華山岳(かざんがく)はすぐに酔いつぶれ、李漁は人に命じて彼を運ばせた。程立雪(てい・りゅうせつ)が無礼な言葉を吐くと、李漁は不満げな様子を見せた。隆慶が唐人の酒量の乏しさを嘲笑うと、桑桑(そうそう)は一気に五壇もの酒を飲み幹した。李漁は隆慶と桑桑(そうそう)に酒比べを提案するが、程立雪(てい・りゅうせつ)は小さな娘と皇子を比べさせるのかと李漁に文句を言う。李漁は負けじと、隆慶こそ招かれざる客であり、崇明(すうめい)との別れを邪魔したのだと仮論した。
隆慶は桑桑(そうそう)を褒め称え、褒美を与えようとする。程立雪(てい・りゅうせつ)はすかさず桑桑(そうそう)を隆慶に仕えさせようと提案するが、寧缺(ねい・けつ)は即座に仮対する。隆慶は寧缺(ねい・けつ)に自分との友情を失うことになると脅すが、寧缺(ねい・けつ)は意に介さない。隆慶と寧缺(ねい・けつ)は激論を交わし、寧缺(ねい・けつ)は隆慶には桑桑(そうそう)を持つ資格などないと断言し、李漁にもないと付け加えた。二人は一歩も譲らず、寧缺(ねい・けつ)は隆慶に「天に目があるか」「天地に元気はあるか」「靴下に穴は空いているか」といった質問を投げかける。隆慶は流れるように答えるが、「靴下に穴は空いていない」という問いには否定する。桑桑(そうそう)は即座に異議を唱え、周囲の笑いを誘う。寧缺(ねい・けつ)は桑桑(そうそう)は自分の侍女だと宣言し、隆慶に諦めるよう告げる。寧缺(ねい・けつ)の堂々とした発言に、在場の者は皆拍手喝採を送った。隆慶は寧缺(ねい・けつ)に桑桑(そうそう)を守れる力はないと脅し、李漁は寧缺(ねい・けつ)を庇う。隆慶は寧缺(ねい・けつ)に二層楼での決闘を申し込む。寧缺(ねい・けつ)はひるむことなく、李漁に別れを告げ、隆慶を皮肉って立ち去った。
面目を潰された隆慶は程立雪(てい・りゅうせつ)と共にその場を去る。程立雪(てい・りゅうせつ)は桑桑(そうそう)が李漁の差し金ではないかと疑い、隆慶を辱めるために仕組まれたのではないかと考える。隆慶は程立雪(てい・りゅうせつ)に桑桑(そうそう)の素性を調べるよう命じる。李漁は寧缺を屋上に呼び出し、今日の彼の行動を褒め称える。そして、書院(しょいん)での寧缺の人気が低いことを指摘するが、寧缺は気にしない。李漁は寧缺に二層楼に登るよう促し、隆慶の陰謀を阻止するように、そして発破をかけて寧缺を鼓舞する。
崇明(すうめい)も隆慶に二層楼に登って欲しくないため、李漁と対策を練る。彼は兄弟の仲たがいも厭わず、王位を手に入れようとしていた。そして、李漁に李琿圓のために全力を尽くすよう励ます。崇明(すうめい)と李漁は、後日再会した際には、再び愛を育むことを約束する。
寧缺は早朝、陳皮皮(ちんぴぴ)に豪華な朝食を用意し、隆慶に勝つための協力を頼む。そして、試験問題を漏らしてくれるよう頼むが、陳皮皮(ちんぴぴ)は不正行為に加担することを拒否し、そもそも隆慶には勝てないと言う。寧缺は納得せず、陳皮皮(ちんぴぴ)を脅して試験の規則や手順を聞き出す。夫子(ふうし)が重視するのは生徒の人間性であり、寧缺は本心に従い、物事を極限まで行えば、夫子(ふうし)の認可を得られると教えられる。陳皮皮(ちんぴぴ)自身は試験免除で二層楼に上がったのだと聞き、寧缺はそれを心に留める。
李琿圓は李漁に泣きつき、華山岳(かざんがく)の厳しい訓練に耐えかねて、もう軍営には行きたくないと訴える。李漁は傷だらけの李琿圓を見て心を痛め、華山岳(かざんがく)を呼び出して問い詰める。華山岳(かざんがく)は李琿圓のひ弱な体質を鍛え上げる必要があると言い、さもなくば将来的に人望を失うと主張する。そして、李漁に唐王との関係を良好に保つよう助言する。
寧缺は明日が書院(しょいん)二層楼の試験だというのに、全く眠れない。自信がないのだ。桑桑(そうそう)は寧缺に体力を温存するよう言い聞かせ、夫子(ふうし)の直弟子となり、卓爾(たくじ)の仇を討ち、将軍府の冤罪を晴らすことができると信じている。崇明(すうめい)と隆慶は別れを告げ、酒を酌み交わしながら、復国会の壊滅について語り合う。隆慶は崇明(すうめい)に李漁のために全てを捨てるべきではないと忠告するが、崇明(すうめい)は李漁への想いを断ち切れない。崇明(すうめい)法師は隆慶と争うつもりはなく、二人は燕国の復興を誓い合って握手を交わす。
第19話の感想
第19話は、寧缺の強い意誌と桑桑(そうそう)への深い愛情が際立つエピソードでした。隆慶皇子との対立は、身分差や権力に屈しない寧缺の不屈の精神を象徴しています。酒比べのシーンでは、桑桑(そうそう)の大胆な行動が見ている者を驚かせ、寧缺への忠誠心が強く伝わってきました。隆慶の挑発にも臆することなく、堂々と仮論する寧缺の姿は、まさに痛快です。
特に印象的なのは、寧缺が隆慶に投げかける一連の質問です。「天に目があるか」「天地に元気はあるか」「靴下に穴は空いているか」という一見突飛な質問は、権威や常識にとらわれない寧缺の自由な発想を表現しています。そして、最後の質問に対する隆慶の否定と桑桑(そうそう)のツッコミは、場を和ませるだけでなく、寧缺と桑桑(そうそう)の強い絆を改めて感じさせる効果的な演出でした。
李漁の思惑や崇明(すうめい)の野心など、複雑な人間関係も描かれており、今後の展開への期待が高まります。寧缺と隆慶の対決は避けられない状況となり、二層楼への挑戦を控えた寧缺のプレッシャーも伝わってきました。桑桑(そうそう)の励ましは、寧缺にとって大きな支えとなるでしょう。陳皮皮(ちんぴぴ)とのやり取りもコミカルで、緊張感漂う物語の中で良い息抜きとなっています。
つづく