)が厳粛な祭祀舞を踊るのを目撃する。朔漩(さくせん)に、越祈は天晴之海を離れ、越今朝(えつきんちょう)に扈生之術の真実を明かすことを決意する。また、彼女は識海の中で闇に覆われた柷敔(きゅうき)を深く心配していることも伝える。朔漩(さくせん)の越祈に対する冷淡な態度の背後には、ある秘密が隠されていた。彼女の母親は、亡くなった禺族(ぎょぞく)女王聆夜(れいよ)であり、柷敔が今占めている体は、聆夜(れいよ)の体だったのだ。

第17話の感想

第17話は、物語が大きく動き出す重要なエピソードでした。越祈は柷敔の識海に潜入し、扈生之術の真実を突き止めようとしますが、柷敔の人類に対する根深い偏見に阻まれてしまいます。一方、天晴之海では、扁洛桓(へんらくかん)と越祈の間に特別な絆が芽生え始め、幸せなひとときを過ごします。しかし、霧魂之力が消えれば、この幸せも消えてしまうという不安が付きまといます。

また、越今朝(えつきんちょう)たちは啟元珠を左冠人(さかんじん)に託し、新たな希望に期待を寄せます。洛昭言(らくしょうげん)は友人の誕生日を祝い、家族の事情で正武盟への参加を断念します。

そして、柷敔は越祈に扈生之術が存在しないことを告白し、自分の複雑な感情を打ち明けます。越祈は天晴之海を離れ、越今朝(えつきんちょう)に真実を伝えようと決意します。

つづく