長月輝伝~愛と救世の輪廻~ 第36話 あらすじ/ネタバレ

黎蘇蘇(りすす)の決意と衢玄子(くろげんし)の理解

黎蘇蘇(りすす)は紅塵への執著を断ち切れず、無情道の修行に踏み出せないでいる。その苦悩を養父である衢玄子(くろげんし)に打ち明けた。衢玄子(くろげんし)は責めることなく、理解と支持を示した。彼は滄九旻(そうきゅうみん)が護心麟を浄化できたことは、心の純粋さの証であり、黎蘇蘇(りすす)を託すに足る人物だと考えていた。衢玄子(くろげんし)はただ黎蘇蘇(りすす)の幸せを願っており、未来に変化があってもそばにいて、邪骨を製御する方法を探すことを約束した。この会話は偶然にも諦冕(ていべん)に聞かれ、彼の疑念を招いた。

廿白羽(にじゅう・はくう)の苦悩と姒嬰(じえい)の野望

一方、廿白羽(にじゅう・はくう)は姒嬰(じえい)の命令を受け、一族の命を盾に、沧九旻を荒淵に連れ戻すという苦渋の道を歩む。その頃、衢玄子(くろげんし)は諦冕(ていべん)と協力して、黎蘇蘇(りすす)に邪骨の危機を解除するための法陣を敷いていた。諦冕(ていべん)は表面上、黎蘇蘇(りすす)と滄九旻(そうきゅうみん)を安心させるために邪骨を抑えることを提案したが、内心には別の思惑があった。彼は黎蘇蘇(りすす)に荒淵で丹精込めて彫った熔岩の虎を贈り、生父からの贈り物に黎蘇蘇(りすす)は心を温めた。

希望と裏切りの予兆

黎蘇蘇(りすす)は希望に満ちて滄九旻(そうきゅうみん)に、父親が邪骨を抑える方法を見つけたこと、3日後に法陣を敷くことを伝えた。滄九旻(そうきゅうみん)は黎蘇蘇(りすす)が出関したら、聘礼を持って迎えに来ると約束した。兆悠(ちょうゆう)真人は衢玄子(くろげんし)の義挙に感謝し、滄九旻(そうきゅうみん)は魔胎ではあるが、護心麟を浄化したことで神性を示しており、未来には蒼生を守る棟梁になると信じていた。

姒嬰(じえい)は妹女(まいじょ)との会話の中で、魔神(ましん)の復活への渇望と無力さを吐露した。妹女(まいじょ)は万物に定めがあると達観し、自分らしく生きることが重要だと考える。姒嬰(じえい)は魔神(ましん)の望みが自分の望みであり、そのためにすべてを捧げると決意していた。

しかし、法陣を敷く日は予想通りにはいかなかった。法陣は完成したが、黎蘇蘇(りすす)は目覚めず、邪骨は逆に体から離れてしまった。そして、諦冕(ていべん)の真の姿が明らかになった。彼は斬天剣を振りかざし、衢玄子(くろげんし)に襲いかかった。彼は邪骨と魔神(ましん)の力をずっと狙っていたのだ。激闘の末、衢玄子(くろげんし)は命を落としたが、最期に諦冕(ていべん)を刺し、黎蘇蘇(りすす)の側に倒れた。

悲劇と疑惑の渦

黎蘇蘇(りすす)は目を覚ますと、岳涯(がくがい)から滄九旻(そうきゅうみん)の「裏切り」を聞かされ、心は打ち砕かれた。しかし、彼女は信じようとせず、各大仙門の包囲計画に直面しても、滄九旻(そうきゅうみん)に弁明の機会を与えるよう主張した。だが、公冶寂(こうやせい)は衡陽宗掌門の名のもとに黎蘇蘇(りすす)を軟禁した。

魔域に囚われた滄九旻(そうきゅうみん)は目を覚ますと、危険な状況に置かれていることに気づいた。廿白羽(にじゅう・はくう)が現れ、自分が策略に嵌められたことを悟った。廿白羽(にじゅう・はくう)から夷月族の苦難と姒嬰(じえい)、驚滅(きょうめつ)の陰謀を知った。姒嬰(じえい)は自身の経験を語り、滄九旻(そうきゅうみん)に魔神(ましん)となって夷月族を救うよう説得しようとしたが、滄九旻(そうきゅうみん)は個人の犠牲が四洲三界の劫難を埋め合わせられないことを理解しており、その要求を拒否した。姒嬰(じえい)は消息を流して、外界に滄九旻(そうきゅうみん)が完全に魔道に堕ちたと誤解させ、今後の展開に伏線を張った。

この回では、感情の葛藤と権力の闘いが交錯し、それぞれのキャラクターが自分の信念のために戦っている。そして、真実が明らかになることで、すべてがより複雑で不可解なものになっていく。

第36話感想

第36話は、愛と裏切り、葛藤と決意が交錯する、まさに激動の回でした。黎蘇蘇(りすす)の紅塵への執著、衢玄子(くろげんし)の深い理解、沧九旻の揺るぎない愛、そして諦冕(ていべん)の隠された野望が明らかになり、物語はさらなる複雑さを増しています。

特に印象に残ったのは、衢玄子(くろげんし)の黎蘇蘇(りすす)への無償の愛です。彼は黎蘇蘇(りすす)の幸せを第一に考え、邪骨の製御方法を探し、命をかけて諦冕(ていべん)に立ち向かいました。彼の死は黎蘇蘇(りすす)に大きな悲しみをもたらしましたが、同時に彼女の心に深い愛情と感謝の気持ちを残したでしょう。

また、滄九旻(そうきゅうみん)の揺るぎない愛にも胸を打たれました。彼は黎蘇蘇(りすす)のために魔域に囚われながらも、彼女を信じ、真実を明らかにしようとします。彼の強い意誌と決意は、黎蘇蘇(りすす)への深い愛情の表れであり、今後の展開にも期待が高まります。

つづく