あらすじ
第四十五話は、桑桑が曾夫人に生き別れになった娘だと気づかれる場面から始まります。この出来事は都に大きな衝撃を与えただけでなく、桑桑と寧缺の二人の間にも感情の波紋を広げました。
曾夫人は桑桑が自分の娘であると確信し、家に帰るように勧めます。しかし、寧缺とずっと一緒に暮らしてきた桑桑は、その申し出を断ります。
寧缺が莫山山と共に都に戻ってきたことで、桑桑の心はさらに複雑になります。最終的には寧缺と仲直りしますが、寧缺が浩然気を習得し、莫山山を連れて帰ってきたことで、二人の関係は再び試練を迎えます。
師の埋葬の際、二人は意見の食い違いから口論になり、寧缺が見せた魔宗の功法は桑桑に恐怖感を与え、二人の関係は新たな局面を迎えます。
ネタバレ
曽夫人は桑桑を老筆斎に送り届けながら、親しげに話していました。桑桑が寧缺が辺境で拾った孤児だと知ると、曽夫人は複雑な思いを抱きつつ、桑桑を屋敷に招待しました。桑桑もその温かさに触れ、喜んで承諾します。
屋敷に戻った曽夫人は、夫の曽静に胸に秘めていた思いを打ち明けました。桑桑こそ、かつて大夫人に売られた自分たちの娘ではないかと。曽静は当初半信半疑でしたが、桑桑が手作りの臘肉を持って訪ねてくると、老夫婦は温かく迎え入れました。そして、曽夫人が桑桑に梨湯をこぼし、足を洗ってあげようとします。それは母としての愛情と真実を探るためでした。桑桑は静かに応じ、足に桑の葉の形をした痣を見せた瞬間、曽夫人は娘だと確信し、涙を流しました。
この知らせは都中に広まり、唐王も心を動かされ、夏天公主は祝いの贈り物を用意します。一方、李漁は寧缺主従に近づこうと画策していましたが、この出来事で計画が狂い、歯ぎしりします。
曽静夫妻は桑桑を家に迎えようと老筆斎を訪ねますが、寧缺との生活に慣れた桑桑は拒否し、部屋に閉じこもってしまいます。膠著状態の中、陳皮皮が訪ねてきて桑桑と碁を打ちたがりますが、桑桑の心ここにあらずで、ぎこちない雰囲気になります。その後、寧缺と莫山山一行が戻り、桑桑は寧缺の姿を見て喜びますが、同時に莫山山の存在に複雑な感情を抱きます。
夕食時、寧缺は桑桑との親密さを取り戻そうとしますが、桑桑は避けようとします。寧缺は寂しさを感じ、莫山山が寧缺の才能を賞賛する様子に桑桑はさらに自信をなくし、台所に引きこもります。寧缺は後を追って台所で桑桑を見つけ、二人は抱き合い、温もりを取り戻します。
しかし、平穏は長く続きません。夏侯の辞官騒動、そして寧缺と桑桑の間にも秘密と感情の縺れが生じます。桑桑は寧缺が浩然気を習得し、入魔したこと、そして莫山山を連れてきたことを知り、二人の間に溝が生まれます。さらに、顔瑟と衛光明的の遺灰を埋葬する旅の途中、衛光明に対する考え方の違いから口論となり、緊張感が高まります。
二人はそれぞれ師の遺灰を埋葬しますが、心の結び目は解けません。寧缺が突然魔宗の功法を見せたことで、桑桑は恐怖を感じ、二人の関係は新たな岐路に立たされます。
第45話の感想
第45話は、桑桑の出生の秘密が明らかになり、物語が大きく動き出す重要なエピソードでした。これまで寧缺の侍女として、控えめで健気な姿を見せてきた桑桑ですが、実は曽静夫婦の実の娘だったという衝撃の展開。再会シーンは感動的で、曽夫人の抑えきれない喜びと、桑桑の戸惑いが繊細に描かれていました。特に、桑桑の足にある桑の葉型の痣がキーとなる演出は、見ている側も思わず息を呑むほどの緊迫感がありました。
しかし、喜びも束の間、桑桑は寧缺との生活を選ぶという難しい決断を迫られます。寧缺との強い絆で結ばれた桑桑にとって、突然現れた実の両親との生活を受け入れることは容易ではありません。彼女の揺れ動く心情、そして寧缺との微妙な距離感が丁寧に表現されており、胸が締め付けられるようでした。
また、このエピソードでは、李漁の思惑が外れる様子や、陳皮皮の登場など、脇役たちの描写も効果的に物語を盛り上げています。特に、陳皮皮と桑桑のぎこちないやり取りは、緊張感漂う場面の中で、少しの息抜きを与えてくれるような、心温まるシーンでした。
つづく