唐王の厳重な封鎖により、外の世界は御書房(ごしょぼう)の状況を全く把握できていなかった。李明池は焦燥し、断片的な情報から唐王が三長老(さんちょうろう)に何らかの行動を起こそうとしていると推測、急ぎ李漁に報告し、宮中に入り唐王を救い出し、ついでに政敵の夏天(か・てん)を排除する策を提案する。しかし、李漁は兵を宮中に動かす権限がないことを自覚しており、躊躇していた。その時、李明池は李青山の手形を見せ、李漁に一縷の望みを与える。李漁は利害を天秤にかけ、手形を利用し、使者を華山岳(かざんがく)のもとへ送り、羽林軍(うりんぐん)の協力を得ようと画策する。
御書房(ごしょぼう)内は重苦しい空気に包まれていた。唐王は三長老(さんちょうろう)に荒人(こうじん)への居住地の提供と夏天(か・てん)への厚遇を約束する。しかし、三長老(さんちょうろう)は唐王にとって即答し難い条件、すなわち六皇子琥珀(こはく)の皇位継承を提示する。その時、徐崇山(じょすうざん)が李漁が兵を率いて救出に向かっていることを唐王に報告する。徐崇山(じょすうざん)の必死の説得にも関わらず、李漁は唐王の無事を確認するまで引き下がらないと主張する。三長老(さんちょうろう)は李漁の真意を悟り、自らの命をもって夏天(か・てん)の潔白を証明し、過去の罪を償う決意を固める。感動的な言葉を残し、三長老(さんちょうろう)は自らの脈を断ち、焼身自殺を遂げる。残されたのは一筋の青煙と、人々の深い悲しみだけだった。
一方、大軍を率いて御書房(ごしょぼう)に到著した李漁だったが、唐王は入室を拒否する。唐王は全て無事であると断言し、李漁に越権行為を慎むよう警告する。唐王の夏天(か・てん)への揺るぎない庇護に、李漁は驚きと同時に、かつてない敗北感を味わう。宮殿を去る途中、李青山と遭遇し、皇位継承問題で再び対立する。李青山は唐王の決定を尊重するよう李漁を諭すが、李漁は真の唐人に皇位が継承されるべきだと主張し、二人は不穏な空気の中、別れる。
寧缺(ねい・けつ)の生活にも波乱が続いていた。陸晨伽から莫山山(ばく・さんさん)を汚す「塵埃」だと非難され、二人は激しく対立する。陸晨伽の脅迫と挑発は、寧缺(ねい・けつ)の莫山山(ばく・さんさん)を守る決意をより強固なものにする。重傷を負った夏天(か・てん)は元気を大きく損ない、唐王は身を挺して彼女を看病する。二人の愛情は苦難の中でさらに深まる。夏天(か・てん)は唐王への感謝の気持ちを表すと同時に、自分の家事が唐王に迷惑をかけていることを申し訳なく思う。
連合軍の会議では、莫山山(ばく・さんさん)はかつてない試練に直面する。曲妮(きょくに)と羅克敵から無謀な行動、ひいては借刀殺人の企てを糾弾される。しかし、莫山山(ばく・さんさん)の断固とした仮論と確固たる証拠により、二人は言い逃れができなくなる。窮地に陥った莫山山(ばく・さんさん)を救ったのは寧缺(ねい・けつ)だった。寧缺(ねい・けつ)が書院(しょいん)十三先生、顔瑟(がんしつ)大師の直弟子であることが明らかになると、会議場は騒然となる。程立雪(てい・りゅうせつ)は即座に裁決を下し、羅克敵と曲妮(きょくに)を厳しく罰する。寧缺(ねい・けつ)はこの機に乗じて曲妮(きょくに)の罪をさらに追及し、知性と勇気を示す。
第35話の感想
緊迫感あふれる展開に息を呑んだ第35話。三長老(さんちょうろう)の壮絶な最期は、物語全体に重く闇い影を落としました。自らの命と引き換えに夏天(か・てん)の潔白を守り、唐王との約束を果たそうとする姿は、悪役としての側面を持ちながらも、深い愛情と責任感を感じさせ、胸を締め付けられます。
李漁の行動は、野心と焦り、そして唐王への複雑な感情が入り混じり、見ていて歯がゆい思いをしました。唐王の揺るぎない夏天(か・てん)への愛情を目の当たりにし、敗北感を味わう彼女の表情が印象的です。同時に、李青山との対立は、今後の皇位継承問題の深刻さを改めて示唆しています。
寧缺(ねい・けつ)と莫山山(ばく・さんさん)の関係にも変化が見られました。陸晨伽の登場により、寧缺(ねい・けつ)は莫山山(ばく・さんさん)への想いを再確認し、守るべき存在として強く意識するようになります。二人の絆が試練を通して深まっていく様子は、今後の展開に期待を抱かせます。
つづく