幻想神国記 運命の旅路 第36話 あらすじ/ネタバレ

銀霄(ぎん・しょう)の飛魚船は緊迫した空気に包まれていた。侍女は銀霄(ぎん・しょう)の威厳に恐れおののきながら、銀妝(ぎん・そう)からの手紙を渡した。手紙には銀妝(ぎん・そう)が去ったことが書かれていた。銀霄(ぎん・しょう)は手紙を読み終えると顔色が変わり、すぐに船の方向転換を命じた。妹を必ず連れ戻すという決意だった。しかし、この行動は祭司に見逃されなかった。祭司は旅の危険性を熟知しており、銀霄(ぎん・しょう)が簡単に逃げることを許さなかった。彼は伝書鳩を飛ばし、天祈門(てんきもん)が銀霄(ぎん・しょう)と共に滅亡することを宣言した。宿川(しゅくせん)の平和と正義を守るためだった。

夜が訪れると、祭司は燭火を手に墟嬰(きょえい)を閉じ込めた密室に入った。銀霄(ぎん・しょう)も後を追ってきた。二人は火の中で視線を交わしたが、立場の違いから重苦しい雰囲気だった。祭司は怒りに任せて、墟嬰(きょえい)を閉じ込めた檻に火をつけた。しかし、檻の中には誰もいなかった。彼は微生硯(びせい・けん)の罠にはまったのだ。後悔していると、檻の下の仕掛けが作動し、爆発音が響き渡った。火が船を飲み込んだ。微生硯(びせい・けん)の策略は深く、仲間さえ犠牲にして目的を達成しようとしていた。

平亭(へいてい)にいる銀妝(ぎん・そう)は、兄が火の中で苦しんでいるような痛みを感じた。信頼していた兄が死んだと思うと、心が張り裂けそうだった。一方、微生硯(びせい・けん)は満足そうな表情を浮かべていた。彼は銀妝(ぎん・そう)が自分だけのもになると信じていた。その瞬間、籬砂(り・さ)の指し石が割れた。不吉な予感がした彼女は部屋から飛び出し、銀霄(ぎん・しょう)の遺体が兵士に運ばれてくるのを見た。星芒剣は傍らに置かれていた。英雄の死を告げるものだった。

銀妝(ぎん・そう)は悲しみに暮れ、彼女の泣き声は周囲の人々の心を揺さぶった。それに呼応するように風が吹き荒れた。銀妝(ぎん・そう)の怒りと絶望は強力な力となり、彼女は星芒剣を握りしめ、微生硯(びせい・けん)に近づいた。目には復讐の炎が燃えていた。しかし、彼女は微生硯(びせい・けん)を簡単に殺すことはできないと考えた。自分の手で、彼の罪を償わせなければならないと思った。

一方、元一(げん・いつ)は玲瓏(れいろう)の部屋で異変に気づいた。玲瓏(れいろう)の額の印が金色に輝いていた。神主(しんじゅ)の力が彼女の意識を徐々に侵食していたのだ。元一(げん・いつ)は玲瓏(れいろう)との会話を思い出し、橋の上で出会った少女が、今では立派な戦士になったことを実感した。元一(げん・いつ)は玲瓏(れいろう)との運命が繋がっていることを知り、彼女を救う方法を見つけると決意した。たとえ自分が犠牲になっても。

夢盞(む・さん)は織火(しょくか)を去ろうとしたが、玲瓏(れいろう)に見つかってしまった。夢盞(む・さん)の仮死は微生硯(びせい・けん)を恐れたのではなく、別の理由があったのだ。彼は玲瓏(れいろう)に念光閣(ねんこうかく)の真の目的を明かし、元一(げん・いつ)への心配を伝えた。元一(げん・いつ)は玲瓏(れいろう)に罪悪感を感じさせたくなく、彼女に自分を忘れるようにさえ言った。その深い愛情は感動的だった。

飛魚船の残骸の上で、銀妝(ぎん・そう)は海を隔てて微生硯(びせい・けん)を見つめた。彼女は大きな代償を払っても、銀霄(ぎん・しょう)を「復活」させると決意した。籬砂(り・さ)は幻境の導きにより、銀霄(ぎん・しょう)を生き返らせるために自分を犠牲にすることを決意した。彼女は微生硯(びせい・けん)から憶晶(おくしょう)を手に入れ、前例のない試みに挑戦する準備をした。どんなに苦しくても、彼女は後悔しない。

愛と犠牲、正義と邪悪の戦いが、戦火に包まれたこの地で静かに始まった。それぞれの登場人物が、自分なりの方法で伝説を刻んでいく。

第36話の感想

第36話は、衝撃的な展開が続く、とても見ごたえのある回でした。特に、銀霄(ぎん・しょう)の死と銀妝(ぎん・そう)の復讐心に駆り立てられる姿は、見ていて胸が締め付けられる思いでした。また、微生硯(びせい・けん)の陰謀の深さと、彼の目的が明らかになったことで、今後の展開がますます気になります。

個人的に印象に残ったのは、籬砂(り・さ)の自己犠牲です。彼女は銀霄(ぎん・しょう)を救うために、自分の命を投げ出す決意をしました。彼女の強い意誌と、銀霄(ぎん・しょう)への深い愛情には感動させられました。

つづく