桑桑(そうそう)と水珠児(すいじゅじ)、そして小草(しょうそう)の三人で、顔瑟(がんしつ)先生が寧缺(ねい・けつ)の鶏湯帖を模写して売り出したところ、飛ぶように売れ、あっという間に大儲けしました。桑桑(そうそう)は売上を六対三対一で分配することを提案し、水珠児(すいじゅじ)は快諾、寧缺(ねい・けつ)の真筆の鶏湯帖も桑桑(そうそう)に返しました。字が読めない桑桑(そうそう)は、水珠児(すいじゅじ)に何度も読み上げてもらい、その言葉に込められた温かい愛情に、心は蜜のように甘く満たされました。

一方、寧缺(ねい・けつ)は顔瑟(がんしつ)先生に符の描き方を習っていましたが、焦る気持ちでなかなか上達せず、書物を老筆斎に持ち帰り、昼夜問わず研究に没頭します。そこで、顔瑟(がんしつ)先生も自分の鶏湯帖を模写していることに気づき、桑桑(そうそう)たちのために内職をしているのだと理解し、微笑みます。

その頃、上官揚羽(じょうかんようう)は寧缺(ねい・けつ)誘拐事件を捜査していましたが、林零を釈放して都に帰し、夏侯(か・こう)に報告させるよう命じられます。唐王は、夏天(か・てん)的を困らせること、そして朝廷に混乱が広がることを避けるためでした。林光遠将軍一家への思い、そして夏侯(か・こう)への疑念を胸に、これ以上事態を大きくしたくなかったのです。

燕国では、崇明(すうめい)王子が帰国後すぐに燕王(えんおう)に謝罪しました。燕王(えんおう)は、李漁にうつつを抜かし、復国会がおろそかになっていることを激しく叱責し、側近も李漁の手先だと知り、激怒します。忠誠の証として側近を斬るよう命じ、さもなくば庶民に落とされ辺境に流放すると宣告しました。窮地に立たされた崇明(すうめい)でしたが、側近が燕王(えんおう)に斬りかかった時、身を挺して燕王(えんおう)を守り、側近を討ち取ります。しかし、この一件で厳しい罰を受け、李漁を忘れ、燕国の復興と寧缺(ねい・けつ)を味方につける任務を負うことになりました。

隆慶は桃山(とうざん)光明殿(こうめいでん)で掌教(しょうきょう)に認められ弟子となり、裁決司(さいけつし)司座に任命され、魔宗残党の討伐を命じられます。しかし、捕らえた四人の囚人は白状せず、隆慶を挑発したため、激昂した隆慶は彼らを皆殺しにしました。隆慶を待ちわびていた陸晨伽は、裁決司(さいけつし)に自ら赴き、夫子(ふうし)の直弟子の座への執著を捨てるよう諭しますが、隆慶は彼女の気持ちを理解せず、怒って立ち去ります。

寧缺(ねい・けつ)は符の修行に行き詰まり、寝食を忘れても要領を得ません。桑桑(そうそう)は心配しますが、何もできません。ある朝、寧缺(ねい・けつ)が書物に夢中になっている間、桑桑(そうそう)は朝食を作り、必勝居で買ったご馳走を書院(しょいん)の師兄たちに届けようとします。しかし、途中で木柚に出会い、じゃれ合ううちに食べ物を横取りされてしまいました。

李漁は桑桑(そうそう)を可愛がり、著飾らせ、義妹に迎えようとします。桑桑(そうそう)は恐縮しながらも、その好意を断れませんでした。李漁の公主府で初めて家庭の温もりを感じた桑桑(そうそう)は、寧缺(ねい・けつ)と一緒にいられる時間が少ないことを李漁にこぼします。

老筆斎の寧缺(ねい・けつ)も楽ではありませんでした。師兄たちに囲碁や音楽を強要され、翻弄され、逃げ出す始末です。疲れて戻ると、顔瑟(がんしつ)先生が待っていて、二人で修行の旅に出ます。旅の途中で、顔瑟(がんしつ)先生は丁寧に符の奥義を教え、寧缺(ねい・けつ)は熱心に学び、多くのことを得ました。

同時に、李明池は李青山に忠実で献身的に仕え、国師の地位を継げなくても、そばに仕え続けたいと願います。李青山も李明池の将来を約束し、二人の師弟愛の深さが伺えます。

第25話の感想

第25話は、それぞれのキャラクターが岐路に立たされ、未来への不安や希望が交錯するエピソードでした。特に印象的だったのは、桑桑(そうそう)と寧缺(ねい・けつ)の対比です。寧缺(ねい・けつ)は修行に没頭し、周囲の喧騒をよそに自分の目標に向かって突き進んでいます。一方、桑桑(そうそう)は寧缺の不在を寂しく思いながらも、水珠児(すいじゅじ)や小草(しょうそう)、李漁といった人々に囲まれ、温かい交流を通して成長していく姿が描かれています。二人の物理的な距離は離れていますが、互いを思いやる気持ちは変わらず、鶏湯帖がその象徴となっているのが心温まります。

また、隆慶の冷酷さと孤独も際立っていました。掌教(しょうきょう)の弟子となり裁決司(さいけつし)司座に任命されるという栄誉を手にしながらも、囚人を躊躇なく殺害する姿は、彼の心の闇の深さを物語っています。陸晨伽の忠告にも耳を貸さず、ますます孤立していく隆慶の未来が不安になります。

対照的に、崇明(すうめい)王子は試練を乗り越え、成長を遂げました。李漁への未練を断ち切り、燕国の復興と寧缺獲得という重責を担う決意をした彼の姿は、頼もしくも切なさを感じさせます。

つづく