幻想神国記 運命の旅路 第10話 あらすじ/ネタバレ
平亭(へいてい)の闇流の中で、銀妝(ぎん・そう)と微生硯(びせい・けん)の関係は微妙な均衡を保っている。二人の間の取引は、精巧に編まれた網のように、脆くも強固だ。温婉で芯の強い女性である銀妝(ぎん・そう)は、微生硯(びせい・けん)の夫人としての役割を理解している。彼女は外では気品を保ち、内では彼の駒となる。たとえ脱衣を命じられても、兄である銀霄(ぎん・しょう)の銀氏(ぎんしき)復興という切なる願いのため、彼女は不本意ながらも耐え忍ぶ。
一方、銀霄(ぎん・しょう)の状況は厳しい。彼は街中で手配書を見つけ、火屠辛(かと・しん)の行方を捜すため牢獄へと急ぐが、友人は謎の勢力に連れ去られた後だった。火屠辛(かと・しん)は老人の庇護を受けながら、行方不明の錦児(きんじ)を案じている。彼は刺青の模様から手がかりを探そうとするが、老人は口を閉ざす。さらに、老人の持つ小袋と烏縁(う・えん)から貰った薬包が同じ模様であることに疑問を抱く。この背後には、何か秘密が隠されているようだ。
警戒を怠らない銀霄(ぎん・しょう)は、酒楼で尾行されていることに気付き、素早く相手を捕らえる。昭都(しょうと)からの使者で、彼生(ひせい)儀式の通知を持ってきたのだ。銀霄(ぎん・しょう)は巧みに対応するが、手紙は烏縁(う・えん)によってすり替えられており、平亭(へいてい)の安寧は当面昭都(しょうと)の目に触れることはない。微生硯(びせい・けん)邸に戻った銀霄(ぎん・しょう)は、微生硯(びせい・けん)が銀妝(ぎん・そう)に「愛情」を注ぐ場面を目撃し、複雑な心境になる。しかし、これも芝居に過ぎないと理解する。
一方、元一(げん・いつ)は蔵書殿で鶏の足をむしゃぶりついている玲瓏(れいろう)と遭遇する。彼女の自由奔放な姿に、元一(げん・いつ)は思わず笑ってしまう。玲瓏(れいろう)の手帕には織火(しょくか)の模様が刺繍されており、元一(げん・いつ)はそれを気に入る。さらに、玲瓏(れいろう)が元一(げん・いつ)の選妃記録に嫉妬していることが発覚する。元一(げん・いつ)は玲瓏(れいろう)をからかい、二人は笑いながら織火(しょくか)彼生(ひせい)柱に関する驚愕の秘密を発見する。16年前に彼生(ひせい)柱へ向かった9人の弟子が、全員死亡していたのだ。この発見を受け、二人は大祭司に答えを求めるが、大祭司は言葉を濁し、より深い秘密は亡くなった師匠が知っているかもしれないとだけ告げる。
夜幕が訪れ、平亭(へいてい)城内は騒然となる。火屠辛(かと・しん)は織火(しょくか)人の温度感覚に馴染めず、老人の世話をする際に騒動を起こしてしまう。その結果、宵禁の巡邏隊と衝突する事態に発展する。彼は老人を守るため、侍衛と戦う。激闘の中、烏縁(う・えん)が駆けつけ、雷のような力で争いを鎮める。烏縁(う・えん)の祖父に対する深い愛情に、火屠辛(かと・しん)は気づく。彼女がこれまで自分を助けてくれたのは、神主(しんじゅ)に親を救ってもらいたいという願いがあったからだ。この重い期待を受け、火屠辛(かと・しん)は「神主(しんじゅ)」という存在について深く考える。
烏縁(う・えん)は祖父を落ち著かせた後、微生硯(びせい・けん)のもとへ向かう。二人は簡潔に会話を交わし、微生硯(びせい・けん)は老人の治療薬を提供するだけでなく、烏縁(う・えん)に昭都(しょうと)への新たな任務を与える。夜色の中、二人はそれぞれの使命を背負い、宿川(しゅくせん)大陸で運命の網を織り続ける。
第10話の感想
第10話は、物語が大きく動き出した回だった。銀霄(ぎん・しょう)と銀妝(ぎん・そう)の微妙な関係、火屠辛(かと・しん)と老人の絆、元一(げん・いつ)と玲瓏(れいろう)の恋模様など、各キャラクターの心情が複雑に絡み合い、今後の展開が気になるところだ。
特に印象的だったのは、火屠辛(かと・しん)と烏縁(う・えん)のシーンだ。火屠辛(かと・しん)は烏縁(う・えん)の祖父に対する深い愛情に気づき、彼女が神主(しんじゅ)に親を救ってもらいたいという願いを持っていることを知る。このシーンは、烏縁(う・えん)のこれまで謎だった行動の理由を明らかにしており、彼女のキャラクターに深みを与えている。
また、元一(げん・いつ)と玲瓏(れいろう)のやり取りも微笑ましかった。玲瓏(れいろう)の自由奔放な性格と、元一(げん・いつ)への秘めた想いが可愛らしく描かれており、二人の関係が今後どのように発展していくのか楽しみだ。
つづく