広大な昊天の世界では、千年ごとに冥王が降臨し、世界を極寒と闇に包む「永夜」と呼ばれる災厄が訪れる。人々は苦難に喘ぎ、万物も枯れてしまう。しかし、この世界には「元気」と呼ばれる力が存在し、限られた者だけが意念で操り、修行者として崇められる。修行は初境から始まり、感知、不惑、洞玄、知命と進み、最終的には父子相伝の秘技、無矩の境地に至る。

四大宗派が修行界を牽引する。西陵(せいりょう)に位置する昊天道は昊天を崇拝し、神国を築き天下を治める。魔宗は昊天道から分派し、冥王を信仰する異端として極北の荒野へ追放された。天擎宗(てんけいしゅう)は人裏離れた場所で修行に励み、元気の奥義を極める。そして、夫子(ふうし)が設立した大唐書院(しょいん)は広く門戸を開き、多くの弟子を育成し、世の尊敬を集めている。

物語は渭城の辺境で始まる。梳碧湖(そへきこ)の樵夫を名乗る少年、寧缺(ねい・けつ)は砂漠でくつろぎ、長年連れ添った武器を傍らに置いていた。彼は一見怠惰だが、実は思慮深い少年だ。天啓十五年、突如として単于(ぜんう)が急死し、金帳王庭(きんちょうおうてい)の掟に従い公主の李漁は殉葬されるはずだった。しかし、侍女が身代わりとなり、李漁は夜陰に紛れて逃亡。修行者の呂清臣に助けられ、侍女として渭城へと逃れてきた。

夜明けと共に、寧缺(ねい・けつ)は黒い軍馬に乗って帰還し、守城将軍の馬士襄は喜びに満ちて彼を迎える。馬士襄は寧缺(ねい・けつ)の命の恩人であり、父のような存在だ。寧缺(ねい・けつ)の帰還を聞き、死人の中から彼に救われ共に暮らす少女、桑桑(そうそう)は嬉しそうに駆け寄る。彼女の笑顔は砂漠の泉のように温かく純粋だ。

一方、昊天神殿では天諭院(てんゆいん)の卒業試験が行われていた。燕国の皇子、隆慶は白い衣装をまとい、大神官(だいしんかん)の試問に対し、自信に満ちた「光明論」を展開する。彼は光明は永遠であり、昊天は不滅だと信じて疑わない。しかし、裁決司(さいけつし)司座の羅克敵は彼に更なる試練を与える。荒野で魔宗の山門を探し、三司の試験に合格しなければ光明殿(こうめいでん)には入れないというのだ。隆慶は恐れず、幽閉されている光明大神官(だいしんかん)、衛光明(えい・こうめい)を訪ね、助言と激励を受ける。

渭城の夜は静かで温かい。桑桑(そうそう)は入浴する寧缺(ねい・けつ)の背中を流し、二人は楽しそうに戯れる。まるで悩みなど何もないかのように。一方、侍女に扮した李漁は渭城に辿り著き、馬士襄に岷山を越えるための案内人を依頼する。馬士襄は熟慮の末、寧缺(ねい・けつ)を派遣することを決める。当初、寧缺は危険な任務を避けたがっていたが、書院(しょいん)からの返事と呂清臣が同行すると知り、決意を固めるのだった。

第1話 感想

「将夜 戦乱の帝国」第1話は、壮大な世界観と魅力的なキャラクターたちで視聴者を一気に物語の世界へ引き込みました。千年ごとに訪れる「永夜」という設定や、修行者たちの存在、そして四大宗派の対立構造など、今後の展開に期待を抱かせる要素が満載です。

特に印象的だったのは、主人公寧缺の飄々とした雰囲気の中にある芯の強さ。一見怠け者のように見えますが、いざという時には頼りになる存在感を醸し出しています。彼と桑桑(そうそう)の温かい関係性も心に残りました。死人の中から救われた桑桑(そうそう)の純粋な笑顔は、過酷な世界の中で一筋の光のように感じられます。

一方、昊天神殿での隆慶の登場シーンも印象的。自信に満ち溢れた態度は、皇子としての風格を感じさせます。しかし、羅克敵から与えられた試練は容易なものではありません。彼の今後の動向にも注目したいところです。

衛光明(えい・こうめい) えい・こうめい

つづく