『祈今朝<ききんちょう>』第2話 あらすじ/ネタバレ

盈輝堡(えいきほう)の喧騒の中で、洛昭言(らくしょうげん)は啓元(けいげん)宗の者たちが越祈(えつき)を伝説の溟主(めいしゅ)とみなしているのを見て、怒りに駆られ、剣を抜いて妖魔を斬ろうとします。しかし、越今朝(えつきんちょう)は身を挺して越祈(えつき)の前に立ち、彼女の正体を断固として否定し、衝突が勃発寸前となります。今朝は越祈(えつき)との言葉では言い表せない共鳴によって、昏睡状態にあった越祈(えつき)を優しく呼び覚まし、誤解の渦から救い出します。

疲労困憊ながらも無事な越祈(えつき)を連れて、越今朝(えつきんちょう)は洛家へと足を踏み入れます。医師の診察の結果、越祈(えつき)の身体に異常がないことが確認され、今朝はようやく胸を撫で下ろします。洛昭言(らくしょうげん)の問いに対し、今朝は兄妹二人で烏岩村で目を覚まし、記憶を失っているものの、卓越した技量を持っていること、そして身元の謎を解き明かすために旅をしていることを正直に打ち明けます。

翌日、朝陽が窓格子の隙間から差し込み、越祈(えつき)の顔に注がれます。彼女は今朝から昨日の自分が涙を流していたことを聞き、思わず苦笑します。朝食時、一見普通の卵麺を巡って、越祈(えつき)は「小細工」を弄し、わざと泣き真価をして今朝の心を軟化させ、麺を全部譲ってもらいます。二人の心温まるやり取りは、突如として訪れたこの親子の絆をより一層貴重なものにします。

洛昭言(らくしょうげん)は部屋に戻り、兄の洛埋名(らくまいめい)と密談します。彼女は啓元(けいげん)宗の分部を壊滅させた経過を報告するだけでなく、越今朝(えつきんちょう)兄妹との出会についても触れます。洛埋名(らくまいめい)はそれを聞くと、眉をひそめ、越祈(えつき)の疑わしい正体と常軌を逸した行動に深い懸念を抱き、洛家荘(らっかそう)に連れ帰ってさらに調査することを決意します。

越今朝(えつきんちょう)は心の中で、3年間の探索にようやく実質的な手がかりが見つかったと考え、どんな機会も逃さずに洛昭言(らくしょうげん)の後を追い、身元に関するさらなる手がかりを見つけようと決意します。同時に、彼は越祈(えつき)に小さなサプライズを用意することを忘れていませんでした。それは、繊細な白いペンダントです。越祈(えつき)は、今朝の誕生日に特別なプレゼントとして、翠緑のペンダントを贈ります。二人の想いは、いつの間にか静かに伝わっていきます。

洛昭言(らくしょうげん)は公正に行動し、洛家商行に浮金堂(ふきんどう)から押収した財産をすべて返還するよう命じますが、その際に越祈(えつき)の純真さゆえに、今朝が銀票を隠しているという秘密をうっかり漏らしてしまいます。お金が大好きな今朝は、無念ながらも大人しく差し出します。この光景は、場にいた全員を思わず笑わせてしまいます。

帰路の途中、洛昭言(らくしょうげん)は越今朝(えつきんちょう)と越祈と一緒に同行します。洛昭言(らくしょうげん)の何気ない視線から、越祈は彼女が自分に特別な感情を抱いていると勘違いします。この純粋な誤解は、雰囲気に微妙な変化をもたらします。今朝は洛昭言(らくしょうげん)に啓元(けいげん)珠の秘密を尋ね、啓元(けいげん)珠のせいで啓元(けいげん)教徒が悲惨な運命を辿ったことを知り、心中に寒意を感じます。

一行が洛家荘(らっかそう)に到著しようとしたまさにその時、突如として起こった出来事が静寂を破ります。禺族(ぎょぞく)の姫君である朔漩(さくせん)は、入浴中にのぞき見をした者に遭遇し、怒りのあまり重傷を負わせます。そして、その不運な覗き見をした人物こそ、正武盟の機巧堂堂主である居十方でした。越祈が駆けつけて救出しますが、朔漩(さくせん)は越祈の正体を見抜いており、敵意をむき出しにします。しかし、衆人環視の中、やむなく引き下がり、警告を残して去っていきます。実は、朔漩(さくせん)がこの世に来たのは、誰かに頼まれて越祈を密かに守るためでしたが、越祈の存在によって自分の正体がばれてしまい、心中は不快感でいっぱいでした。

洛昭言(らくしょうげん)は越今朝(えつきんちょう)らに居十方の身元を明かし、二人はこの機巧の達人について初步的な認識を得ます。居十方は、西域への旅の目的が貴重な鉄楊木を探すためであることを明かします。話題が深まるにつれて、九泉と钥環の秘密、そして熱海泉眼の守護者である洛埋名(らくまいめい)の重要な役割が明らかになっていきます。身元、権力、責任に関する探求が静かに幕を開けます。

第2話の感想

第2話は、物語の序盤でありながら、今後の展開を予感させる重要なエピソードでした。特に印象的なのは、以下の3点です。

  1. 越今朝(えつきんちょう)と越祈の絆:越今朝(えつきんちょう)は、昏睡状態にあった越祈を優しく呼び覚まし、誤解から救い出すなど、兄妹としての強い絆を感じさせます。また、朝食時のやり取りやプレゼントの交換など、二人の心温まる関係性が描かれており、今後の展開が楽しみになりました。
  2. 洛昭言(らくしょうげん)と越今朝(えつきんちょう)の関係:洛昭言(らくしょうげん)は、越今朝(えつきんちょう)兄妹の正体や行動に疑念を抱きながらも、彼らを洛家荘(らっかそう)に連れ帰ろうとするなど、複雑な感情を抱いている様子が伺えます。また、越今朝(えつきんちょう)は洛昭言(らくしょうげん)に啓元(けいげん)珠の秘密を尋ねるなど、彼女から情報を得ようとする姿勢を見せており、二人の関係が今後どのように変化していくのか注目です。
  3. 九泉と钥環の秘密:居十方の登場によって、九泉と钥環の秘密が明らかになり始めました。洛埋名(らくまいめい)が熱海泉眼の守護者であることも判明し、今後、身元、権力、責任に関する探求がどのように展開していくのか期待が高まります。

つづく