あらすじ
第四十八話は、書院内で寧缺の恋愛問題をめぐり、騒動が巻き起こる様子を描いています。君陌は桑桑を、李慢慢は莫山山をそれぞれ支持し、寧缺を板挟みにしますが、最終的には余帘の仲裁により、寧缺自身に決断を委ねることになります。
陳皮皮の助けを借りて、寧缺は桑桑との過去の思い出を辿り、彼女が自分にとってどれほど大切な存在かを実感します。
そんな中、寧缺は月輪国僧侶、道石からの挑戦を受けます。自身と桑桑を守るため、魔宗の功法を用いて道石を打ち破りますが、同時に深手を負ってしまいます。
陳皮皮に魔道に堕ちたことを告白し、桑桑の面倒を見てくれるよう頼みます。そして、莫山山に別れを告げた後、一人酒に溺れます。そこで偶然夫子に出会い、不遜な言葉を吐いたため、叱責を受けます。
最後に、寧缺が負傷したという知らせを聞いた桑桑は、彼の身を案じます。
ネタバレ
書院の先輩たちは寧缺の結婚相手について二分していました。君陌たちは寧缺と桑桑を支持し、李慢慢たちは寧缺と莫山山の結婚を推していました。それぞれの利害を主張し合い、激しい議論となりました。李慢慢と君陌は興奮のあまり対決姿勢を見せますが、余帘が仲裁に入り、寧缺自身に決めさせるべきだと提案し、ようやく収まりました。君陌は李慢慢に謝罪し、二人は和解して一緒に下山しました。
寧缺はどちらを選ぶべきか悩んだ末、陳皮皮に相談します。白湯と酸辣麺を選ぶように例え話を持ち出しますが、陳皮皮も答えに窮します。寧缺は桑桑の嫉妬深い性格を考慮し、莫山山を選ぼうとしますが、陳皮皮は大激怒。桑桑こそ寧缺の本命であり、破鏡のきっかけとなった酸辣麺も桑桑のもの、寧缺を救った通天丸も桑桑が陳皮皮から奪ったものだと告げます。寧缺は驚き、桑桑とのこれまでの日々を思い出します。
桑桑は鏡に映る自分にため息をつき、寧缺には相応しくないと悲しみに暮れます。一方、眠れぬ夜を過ごした寧缺は、朝早く陳皮皮と包子を食べに行きます。そこで月輪国白塔の僧侶、道石に曲妮大師の仇討ちとして勝負を挑まれます。道石は天擎念力を使って幻境の中で寧缺と激戦を繰り広げます。陳皮皮は寧缺の身を案じますが、念力圏に入れず何もできません。苦戦する寧缺は魔宗の功法を使い仮撃しますが、道石は天擎手印で応戦し、寧缺を殺そうとします。道石は曲妮が実の母だと明かし、復讐を誓います。寧缺は桑桑を思い出し、胸が締め付けられるような痛みを感じます。そして桑桑の黒い傘で防御し、道石に緻命傷を与えますが、自身も重傷を負います。
陳皮皮に支えられながら河辺に辿り著いた寧缺は、自分が入魔したことを告白します。陳皮皮は現実を受け入れられず、寧缺を殺すことも、天罰を受けるのを見ることもできません。寧缺は桑桑と老筆斎の世話を頼み、雪の中、莫山山に別れを告げに行きます。莫山山は便箋を書いて欲しいと懇願しますが、寧缺は別れを告げ、去っていきます。莫山山は雪の中で一人、悲しみに打ちひしがれます。
酒場でやけ酒を飲む寧缺は、偶然居合わせた夫子に悩みを打ち明けます。寧缺は夫子の正体を知らず、道石を殺し、入魔したことを話します。そして師である夫子に無礼な言葉を浴びせ、怒った夫子に扇子で気絶させられます。駆けつけた李慢慢は夫子を責め、寧缺の最近の行動を報告します。
桑桑は寧缺を待ち続け、現れないことに泣き崩れます。夫子は李慢慢に寧缺と莫山山をくっつけようとしたことを咎め、寧缺の桑桑への想いを指摘します。唐王の命を受けた林公公は、曽静夫婦に桑桑を老筆斎に送り返すよう伝えます。これは夫子の決定でもありました。桑桑は林公公から寧缺が怪我をしたことを聞かされます。
第48話の感想
第48話は、寧缺の苦悩と決断、そして周囲の人々の様々な想いが交錯する、非常に重く、そして切ないエピソードでした。特に印象的なのは、寧缺が桑桑と莫山山の間で揺れ動く心情です。陳皮皮の言葉によって、桑桑の存在の大きさを改めて認識するシーンは、彼の葛藤が痛いほど伝わってきました。桑桑への愛を再確認しながらも、同時に莫山山への情も断ち切れない、その複雑な心境に胸が締め付けられます。
道石との戦いは、寧缺の精神的な変化を象徴する重要な場面でした。強敵との死闘の中で、桑桑への想いが彼を突き動かし、結果として魔宗の力に深く傾倒していくことになります。この戦いは、寧缺にとって大きな転換点となる出来事と言えるでしょう。勝利を得ながらも、入魔という大きな代償を払うことになり、今後の展開が非常に気になります。
つづく