曽夫人(そうふじん)は桑桑(そうそう)を老筆斎に送り届けながら、親しげに話していました。桑桑(そうそう)が寧缺(ねい・けつ)が辺境で拾った孤児だと知ると、曽夫人(そうふじん)は複雑な思いを抱きつつ、桑桑(そうそう)を屋敷に招待しました。桑桑(そうそう)もその温かさに触れ、喜んで承諾します。
屋敷に戻った曽夫人(そうふじん)は、夫の曽静(ぞうせい)に胸に秘めていた思いを打ち明けました。桑桑(そうそう)こそ、かつて大夫人に売られた自分たちの娘ではないかと。曽静(ぞうせい)は当初半信半疑でしたが、桑桑(そうそう)が手作りの臘肉を持って訪ねてくると、老夫婦は温かく迎え入れました。そして、曽夫人(そうふじん)が桑桑(そうそう)に梨湯をこぼし、足を洗ってあげようとします。それは母としての愛情と真実を探るためでした。桑桑(そうそう)は静かに応じ、足に桑の葉の形をした痣を見せた瞬間、曽夫人(そうふじん)は娘だと確信し、涙を流しました。
この知らせは都中に広まり、唐王も心を動かされ、夏天(か・てん)公主は祝いの贈り物を用意します。一方、李漁は寧缺(ねい・けつ)主従に近づこうと画策していましたが、この出来事で計画が狂い、歯ぎしりします。
曽静(ぞうせい)夫妻は桑桑(そうそう)を家に迎えようと老筆斎を訪ねますが、寧缺(ねい・けつ)との生活に慣れた桑桑(そうそう)は拒否し、部屋に閉じこもってしまいます。膠著状態の中、陳皮皮(ちんぴぴ)が訪ねてきて桑桑(そうそう)と碁を打ちたがりますが、桑桑(そうそう)の心ここにあらずで、ぎこちない雰囲気になります。その後、寧缺(ねい・けつ)と莫山山(ばく・さんさん)一行が戻り、桑桑は寧缺(ねい・けつ)の姿を見て喜びますが、同時に莫山山(ばく・さんさん)の存在に複雑な感情を抱きます。
夕食時、寧缺(ねい・けつ)は桑桑との親密さを取り戻そうとしますが、桑桑は避けようとします。寧缺は寂しさを感じ、莫山山(ばく・さんさん)が寧缺の才能を賞賛する様子に桑桑はさらに自信をなくし、台所に引きこもります。寧缺は後を追って台所で桑桑を見つけ、二人は抱き合い、温もりを取り戻します。
しかし、平穏は長く続きません。夏侯(か・こう)の辞官騒動、そして寧缺と桑桑の間にも秘密と感情の縺れが生じます。桑桑は寧缺が浩然気を習得し、入魔したこと、そして莫山山(ばく・さんさん)を連れてきたことを知り、二人の間に溝が生まれます。さらに、顔瑟(がんしつ)と衛光明(えい・こうめい)的の遺灰を埋葬する旅の途中、衛光明(えい・こうめい)に対する考え方の違いから口論となり、緊張感が高まります。
二人はそれぞれ師の遺灰を埋葬しますが、心の結び目は解けません。寧缺が突然魔宗の功法を見せたことで、桑桑は恐怖を感じ、二人の関係は新たな岐路に立たされます。
第45話の感想
第45話は、桑桑の出生の秘密が明らかになり、物語が大きく動き出す重要なエピソードでした。これまで寧缺の侍女として、控えめで健気な姿を見せてきた桑桑ですが、実は曽静(ぞうせい)夫婦の実の娘だったという衝撃の展開。再会シーンは感動的で、曽夫人(そうふじん)の抑えきれない喜びと、桑桑の戸惑いが繊細に描かれていました。特に、桑桑の足にある桑の葉型の痣がキーとなる演出は、見ている側も思わず息を呑むほどの緊迫感がありました。
しかし、喜びも束の間、桑桑は寧缺との生活を選ぶという難しい決断を迫られます。寧缺との強い絆で結ばれた桑桑にとって、突然現れた実の両親との生活を受け入れることは容易ではありません。彼女の揺れ動く心情、そして寧缺との微妙な距離感が丁寧に表現されており、胸が締め付けられるようでした。
また、このエピソードでは、李漁の思惑が外れる様子や、陳皮皮(ちんぴぴ)の登場など、脇役たちの描写も効果的に物語を盛り上げています。特に、陳皮皮(ちんぴぴ)と桑桑のぎこちないやり取りは、緊張感漂う場面の中で、少しの息抜きを与えてくれるような、心温まるシーンでした。
つづく