深い夜、復讐心に燃える寧缺(ねい・けつ)は、陳子賢(ちんしけん)を討つことを誓っていた。かつての宿敵である陳子賢(ちんしけん)も一歩も引かず、両者は激突する。戦闘中、陳子賢(ちんしけん)は寧缺(ねい・けつ)の正体に気づき、動きを止める。寧缺(ねい・けつ)の問いかけにも、陳子賢(ちんしけん)は沈黙を守り、過去について何も語ろうとはしなかった。実は、陳子賢(ちんしけん)は妻子に不幸があり、自らを責め、鍛冶屋として贖罪の日々を送っていたのだ。寧缺(ねい・けつ)は彼を臆病者と罵り、激昂した陳子賢(ちんしけん)は鉄棒を振り回すが、最終的にはかつての銀票を取り出し、林将軍一家への深い懺悔の意を示す。

一方、隆慶は羅克敵の手の者たちに囲まれ、重傷を負っていた。その時、臨風長老として葉紅魚(よう・こうぎょ)が現れ、羅克敵と死闘を繰り広げる。葉紅魚(よう・こうぎょ)は勝利を収め、羅克敵は不甘ながらも敗北を受け入れる。

緊迫した状況の中、寧缺(ねい・けつ)と陳子賢(ちんしけん)の対立は頂点に達する。陳子賢(ちんしけん)は刀を振り上げるが、寧缺(ねい・けつ)に返り討ちに遭い命を落とす。息絶える間際、陳子賢(ちんしけん)は「冥王の子」と呟き、血泊に倒れる。この言葉は、寧缺(ねい・けつ)の心に更なる複雑な思いを抱かせる。

同じ頃、桑桑(そうそう)は李漁の誕生日を祝う宴に胸を躍らせて参加していたが、寧缺(ねい・けつ)の姿は見当たらない。質素な身なりで宴に出席することをためらった寧缺(ねい・けつ)は、川辺で洗濯をしている最中に小蛮(しょうばん)と出会い、彼女に連れられて宴の席へと向かう。桑桑(そうそう)は寧缺(ねい・けつ)に留まるよう懇願するが、寧缺(ねい・けつ)は桑桑(そうそう)を連れて静かに立ち去り、李漁には戸惑いと寂しさだけが残される。

華山岳(かざんがく)が李漁のために用意した金魚は、小蛮(しょうばん)が生きたものが好きだという理由で冷遇される。李琿圓にからかわれた李漁は怒って席を立つ。陸晨伽に付き添われた隆慶は、重傷にも関わらず、彼女の念力の助けを借りて奇跡的に洞玄の境地に達し、二人は喜びを分かち合い抱き合う。

都城府尹の上官揚羽(じょうかんようう)は役人たちと共に鍛冶屋を訪れ、陳子賢(ちんしけん)の死因を調査する。傷は自殺のように見えるが、不審に思った上官揚羽(じょうかんようう)は現場を封鎖し、捜査を進めることにする。隆慶と葉紅魚(よう・こうぎょ)は掌教(しょうきょう)に謁見しようとするが、天諭院(てんゆいん)院長の妨害に遭う。最終的に掌教(しょうきょう)は葉紅魚(よう・こうぎょ)を大司座に、隆慶を二司座に任命し、二人に誅殺の権限を与えると共に、羅克敵を幽閣に閉じ込める罰を与える。

寧缺(ねい・けつ)は陳皮皮(ちんぴぴ)からの手紙に心の慰めを見出し、過去にとらわれず、手紙に隠された謎を解き明かそうとする。翌日、寧缺は桑桑(そうそう)に臨湖小築のことを調べさせ、自分は書院(しょいん)へ向かう。授業中、疲れから居眠りをしてしまい、曹知風(そうちふう)に何度も注意される。授業が終わると、寧缺は二階の書斎に戻り、陳皮皮(ちんぴぴ)の手紙を読み解き、心の導きを求める。

書院(しょいん)の生徒たちが紅袖招に集まる際、寧缺は桑桑(そうそう)を誘うが断られてしまう。仕方なく、寧缺は一人で宴に向かう。生徒たちに囲まれ、酒を飲み過ぎた寧缺は、部屋で休むことになる。桑桑(そうそう)は家で鶏のスープを作り、寧缺の帰りを待つ。しかし、夜遅くなっても寧缺は戻らず、手つかずのスープと桑桑(そうそう)の心配だけが残される。

第12話 感想

第12話は、様々な登場人物の感情が交錯する、非常にドラマチックな展開でした。寧缺の復讐心、陳子賢(ちんしけん)の贖罪、隆慶の苦境と復活、李漁の誕生日と孤独、そして桑桑(そうそう)の健気な愛情など、それぞれの想いが複雑に絡み合い、物語に深みを与えています。

特に印象的だったのは、寧缺と陳子賢(ちんしけん)の対決シーンです。陳子賢の沈黙、そして最期の言葉「冥王の子」は、多くの謎を孕んでおり、今後の展開に大きな影響を与えそうです。寧缺自身もこの言葉に動揺しており、彼の出生の秘密が徐々に明らかになっていく予感を感じさせます。

また、隆慶と葉紅魚(よう・こうぎょ)の関係性の変化も注目すべき点です。羅克敵との戦いを経て、二人の絆はより深まり、互いに支え合う存在へと成長していく様子が描かれています。隆慶が洞玄の境地に達したシーンは、陸晨伽の献身的なサポートと相まって、感動的な場面でした。

つづく