『幻想神国記 運命の旅路』第38話 あらすじ/ネタバレ
火屠辛(かと・しん)の心は引き裂かれそうだった。玲瓏(れいろう)を救う唯一の希望である合霊石(ごうれいせき)が、烏縁(う・えん)によって彼の命を救うために使われたことを知ったのだ。この犠牲は、玲瓏(れいろう)の死を目の当たりにすることと同じくらい耐え難いものであった。烏縁(う・えん)もまた、彼の死を見過ごすことはできなかった。
一方、微生硯(びせい・けん)の狂乱は平亭(へいてい)を混乱に陥れた。橘浅(きっせん)は墟嬰(きょえい)に傷つけられ、火屠辛(かと・しん)の腕輪は色を失い、銀妝(ぎん・そう)の犠牲を予感させた。かつて火屠辛(かと・しん)との情は鴻毛よりも軽いと言った銀妝(ぎん・そう)は、命を代償に合霊石(ごうれいせき)をもたらした。それは彼女が火屠辛(かと・しん)に残した最後の温もりだった。
籬砂(り・さ)が目を覚ますと、鏡に映っていたのは自分の姿ではなく、銀妝(ぎん・そう)の記憶と感情が彼女の心に芽生えていた。微生硯(びせい・けん)が銀妝(ぎん・そう)の手を握りしめ、それが本心からのものかどうか尋ねる瞬間を目撃した彼女は、銀妝(ぎん・そう)の言葉にできなかった深い愛情を感じた。籬砂(り・さ)は微生硯(びせい・けん)の前に立ち、額に触れると、銀妝(ぎん・そう)の記憶が潮のように押し寄せた。微生硯(びせい・けん)が忘れないでくれと懇願するまで、銀妝の姿は彼の記憶から薄れていき、彼は無力に倒れた。
火屠辛(かと・しん)は微生府に足を踏み入れると、銀霄(ぎん・しょう)と銀妝の冷たくなった遺体、そして銀妝の魂を宿した籬砂(り・さ)と対峙した。銀妝は火屠辛(かと・しん)への情は薄いと言っていたが、命をかけてその深い思いを証明してみせた。陰陽の腕輪が最後にぶつかり合い、火光の中で火屠辛(かと・しん)は火を祭壇として兄妹の遺体を焼き払い、この恩讐に終止符を打った。
烏縁(う・えん)は火屠辛(かと・しん)の決意を理解していた。彼女は玲瓏(れいろう)への彼の愛を理解し、自分が彼にとってどんな存在であるかもわかっていた。胸が張り裂けそうになるのを堪えながら、織火(しょくか)へと向かう火屠辛(かと・しん)を見送った。この別れが永遠の別れになるかもしれないとわかっていたが、玲瓏(れいろう)は彼を必要としていた。合霊石(ごうれいせき)も、そして父親も必要としていた。
織火(しょくか)の地では、元一(げん・いつ)が三度鳴り響く地火(ちか)警報を聞き、前代未聞の危機を告げた。山は崩れ落ち、炎は猛威を振るい、多くの犠牲者が出た。玲瓏(れいろう)は立ち上がり、彼女の神力は人々の唯一の希望となった。猛烈な火の海に直面し、玲瓏(れいろう)は決然と立ち上がった。凝石丸を手に、彼女は裂け目を修復する準備をした。しかし、神力は強大であったとしても、果てしない火の海の前ではあまりにも無力であった。玲瓏は絶望に飲み込まれそうになったが、そこに火屠辛(かと・しん)が現れた。闇闇の中の光のように、彼女は再び勇気を取り戻した。
平亭(へいてい)城内では、微生硯(びせい・けん)の狂気に怒った民衆が微生府の前に集まり、説明を求めた。烏縁(う・えん)は立ち上がり、力強く言葉を放った。弱者だからといって、他人を責めることができるわけではないと人々に思い出させた。墟嬰(きょえい)に感染した者の代表として、橘浅(きっせん)が勇敢に立ち上がり、彼女の強さは人々の心を打った。烏縁(う・えん)はこれを機に、皆が団結して互いを守ることを呼びかけた。
第38話の感想
第38話は、衝撃的な展開と深い感情描写が印象的な回でした。特に、銀妝と火屠辛(かと・しん)の関係には胸を打たれました。銀妝は、かつて火屠辛(かと・しん)との情は軽いと言っていましたが、命をかけて彼の命を救い、深い愛情を証明しました。火屠辛もまた、銀妝の犠牲に心を痛め、兄妹の遺体を火葬するシーンは涙なしには見られませんでした。
一方、微生硯(びせい・けん)の狂乱は、平亭(へいてい)を混乱に陥れました。しかし、烏縁(う・えん)の力強い言葉が人々の心を奮い立たせ、団結して困難に立ち向かう決意を固めました。
つづく