寧缺(ねい・けつ)と馬将軍の密談を、門の外で待っていた李漁公主が聞いてしまう。怒り心頭で部屋に押し入った公主は、修行のことばかり考えている粗野な若者など必要ないと、寧缺(ねい・けつ)を罵倒する。馬将軍は寧缺(ねい・けつ)をかばい、書院(しょいん)の試験で優秀な成績を収めた彼の功績を、修行の達人である呂清臣と共に公主に説明する。公主は渋々ながら寧缺(ねい・けつ)の同行を認めた。

公主が去った後、馬将軍は安堵の息を吐き、寧缺(ねい・けつ)を見つめる目に涙が浮かぶ。師弟の深い絆がそこにあった。

一方、唐の都では、壮麗な王宮が砂漠の荒涼とした風景とは対照的に輝いていた。夜、王妃の夏天(か・てん)は一人蝋燭に火を灯していた。そこへ兄の夏侯(か・こう)将軍が訪れ、公主が都に戻れば危険にさらされると警告し、夏天(か・てん)自身も気を付けるように忠告する。二人は魔宗の出身で、深い因縁で結ばれていた。

同じ頃、国師の李青山は唐王・李仲易(り・ちゅうえき)に謁見し、公主の一行に災いが降りかかるという占いの結果を伝え、救援隊の派遣を促す。

寧缺(ねい・けつ)の友人、卓爾(たくじ)は夏侯(か・こう)の動きを探るため王宮に潜入するが、怪我を負ってしまう。幸いにも魚龍幇(ぎょりゅうほう)の幇主、朝小樹(ちょう・しょうしゅ)に助けられる。”春風亭(しゅんぷうてい)の老朝”として知られる朝小樹(ちょう・しょうしゅ)は、夏侯(か・こう)の強さを卓爾(たくじ)に警告する。

寧缺の小屋では、桑桑(そうそう)が都への旅を不安に思っていた。寧缺は愛馬を売って旅費を工面し、都でも砂漠と同じように暮らせると桑桑(そうそう)を安心させる。夜、桑桑(そうそう)の寒疾が悪化し、寧缺はいつものように酒と体温で彼女を温める。

翌朝、別れの時が来た。桑桑(そうそう)は故郷を離れるのが辛く、涙を流す。馬将軍が老馬に乗って見送りに来る。寧缺は平静を装うが、内心は別れを惜しんでいた。愛用の蜥蜴を老馬に託し、自分の帰りを待つように言う。

西陵(せいりょう)の桃山(とうざん)では、“花痴(かきち)”の陸晨迦が、荒原への旅に出る隆慶を心配していた。隆慶は彼女のために極北の雪蓮を持ち帰ると約束する。しかし、西陵(せいりょう)裁決司(さいけつし)は隆慶の抹殺と、衛光明(えい・こうめい)一派の排除を企んでいた。

唐の北山道で、公主一行は寧缺の仮対を押し切り、危険な道を通ることを選ぶ。案の定、夏侯(か・こう)と国師の刺客に襲撃される。寧缺は苦戦するが、呂清臣と共に刺客たちを倒す。その中には魔宗の秘術を使う書院(しょいん)の脱落者もおり、過剰な天地元気を製御できずに爆死する。

この戦いを感知した李青山は、形勢が変わったことを悟る。修行をしていない者がこれほどの力を持つとは、唐に大きな嵐が来る前兆だと予感する。そして、その嵐の中心にいるのは、黄楊の弓を持つ梳碧湖(そへきこ)の樵――寧缺だった。

第2話の感想

『将夜 戦乱の帝国』第2話は、それぞれの登場人物の運命が複雑に絡み合い、今後の展開を予感させる濃密なエピソードでした。寧缺と李漁公主の出会いは、まさに最悪の第一印象。身分の違い、価値観の相違がぶつかり合い、険悪なムードが漂います。しかし、馬将軍の温情あふれるフォローや、寧缺の秘めた実力の片鱗が垣間見えることで、二人の関係性に変化の兆しが見え隠れするのも興味深い点です。

都では、王宮を舞台に権力争いの陰謀が渦巻いています。夏侯(か・こう)将軍と夏天(か・てん)王妃の兄妹、そして国師李青山。それぞれの思惑が交錯し、緊張感が高まります。特に、魔宗の存在が明らかになり、物語に深みが増しました。今後の展開で、彼らがどのような役割を果たすのか、目が離せません。

つづく