あらすじ
第二十一話は、顔瑟と李青山が寧缺の書道の才能を高く評価し、昊天道南門への入門を決める場面から始まります。寧缺は血を墨に代えて字を刻むという方法で、心理的な障壁を乗り越え、心の扉を開きます。
その後、寧缺と隆慶は山頂で夫子の試練を受けます。寧缺は光を選び、桑桑との約束を守り抜くことで試練を乗り越えます。一方、隆慶は極端な選択をしたために脱落してしまいます。
寧缺の勝利は書院の師生から賞賛を集めますが、同時に一部の人々からは疑問の声も上がります。顔瑟と李青山は唐王に寧缺を推薦し、彼を最高の神符師に育て上げることを願います。
ネタバレ
簡素ながらも芸術的な雰囲気に満ちた寧缺の小屋に、顔瑟と李青山が足を踏み入れた。壁一面に飾られた書に目を奪われ、その独特かつ精緻な筆緻に深く感銘を受ける。二人は寧缺を稀代の天才と賞賛し、李青山は寧缺の書体が唐王の御書房にある秘蔵の書と酷価していることに気付く。すぐさま御書房へ赴き、顔瑟は「花開彼岸天」を凝視した後、寧缺を昊天道南門に迎え入れ、自身の後継者とすることを心に決める。出発前、李青山は国師の令牌を顔瑟に渡し、全面的な支援を約束した。
一方、寧缺は小屋の前で「君子不器」の四文字を覚えようと繰り返し試みるが、焦燥感からなかなか覚えられない。ついに彼は歯を食いしばり、血で「器」の字を掌に刻み、ようやく小屋の扉を開ける。この行動に君陌は小賢しいと嘆息しつつも、かつての師兄の姿を思い出す。
その頃、隆慶は既に山頂に到達していたが、体力の限界で倒れ込む。後を追って寧缺も一歩一歩、重たい足取りで登っていく。過去の傷と憎しみが波のように押し寄せ、彼の精神を苛む。陳皮皮は遠くから寧缺が無事に試練を乗り越えるよう祈っていた。
ついに寧缺も山頂へ辿り著くと、既に目を覚ました隆慶が待ち構えていた。二人は竹片を手に、更なる試練へと進む。隆慶は再び桑桑への想いを口にするが、寧缺は自身の貧しさと孤独に胸を締め付けられる。
次に、二人は夫子の試練を受ける。隆慶は自身の欲望と野心に向き合うが、最終的に幻影の中の恋人、陸晨伽と葉紅魚を手にかけ、道を踏み外してしまう。一方、寧缺は光と闇の選択を迫られ、迷わず光を選び、桑桑と卓爾を決して諦めないことを誓う。夫子は彼の選択を認め、新たな生を与えた。
しかし、真の試練はまだ終わっていなかった。寧缺は幻の中で別の「桑桑」に遭遇する。彼女の異様な様子から、寧缺はこれが本当の桑桑ではないことに気付く。苦悩の末、幻影を見破り、鍵となる半分の瓢箪を見つけ、試練を突破する。隆慶は執著と残虐な行為により、余帘から失格を宣告される。
書院は寧缺の勝利に沸き返るが、彼は疲労困憊で倒れてしまう。顔瑟と李青山は唐王に寧缺の才能を報告し、顔瑟自ら指導して最高の符師に育て上げることを提案する。唐王は強い興味を示し、若き俊才との面会を心待ちにする。
書院では寧缺の勝利の知らせが広まり、程立雪たちは不服ながらも結果を受け入れるしかない。顔瑟は一刻も早く寧缺を弟子に迎え入れようと画策し、李漁は早速唐王に吉報を伝える。しかし、全員が寧缺の勝利を素直に受け入れたわけではなく、程立雪たちは書院の不正を疑い、調査を求めるが、顔瑟と李漁の断固とした態度に阻まれる。
第二十一話 感想
第二十一話は、寧缺の才能と精神力の強さが際立つエピソードでした。血で「器」の字を刻むシーンは、彼の決意の固さを象徴的に表しており、強い印象を残しました。山頂への過酷な道のりは、肉体的な試練であると同時に、過去のトラウマと向き合う精神的な試練でもありました。隆慶との対比も効果的で、欲望に溺れ道を誤る隆慶と、信念を貫き通す寧缺の姿が鮮明に描かれていました。
夫子の試練は、まさに二人の内面を映し出す鏡のようでした。隆慶は幻影に惑わされ、愛する者さえも手に掛けてしまう残酷さを露呈します。一方、寧缺は光を選び、愛する桑桑と卓爾を守るという強い意誌を示しました。この選択は、彼の優しさだけでなく、揺るぎない精神力の強さを示すものでもありました。
偽りの桑桑が登場する場面は、緊張感がありました。寧缺が冷静に幻影を見破ることで、真の強さを改めて実感させられます。瓢箪を見つけるシーンは、彼の機転と洞察力の高さを示す象徴的な場面でした。
つづく