幻想神国記 運命の旅路 第39話 あらすじ/ネタバレ

宿川(しゅくせん)の夜空に響き渡る信号弾

宿川(しゅくせん)の夜空に、元一(げん・いつ)が放った信号弾が静寂を破る。すると、2人の翎牙衛(れいがえい)が月翎族の男を連行してきた。男は、緋天(ひ・てん)の翼を容赦なく引き裂いた張本人であり、その翼に刻まれた鉄の輪は、彼の罪の証である。

元一(げん・いつ)は、男の背後にさらに大きな陰謀が隠されていることを悟る。彼らは、宿川(しゅくせん)の神権と王権を崩壊させ、この地を混乱に陥れようと虎視眈眈なのだ。しかし、元一(げん・いつ)は緋天(ひ・てん)の犠牲から立ち直り、もはや操り人形の君主ではなく、宿川(しゅくせん)の王として再起することを決意する。

織火(しょくか)の地の危機

一方、織火(しょくか)の地では、族長と通山(つうさん)組が地火(ちか)の問題に頭を悩ませていた。先祖が残した晶壁(しょうへき)は深刻な損傷を受けており、修復が急務だった。しかし、この危険な任務を誰が引き受けるのか?

玲瓏(れいろう)は、朝起きて火屠辛(かと・しん)の姿が見えないことに気づき、探した末に、彼が庭で黙々と花の手入れをしているのを発見する。彼の両手は泥だらけで、まるで織火(しょくか)を離れる前の穏やかな時が戻ってきたかのようだった。玲瓏(れいろう)は駆け寄り、火屠辛(かと・しん)に大きな抱擁をするが、合霊石(ごうれいせき)の影響で感覚を失った火屠辛(かと・しん)は、その温もりを感じることができない。

平亭(へいてい)城の戦い

平亭(へいてい)城では、烏縁(う・えん)が墟嬰(きょえい)に感染した少女を橘浅(きっせん)に託し、燭琦(しょくき)と共に戦いに挑む。彼らは天羅地網を張り巡らし、城を封鎖し、火攻めによる殲滅作戦を展開する。烏縁(う・えん)は、亡くなった祖父の形見である匕首を握りしめ、孤軍奮闘する。

織火(しょくか)では、玲瓏(れいろう)が火屠辛(かと・しん)の汚れた手を丁寧に洗いながら、平亭(へいてい)の戦況を尋ねる。火屠辛(かと・しん)は、いつも良い知らせだけを伝え、籬砂(り・さ)が銀霄(ぎん・しょう)を取り戻したなどの朗報で彼女を安心させようとする。玲瓏(れいろう)と元一(げん・いつ)も、晶壁(しょうへき)の修復に追われていたが、その過程で、玲瓏(れいろう)は火屠辛(かと・しん)が危険な場所に現れた時のことをぼんやりと思い出し、疑問を抱く。

元一(げん・いつ)と玲瓏(れいろう)の再会

元一(げん・いつ)は玲瓏(れいろう)を訪ね、焰熄壁に無断で侵入したことを問い詰めようとするが、玲瓏(れいろう)は先手を打って、かつての彼の無謀さを許す。元一(げん・いつ)は、夢盞(む・さん)の言葉によって自己犠牲の考えを捨て、2人で力を合わせることの大切さを悟ったと感慨深げに語る。玲瓏(れいろう)は、半分冗談半分本気で、自分の苦労は夢盞(む・さん)の一言ほど効果がなかったと不満を漏らす。元一(げん・いつ)は笑いながら、嫉妬しているのかとからかう。

赤方(せき・ほう)の忠告

赤方(せき・ほう)は、火屠辛(かと・しん)を湖畔に誘い、玲瓏(れいろう)について語り合う。織火(しょくか)を離れて以来、玲瓏(れいろう)は数々の困難に遭遇してきたが、彼女を救うことができると主張する者は多くいても、最終的には火屠辛(かと・しん)が最後まで寄り添ったのだ。触覚を失った火屠辛(かと・しん)は、微生硯(びせい・けん)が合霊石(ごうれいせき)を拒否した理由をより深く理解し、玲瓏(れいろう)と織火(しょくか)のために、自分の信念を貫く決意をする。赤方(せき・ほう)は、玲瓏に火屠辛(かと・しん)との時間を大切にするよう言い残して、静かに去っていく。

平亭(へいてい)の戦いの決著

平亭(へいてい)の戦いは白熱化し、烏縁(う・えん)は墟嬰(きょえい)の大軍と一騎打ちを繰り広げる。亡き祖父の匕首を手に奮闘するものの、敵の数は圧倒的で、傷だらけになってしまう。その時、籬砂(り・さ)が星芒剣を携えて駆けつけ、銀霄(ぎん・しょう)の剣技と銀妝(ぎん・そう)の堅牢さで墟嬰(きょえい)を斬り倒し、火薬に点火して敵を一網打尽にする。戦いが終わると、籬砂(り・さ)は力尽きて烏縁(う・えん)の肩に倒れ込み、2人は身分こそ違えど、心は通じ合っていた。

火屠辛(かと・しん)の決意

翌朝、玲瓏は火屠辛(かと・しん)のために豪華な朝食を用意する。直感で、火屠辛(かと・しん)が何かを隠していることに気づいた玲瓏が問い詰めると、ついに火屠辛(かと・しん)は銀氏(ぎんしき)兄妹の不幸を打ち明ける。元一(げん・いつ)は黙って見守る中、火屠辛(かと・しん)は疲れ切った様子で、これ以上多くのことを考える余裕がないことを悟り、玲瓏との穏やかな時間を過ごすことだけを願う。彼は、かつて2人で野菜を採集した白林に再び赴くことを提案する。季節は違えど、野菜は豊富ではないものの、彼は玲瓏のためにあの純粋な喜びを取り戻したいと願うのだった。

第39話の感想

第39話は、緊迫感のある展開とキャラクターの心情の変化が印象的な回でした。

宿川(しゅくせん)では、元一(げん・いつ)が緋天(ひ・てん)の犠牲から立ち直り、王として再起を誓う姿が描かれました。一方、織火(しょくか)の地では、晶壁(しょうへき)の修復や墟嬰(きょえい)との戦いに苦悩する人々の姿が描かれました。

特に印象的だったのは、火屠辛(かと・しん)の心情の変化です。彼は、触覚を失ったことで微生硯(びせい・けん)の気持ちを理解し、自分の信念を貫く決意をします。また、銀氏(ぎんしき)兄妹の不幸を打ち明けたことで、玲瓏との絆が深まったように感じられました。

つづく