あらすじ
第36話は、寧缺と莫山山の距離が縮まっていく様子が描かれています。莫山山は、寧缺が桑桑を気遣う様子を見て嫉妬しますが、最後は二人で天棄山へ向かい、明字巻天書を探す旅に出ることを決めます。旅の途中、寧缺は莫山山を優しく思いやり、莫山山は寧缺への想いを募らせていきます。
一方、桑桑は衛光明的の助けを借りて昊天神輝を感じ取り、衛光明は彼女を光明の子供にすることを決意します。
寧缺と莫山山は荒野で荒人の母子に出会いますが、西陵裁決司の執事がその母子を殺害する場面を目撃してしまいます。怒りに燃えた寧缺は、その執事を打ち殺します。また、隆慶と葉紅魚は荒野で出会い、激しい言い争いを繰り広げます。
そして、寧缺は莫山山を暖めるために火符を使いますが、その時また桑桑の名前を出してしまい、莫山山の心を複雑な気持ちにさせてしまいます。
ネタバレ
莫山山は寧缺の書いた「鶏湯帖」に夢中で、一心に筆写を続けていた。その様子を見た酌之華は、寧缺への想いを告白するよう勧めるが、山山は言葉を濁すばかり。しかし、帖に込められた桑桑への深い愛情を感じ、山山の心には複雑な感情が芽生える。
一方、墨池苑に戻った寧缺は、突然の立ち退きを命じられる。猫女に身分を隠していたことを責められつつも、山山への謝罪を促される。帳内で山山は依然として鶏湯帖の筆写に没頭しており、寧缺に札を書いてもらう。その時、山山は思わず「好き」と呟いてしまうが、すぐに「字が好き」と言い繕う。寧缺の胸にも言い知れぬ温かさが広がり、二人の間には言葉にならない静かな繋がりが生まれた。
桑桑は衛光明の指導の下、神術の修行に励んでいた。昊天神輝を容易く感知した桑桑に、衛光明は驚き、彼女を光明之子、そして未来の光明大神官に育てようと決意する。桑桑は喜びと不安を抱えつつも、寧缺への想いを募らせる。
寧缺と山山は明字巻天書を求め、天棄山へ向かう。道中、李琿圓に襲われるが、衛光明に助けられ、桑桑も無事救出される。旅を続ける二人は、荒人の女性に出会い、当初の誤解も解け、温かくもてなされる。夫婦と間違われたことで、二人の間には微妙な空気が流れる。
夜更け、桑桑は寧缺を想い、山山と寧缺は魔宗の功法や昊天世界についての認識の違いを語り合う。立場は違えど、互いを尊重する気持ちが会話から伝わってくる。しかし、西陵裁決司の襲撃により、静寂は破られる。小提母子が殺され、怒りに燃えた寧缺は敵を討つが、悲しみを隠しきれない。
旅は困難を極め、寧缺は桑桑の温もりを思い出す。山山の心は複雑な思いで揺れる。ついに天棄山に到著するも、天書の在り処は不明のまま。一方、唐小棠は隆慶が荒人の領地に侵入したことを知り、激しい戦いが繰り広げられる。そこに葉紅魚が現れ、事態はさらに混迷を深める。
寒さの中、寧缺は山山のために火符を描く。その時、ふとしたことから桑桑の名前が出たことで、山山の心はさらに乱れる。共に旅を続ける二人だが、それぞれの胸には秘めた想いがある。天書探しの旅は、同時にそれぞれの心の奥底を探る旅でもあった。
第36話 感想
第36話は、それぞれの想いが交錯する切ないエピソードでした。莫山山の秘めた恋心、寧缺と桑桑の揺るぎない絆、そして様々な思惑が渦巻く権力争い。これらの要素が複雑に絡み合い、物語に深みを与えています。
特に印象的だったのは、莫山山の心情描写です。寧缺の書いた鶏湯帖を一心不乱に書き写す姿からは、彼女の一途な想いがひしひしと伝わってきました。好きな人のために何かをしたい、少しでも近づきたいという純粋な気持ちが胸を打ちます。しかし、寧缺と桑桑の親密な様子を目の当たりにする度に、彼女の心は苦悩に満ちていきます。葉わぬ恋と知りながらも、想いを抑えきれない切なさが、見ている側にも痛いほど伝わってきました。
一方、寧缺は桑桑への愛情を再確認しながらも、山山の優しさに触れ、心が揺れ動く様子が描かれています。二人の女性の間で揺れ動く彼の心情は、今後の展開を大きく左右していくことでしょう。
また、桑桑が光明之子として覚醒するシーンも重要なポイントです。昊天神輝を感知した彼女の運命は、大きく変わり始めています。今後の物語において、彼女がどのような役割を果たしていくのか、非常に楽しみです。
西陵裁決司による小提母子の殺害は、物語に闇い影を落としました。寧缺の怒りと悲しみは、見ている側にも強く訴えかけてきます。この事件が、今後の彼の行動にどのような影響を与えるのか、注目すべき点です。
つづく