あらすじ

第三十二話は、李明池り・めいち夏天か・てん荒人こうじん三老の密会を目撃し、その情報を李漁り・ぎょとう国の国師の地位と引き換えに提供する場面から始まります。李漁り・ぎょは驚きながらも、彼の提案を受け入れました。

一方、墨池苑の野営地では、寧缺ねい・けつが月輪国弟子の挑発を退け、書院しょいんの弟子としての立場を明らかにしました。また、衛光明えい・こうめい桑桑そうそうのもとを訪れ、一度は拒絶されるも、最終的には宿泊を許されます。

唐王が荒原への援軍派遣を決定したことに、夏天か・てんは不満を抱きます。西陵せいりょう書院しょいんの会談では、莫山山ばく・さんさんがやむなく軍令状に署名し、寧缺ねい・けつが自ら案内役を買って出ました。

荒人こうじん三老の野営地では宮女が殺害される事件が発生し、夏侯か・こう林零りんれい寧缺ねい・けつの暗殺を命じます。緊張感はますます高まっていきます。

ネタバレ

李明池り・めいちは偶然、夏天か・てん荒人こうじん三長老さんちょうろうと密会しているのを目撃し、この驚愕の事実を李漁り・ぎょに伝え、とう国国師の座と引き換えに取引を持ちかけた。李漁り・ぎょは以前から夏天か・てんに疑念を抱いていたものの、その正体には衝撃を受ける。彼女は李明池り・めいちの条件をのんで、三長老さんちょうろうの行方を探らせるが、李青山り・せいさんに気づかれないよう慎重に行動するよう命じた。

一方、莫山山ばく・さんさん西陵せいりょうからの指示がなく、陣地で待機していた。そこへ、月輪国の曲妮きょくに大師の弟子が突然現れ、温泉に入りたいという理不尽な要求で陣地の交換を迫ってきた。両者は対立し、ついには戦闘になるが、危機一髪のところで寧缺ねい・けつが登場。挑発者を軽く製圧し、書院しょいん弟子「鍾大俊しょうだいしゅん」と名乗ってその場を収めた。

同時期、衛光明えい・こうめいは苦労の末、桑桑そうそうのもとを訪ねる。一度は拒絶されるも、諦めずに粘り強く頼み込み、桑桑そうそうの情に訴え、老筆斎に泊めてもらうことに成功する。深夜、李青山り・せいさんの接近を察知した衛光明えい・こうめいは、交戦の後、老筆斎に隠れる。桑桑そうそうは忙しい中にも、この招かざる客に同情し、一晩泊めることにした。二人は多くを語らないが、心を通わせる温かい一夜を過ごす。

唐王は荒原の戦況を憂慮し、舒城将軍しょじょうしょうぐんを派遣することを決めるが、夏天か・てんは約束違仮だと仮発する。しかし、唐王は荒人こうじん南遷の重大性を主張し、譲らない。夏天か・てん荒人こうじんのために弁護するも、唐王の決意を覆すことはできなかった。

翌日、西陵せいりょう書院しょいんの軍事会議が開かれ、莫山山ばく・さんさんらが出席する中、寧缺ねい・けつは体調不良を理由に欠席するが、実際はこっそり後をつけていた。羅克敵ら・こくてきが会議を主導し、荒原への食糧輸送の任務を莫山山ばく・さんさんに押し付ける。プレッシャーの中、莫山山ばく・さんさんは軍令状を書き、寧缺ねい・けつは自ら案内役を買って出る。

桑桑そうそうは忙しい合間にも寧缺ねい・けつと「会話」し、衛光明えい・こうめいを泊めたことなど、日々の出来事を共有する。寧缺ねい・けつと合流した莫山山ばく・さんさんは、寧缺ねい・けつの正体を探ろうとするが、寧缺ねい・けつの断固とした態度に押され、信じるしかなかった。

同時に、荒人こうじん三長老さんちょうろうの陣地では不穏な空気が流れていた。夏天か・てんが遣わしたという宮女が正体を暴かれ、殺害される。夏天か・てんはこの宮女を知らないものの、三長老さんちょうろうに無実の人を殺さないよう警告する。一方、夏侯か・こう寧缺ねい・けつの行方をつかみ、林零りんれいを刺客として送り込む。新たな危機が静かに迫っていた。

第32話 感想

「将夜 戦乱の帝国」第32話は、様々な伏線が散りばめられ、今後の展開がますます気になるエピソードでした。それぞれのキャラクターの思惑が交錯し、緊張感が高まっています。

まず、李明池り・めいちの行動が物語に大きな波紋を投げかけました。彼は夏天か・てんの秘密を暴くことで、権力への野心を露わにしました。李漁り・ぎょとの取引は、今後の権力争いに大きな影響を与えるでしょう。二人の駆け引きからも目が離せません。

つづく