あらすじ
第四十話では、桑桑が衛光明に弟子入りしたという知らせに、陳皮皮は不安を覚えます。彼は衛光明の正体を暴こうとしますが、衛光明に阻まれます。その時、唐突に顔瑟大師が老筆斎を訪れ、衛光明と対峙します。そして、中断されていた二人の碁の対局が再開されます。しかし、その碁は内力の比べ合いへと発展し、老筆斎は激しく揺れ動きます。
顔瑟と衛光明は一日中対峙し、顔瑟は衛光明の良心を呼び覚まそうと試みます。しかし、衛光明は冥王の子供を見つけ出すという目的を諦めず、翌日決闘することを約束します。桑桑は、寧缺が早く帰ってきてこの争いを止めてくれることを願います。
翌日、大雪が降りしきる中、衛光明は老筆斎を整理し、桑桑に銀子と陶製の甕を残して、顔瑟と共に決闘の場へ向かいます。決闘では、二人はそれぞれの奥義を繰り広げます。衛光明は元気を雪片に変え、顔瑟は神符を描きます。最後は、衛光明が放った光輝が五色の花火へと変わり、空を明るく照らし、見物人を圧倒します。
ネタバレ
陳皮皮は桑桑が衛光明に師事したと聞き、いてもたってもいられず、こっそり桑桑を脇に連れて行き、衛光明の正体を明かそうとした。しかし、衛光明に大声で止められてしまう。陳皮皮は勇気を振り絞り、なぜ幽閣から逃げ出したのかと衛光明を問い詰め、桑桑は寧缺の侍女であり、寧缺は夫子の直弟子であることを強調した。しかし、衛光明はひるむどころか、桑桑を連れて行こうと提案する。桑桑は寧缺の帰りを待つと断固として残ることを決めた。
緊迫した空気が流れる中、顔瑟大師が老筆斎を訪れ、衛光明との間に火花が散る。二人は未完の碁を再開することにし、激しい口論と共に、碁盤上の戦いは内功の競い合いへと発展する。老筆斎が激しく揺れ、碁盤と碁石が砕け散る中、桑桑は弁償を要求する。顔瑟は桑桑が弟子の寧缺の侍女だと笑い、衛光明は寧缺に興味を持ち、会ってみたいと願う。
顔瑟と衛光明は一日中対峙し、一歩も譲らなかった。空腹を感じた顔瑟は桑桑に食事の準備をさせ、陳皮皮も手伝いを申し出る。食卓で、桑桑は衛光明にお茶を注ぎ、顔瑟は再び執著を捨てるよう説得するが、衛光明は冥王の子を見つけ出すと頑なに主張する。顔瑟は十五年前の衛光明の罪を指摘し、良心に訴えかけるが、怒った衛光明に追い払われ、翌日の決闘を約束させられる。
夜になり、桑桑は誰もいない部屋で寧缺に最近の出来事を語りかける。彼女は顔瑟と衛光間の争いを望んでおらず、寧缺が早く帰ってきてこの事態を収拾してくれることを願う。
翌朝、雪が激しく降る中、桑桑が老筆斎の扉を開けると、君陌と陳皮皮が待っていた。その後、顔瑟が到著し、衛光明を連れ決闘の場へ向かう。出発前、衛光明は老筆斎をきれいに整頓し、桑桑に小銭と二つの陶製の甕を何かあった時のためにと渡す。桑桑は決闘をやめるよう懇願するが、二人の決意は固く、馬車に乗り込む。桑桑は甕を抱え、その後を追う。
決闘の場で、顔瑟は最後に衛光明を説得しようとするが、無駄に終わる。君陌と陳皮皮が到著した時、二人は一見穏やかに話しているように見えて、実際は激しい緊張感が漂い、既に五重の境地に達していた。二人は桑桑の安全を心配する。決闘が始まり、顔瑟と衛光明はじゃんけんで先攻後攻を決める。衛光明が「布」を出すと、顔瑟は「石」で無数の石を投げつける。衛光明は巧みに避けるが、一粒の石が足に当たり、皆を笑わせる。
戦いが激化するにつれ、衛光明は全身の元気を使い、顔瑟は神符を描く。空には虹がかかる。二人はそれぞれの奥義を披露しながら、桑桑に観察学習させ、激しい攻防を繰り広げる。衛光明は元気で虹を吹き飛ばし、雪に変えて降らせる。顔瑟は鮮やかな神符を描き、呪文を唱える。最後は、衛光明が放ったまばゆい光が天高く舞い上がり、色鮮やかな花火となって空一面を照らし出す。この決闘は力の戦いであると同時に、修行の境地を深く示すものでもあった。君陌と陳皮皮は呆然と見守り、桑桑は目の前の光景に深く感動する。
第四十話 感想
第四十話は、緊張感とユーモア、そして深い感動が絶妙に織り交ぜられた、見応えのあるエピソードでした。衛光明の正体を巡る緊迫したやり取り、顔瑟との迫力ある決闘、そして桑桑の純粋な願いが、物語に深みを与えています。
特に印象的だったのは、決闘シーンです。単なる力のぶつかり合いではなく、修行の奥深さを表現した演出は見事でした。虹を雪に変え、空に花火を打ち上げる華麗な技の数々は、視覚的にも非常に美しく、見ている者を物語の世界に引き込みます。同時に、二人の会話を通して、修行とは何か、強さとは何かを考えさせられる、深いメッセージ性も感じられました。
また、シリアスな展開の中にも、桑桑の言動や、決闘開始時のじゃんけんの場面など、クスッと笑えるユーモアが散りばめられており、緊張感を和らげてくれます。桑桑の寧缺への一途な思いや、二人の師匠に対する純粋な尊敬の念も、心温まるものがありました。
つづく