夜明けの薄明かりの中、寧缺(ねい・けつ)は朴刀を肩に担ぎ、臨湖小築へと歩みを進めた。桑桑(そうそう)は不安で胸が張り裂けそうになり、護身用の傘を寧缺(ねい・けつ)に手渡し、彼の無事を祈った。小築に著くと、湯は沸いているのに人影はなく、訝しんでいると、顔粛卿が慌ただしく戻ってきた。寧缺(ねい・けつ)は単刀直入に、顔粛卿が陳子賢(ちんしけん)、張貽琦(ちょう・いき)と共謀して林将軍を陥れ、さらに罪なき燕唐国境の民を巻き込んだことを責め立てた。しかし顔粛卿は昊天の名を語り、全ては天命に従ったまでだと主張した。
寧缺(ねい・けつ)は食い下がり、黒幕を問い詰めると、顔粛卿はついに李沛言も関与していたことを白状した。その言葉が終わるや否や、顔粛卿は念力で刃を形成し、寧缺(ねい・けつ)に襲いかかった。寧缺(ねい・けつ)は機敏な身のこなしで辛うじて攻撃をかわしたが、激しい戦闘が始まり、剣戟が飛び交った。寧缺は奮戦するも、傷が深く次第に力尽きていく。顔粛卿は嘲笑しながら攻撃の手を緩めず、寧缺は死力を尽くして楼上に逃げ、緻命傷は免れたものの、満身創痍となった。それでも寧缺は諦めず真相を問い続け、瀕死の彼を見た顔粛卿は、ついに黒幕が衛光明(えい・こうめい)であることを明かした。
絶体絶命の窮地に陥った寧缺はとっさに桑桑(そうそう)からもらった傘を広げ、顔粛卿の緻命的な一撃を防いだ。その隙に仮撃に出た寧缺は、一剣を顔粛卿の心臓に突き刺し、顔粛卿は絶命した。一方、隆慶は程立雪(てい・りゅうせつ)に別れを告げ、唐国へ向かい夫子(ふうし)に師事したいという大誌を抱いていた。程立雪(てい・りゅうせつ)は彼を激励し、障害を取り除くことを約束した。
負傷した寧缺は朱雀(すざく)天街を通って帰る途中、突如復活した朱雀(すざく)の炎に包まれ、九死に一生を得るも瀕死の重傷を負った。時を同じくして、桑桑(そうそう)は寧缺の危機を予感し、風雨をものともせず彼を探しに出た。衛光明(えい・こうめい)の弟子もまた異変を感じ、「冥王の子」を排除しようと動き出した。
雨上がりの空の下、寧缺は奇跡的に意識を取り戻し、傷の痛みもいくらか和らいでいたが、体は依然として衰弱していた。書院(しょいん)に何とか戻ると余簾に問いただされるが、彼女もできることはなく、ただ天の加護を祈るしかなかった。李青山は顔瑟(がんしつ)に朱雀(すざく)の異変と顔粛卿の死を報告し、顔瑟(がんしつ)は朱雀(すざく)が天意によって動いたと推測した。
陳皮皮(ちんぴぴ)は偶然入った旧書楼で、瀕死の寧缺を発見した。天命には逆らえないと知りつつも、彼の死を見過ごすことができず、貴重な通天丸で命をつないだ。駆けつけた桑桑(そうそう)は陳皮皮(ちんぴぴ)に救いを懇願し、その真心に心を打たれた陳皮皮(ちんぴぴ)は、苦渋の決断の末、貴重な薬を差し出した。寧缺は薬を服用すると、夢の中で一面の花畑に包まれ、徐々に生気を取り戻していった。
再び目を開けた寧缺は、陳皮皮(ちんぴぴ)と桑桑(そうそう)の心配そうな顔を見た。陳皮皮(ちんぴぴ)は通天丸の貴重さを嘆きながらも、寧缺の蘇生を喜んだ。全ては、諦めない強い意誌と深い愛情が、奇跡を起こしたのだった。
第14話の感想
第14話は、息詰まる展開と感動的なシーンが交錯する、まさに怒涛のエピソードでした。寧缺の窮地、桑桑(そうそう)の深い愛情、そして陳皮皮(ちんぴぴ)の優しさ、それぞれのキャラクターの心情が丁寧に描かれており、感情移入せずにはいられませんでした。
特に印象的だったのは、寧缺と顔粛卿の対決シーンです。顔粛卿の冷酷さと寧缺の正義感がぶつかり合い、緊迫感溢れる戦闘は手に汗握るものでした。桑桑(そうそう)から贈られた傘が生死を分ける鍵となる展開も秀逸で、彼女の存在の大きさを改めて感じさせられました。
つづく