鴻蒙の時代、天地開闢の時、仙・人・魔の三界が並び立つ世で、唯一鳳凰だけが天地と同寿、千年の涅槃を経て転生を繰り返し、やがて姿を消した。人間界の大虞(だいぐ)国では、修仙の風が盛んで、三年ごとに盛大な鑑仙の儀式が行われる。十六歳を迎えた貴族の子弟は皆、鑑仙鏡によって仙縁を試され、選ばれた者は白鷺書院に入学し、修仙の道を歩むことができる。

礼部尚書の屋敷では、三女の魏凌月(ぎりょうげつ )は優れた資質で評判が高く、妹の魏静月(ぎせいげつ)もまた非凡で、二人の姉妹は輝かしい日々を送っていた。一方、屋敷の召使いである魏枝(ぎし)は、「掃き溜めの星」と呼ばれ、冷遇と差別に苦しみながらも、鑑仙を経て運命を変え、家族に良い暮らしをさせたいという夢を抱いていた。魏枝(ぎし)の母、顧氏(こし)は、魏枝(ぎし)が不吉な運命を背負っていると信じ込み、相手が障害者であっても、早く嫁がせようとしていた。

魏枝(ぎし)も鑑仙に参加すると知り、魏尚書(ぎしょうしょ)は困惑しながらも、魏凌月(ぎりょうげつ )に面倒を見るよう指示した。自由を求める魏枝(ぎし)は、魏凌月(ぎりょうげつ )に助けを求め、幸いにも三女の助力により、同行を許された。魏静月(ぎせいげつ)は蔑んだものの、特に仮対はしなかった。

鑑仙の日、都は大いに賑わい、魏家の馬車は列を成して進んだ。小さな乞食が施しを求めて道を遮ったが、執事によって無情にも追い払われた。魏枝(ぎし)は憐れみを感じ、銅銭を与え、遠くに見慣れない炎越(えんえつ)の姿に気付く。炎越(えんえつ)は天界の赤日神君(せきじつしんくん)であり、人間が自分を見ることができることに疑問を抱き、興味を持っていた。

鑑仙の儀式では、貴族の子弟が次々と登場し、国師(こくし)自らが出席し、儀式を執り行った。魏枝(ぎし)たちが鑑仙鏡の前に立った時、奇跡が起きた。眩いばかりの鳳凰が空高く舞い上がり、三界を揺るがしたのだ。鳳凰の出現は大虞(だいぐ)国の吉兆とされ、国師(こくし)は鳳凰の転生と思われる十八人を白鷺書院に招き、様子を見ることを提案した。

天帝(てんてい)は妖魔が鳳凰の力を狙うことを恐れ、炎越(えんえつ)を下界に派遣し、青涣(せいせん)を補佐とした。炎洛(えんらく)は兄の出発を惜しみながらも、命に従い天界へ戻った。魏枝(ぎし)は母の仮対を押し切り、魏家の馬車に付いて白鷺書院へ向かい、手紙を残して別れを告げた。

書院の門では、門番の道士が厳しく規則を守っていた。魏家の姉妹は面倒な役目を魏枝(ぎし)に押し付けたが、彼女は気にせず、ただ修仙の道を歩むことを願っていた。炎越(えんえつ)は蓬莱の仙使に姿を変え、厳しい学風を敷き、皆を震え上がらせた。院長の敬修(けいしゅう)は個人的に炎越(えんえつ)と話し合い、私情が選考の公正さを損なうことを懸念したが、炎越(えんえつ)は天命を理由にその疑念を払拭した。

早朝授業では、法術の威力が弟子たちを疲れ果てさせた。魏静月(ぎせいげつ)は機会を捉えて魏枝(ぎし)を侮辱したが、明朗(めいらん)や劉暢(りゅうちょう)たちが助け舟を出した。一方、魔族の勢力がひそかに様子を窺っていた。魏枝(ぎし)が何気なく見せた力は、彼女と炎越(えんえつ)の間に不思議な繋がりを生み出した。彼女が炎越(えんえつ)に衣服を届けに行った時、いとも簡単に結界を解いてしまい、炎越(えんえつ)の心には不思議な感情と痛みが湧き上がった。鳳凰の謎が、静かに幕を開けようとしていた。

こうして、運命、仙道、そして愛をめぐる物語が、白鷺書院でゆっくりと始まった。

第1話の感想

「恋華~ラブ・オブ・フェニックス~」第1話は、壮大な世界観と魅力的なキャラクターで視聴者を惹きつける、期待感溢れるスタートを切りました。鴻蒙の時代から始まる物語は、仙界、人間界、魔界という三界の交錯、そして鳳凰の転生という神秘的な要素が巧みに織り交ぜられ、今後の展開への興味を掻き立てます。

主人公の魏枝(ぎし)は、虐げられる境遇の中でも、ひたむきに夢を追いかける健気な少女として描かれており、共感を覚えます。身分の違いや周囲の冷たい視線にも負けず、前向きに運命を切り開こうとする彼女の姿は、応援したくなる魅力に溢れています。対照的に、魏凌月(ぎりょうげつ)と魏静月(ぎせいげつ)の姉妹は、恵まれた環境の中で育った貴族の娘としてのプライドや思惑が垣間見え、物語に深みを与えています。

また、天界から遣わされた炎越(えんえつ)の登場も印象的です。クールな雰囲気を纏いながらも、人間界や魏枝(ぎし)に対して秘めた好奇心を抱く様子は、彼の内面に秘められた謎を予感させます。今後の魏枝との関係性の変化にも注目したいところです。

つづく