寧缺(ねい・けつ)と莫山山(ばく・さんさん)は緑豊かな水辺に辿り著き、魔宗山門も近いと推測した。しかし、そこに隆慶が待ち構えていた。過去の恨みを晴らそうと、隆慶は寧缺(ねい・けつ)に襲いかかる。莫山山(ばく・さんさん)は寧缺(ねい・けつ)を庇い、寧缺(ねい・けつ)は冷静に隆慶の挑発を無視する。隆慶は、なんと燕国の三つの城と引き換えに桑桑(そうそう)を要求するという、常軌を逸した提案をするが、寧缺(ねい・けつ)は断固拒否する。
無駄な争いを避けるため、寧缺(ねい・けつ)は隆慶に破鏡を賭けた勝負を提案する。勝者は全てを決め、敗者は気海雪山(きかいせつざん)を廃する。寧缺は自分がすぐに破鏡できる見込みは薄いと知りつつも、隆慶との戦闘を回避するための策として提案した。そして、大黒傘で身を隠し、莫山山(ばく・さんさん)と共に森の奥へと逃げ込む。
一方、桑桑(そうそう)は寧缺のために燻製肉を用意し、帰りを待っていた。しかし、その香りに誘われたのは食いしん坊の陳皮皮(ちんぴぴ)だった。二人は知恵比べの末、賭けで決著をつけることに。桑桑(そうそう)は驚異的な記憶力で陳皮皮(ちんぴぴ)を打ち負かす。
逃走中の寧缺と莫山山(ばく・さんさん)は大明湖(だいめいこ)にたどり著く。湖面に異変が生じ、寧缺は魔宗山門が近いことを確信する。同時に、唐も湖畔の異変に気付き、魔宗宗主の蓮生が現れたと察し、恭しく礼をする。
桑桑(そうそう)の頼みで買い出しに出かけた衛光明(えい・こうめい)は、何者かに尾行される。衛光明(えい・こうめい)は巧みに相手を翻弄し、追跡をかわそうとする。桑桑(そうそう)と陳皮皮(ちんぴぴ)の賭けは続き、銀票の番号を闇記することから始まり、囲碁へと発展する。桑桑(そうそう)は再び知恵で勝利し、陳皮皮(ちんぴぴ)は感嘆と悔しさを味わう。
空腹に耐えかねる寧缺は、桑桑(そうそう)の手料理を思い出す。陳皮皮(ちんぴぴ)からもらった菓子で空腹を満たそうとするが、口に合わず諦める。そして、九師兄からもらったオルゴールが莫山山(ばく・さんさん)を落ち著かせることに気付き、彼女に贈る。その後、黒疙瘩で麺片湯を作り、莫山山(ばく・さんさん)と共に温かい食事を楽しむ。
幸せなひと時を過ごしていた寧缺だが、大明湖(だいめいこ)の対岸で異変が起こる。天地元気が流れ込み、寧缺は桑桑(そうそう)を思い出す。しかし、それは幻覚だった。正気に戻ると、彼は自分が破鏡していたことに気付く。寧缺の変化を察知した葉紅魚(よう・こうぎょ)は、隆慶に修行を続けるよう忠告するが、焦る隆慶は寧缺を奇襲しようとする。しかし、逆に元十三箭で仮撃され、気海雪山(きかいせつざん)を破壊される。葉紅魚(よう・こうぎょ)は隆慶の軽率さを嘆き、その場を去る。
一方、桑桑(そうそう)と陳皮皮(ちんぴぴ)の囲碁勝負は続いていた。桑桑(そうそう)の独特な打ち方に陳皮皮は翻弄される。そこに衛光明(えい・こうめい)が戻り、陳皮皮の正体を見抜くと、彼を対局に誘う。知恵と友情を賭けた戦いが静かに幕を開ける。
第37話の感想
第37話は、様々な場所で同時進行する複数のストーリーが巧みに交錯し、飽きさせない展開となっていました。寧缺と隆慶の対決は、緊迫感がありながらも、寧缺の冷静さと莫山山の献身的な姿が印象的でした。隆慶の桑桑(そうそう)に対する異常な執著は、見ていて不快感を覚えるほどでしたが、それが彼の破滅へと繋がる伏線となっているようにも感じられました。
一方、桑桑(そうそう)と陳皮皮のコミカルなやり取りは、物語全体の緊張感を和らげる良いアクセントとなっていました。桑桑の底知れぬ才能と、陳皮皮の憎めないキャラクターが、二人の掛け合いをより魅力的にしています。特に、桑桑の驚異的な記憶力は、今後の展開においても重要な役割を果たしていくのではないでしょうか。
つづく