隆慶は重苦しい気持ちを抱え、程立雪(てい・りゅうせつ)と共に唐の都を後にした。かつて盛大に迎えられた栄光とは裏腹に、冷遇された現状に屈辱と不甘を噛み締めていた。二層楼の試験に挑戦したのも、夫子(ふうし)への畏敬と、その直弟子となる野望から、ライバルを分析し、将来の勝利を確実なものにするためだった。程立雪(てい・りゅうせつ)もまた、隆慶を支えきれなかった自責の念に駆られ、二人は必ずや唐に舞い戻り、雪辱を果たすと誓い合った。

一方、書院(しょいん)では寧缺(ねい・けつ)が十三先生に昇格した。この知らせは李青山に不安を抱かせた。寧缺(ねい・けつ)が顔瑟(がんしつ)の弟子となっても、昊天道南門に忠誠を尽くさず、国師の継承に影響を及ぼすのではないかと危惧したのだ。しかし、顔瑟(がんしつ)は李青山の心配を一蹴し、穏やかな言葉で慰めた。

都で新地位の恩恵を享受する寧缺(ねい・けつ)は、法蘭琳卡で最高級の玫瑰花苞水を買い求め、桑桑(そうそう)への贈り物とした。だが、帰路の途中、三組に尾行されていることに気付く。機転を利かせた身のこなしで追手を振り切ったものの、突如響き渡った耳をつんざくような鈴の音に倒れ、抵抗する力を失い、拉緻されてしまった。

寧缺(ねい・けつ)を待ちわびる桑桑(そうそう)は、夜通し帰らぬ彼を案じ、紅袖招から書院(しょいん)、そして皇宮まで捜索するも見つからず、李漁に助けを求めた。李漁は寧缺(ねい・けつ)の行方は分からなかったものの、直ちに都の封鎖を命じ、捜索を指示した。桑桑(そうそう)は都で老筆斎特有の墨の香りに気付き、その痕跡を辿ると、寧缺(ねい・けつ)が落とした玫瑰花苞水が。この手がかりから、顔瑟(がんしつ)は寧缺(ねい・けつ)が監禁されている場所を突き止めた。

荒廃した屋敷に囚われた寧缺(ねい・けつ)は、激しい頭痛に耐えながら犯人を問い詰める。犯人は自らを光明の信者と名乗り、「闇の力」である寧缺(ねい・けつ)を排除すると宣言した。一方、林零は夏侯(か・こう)に寧缺(ねい・けつ)の正体と嫌疑を報告し、夏侯(か・こう)は徹底的な調査と必要であれば強硬手段を取ることを決意する。李沛言もまた、刺客を送り込むも寧缺(ねい・けつ)の行方は掴めず、その正体に疑念を抱き始めた。

顔瑟(がんしつ)と桑桑(そうそう)は手がかりを元に寧缺(ねい・けつ)を見つけ出すが、救出の最中、桑桑(そうそう)は見えない力に倒されてしまう。顔瑟(がんしつ)はすかさず犯人を捕らえ、衛光明(えい・こうめい)の手下であることを暴く。激しい戦闘の中、謎の力が介入し、犯人は緻命傷を負いながら、「冥王の子が都にいる」という衝撃的な言葉を残して息絶えた。

寧缺を救出した後、顔瑟(がんしつ)は早速入門の儀式を行い、寧缺は正式に顔瑟(がんしつ)の首席弟子となった。喜びに満ちた顔瑟(がんしつ)は祝儀として寧缺に赤い封筒を渡し、修行の日程を伝えた。しかし、寧缺が封筒を開けると、中には紙切れと銅貨一枚しか入っておらず、顔瑟(がんしつ)の「ケチ」さに思わず笑ってしまった。

徐崇山(じょすうざん)は寧缺を襲ったのは修行者の他に、夏侯(か・こう)と李沛言の勢力であることを突き止めた。唐王は寧缺の身を案じるよりも、李沛言の野心を警戒し、その動向を監視するよう命じ、あえて夏侯(か・こう)の者を逃がし、情報を流すことで闇中計画を進めた。

第23話の感想

第23話は、盛りだくさんの展開で息つく暇もないほどでした!隆慶の失意と復讐心、寧缺の新たな地位と危機、そして桑桑(そうそう)の懸命な捜索と、それぞれのキャラクターの感情が丁寧に描かれており、物語に深みを与えていました。

特に印象的だったのは、寧缺が三組もの追っ手をかわすシーンです。彼の機転と身のこなしは見ていて爽快でしたが、まさかの鈴の音で倒れてしまうとは…予想外の展開に驚かされました。また、桑桑(そうそう)が寧缺の残した玫瑰花苞水を見つけるシーンも感動的でした。彼女の寧缺への深い愛情が伝わってきて、胸が締め付けられました。

つづく