重傷を負った寧缺(ねい・けつ)の知らせに、桑桑(そうそう)はいてもたってもいられず、曽静(ぞうせい)夫妻の製止を振り切り、老筆斎へと駆け戻った。昏睡から覚めた寧缺(ねい・けつ)は、全身の力が抜けたように感じていたが、鼻腔をくすぐる馴染みの卵粥の香りに目を覚まし、階下へ降りていく。そこには、優しく粥を煮る桑桑(そうそう)の姿があった。いつものように酒を控えめにするよう言われ、寧缺(ねい・けつ)の心には温かいものが込み上げてきた。まるで昔に戻ったかのようだった。

二人の様子を見て取った唐王は、自ら二人の結婚を賜ることを決意し、夏天(か・てん)公主もそれを後押しする。出来上がった粥を二人で囲み、楽しい会話と笑顔が溢れ、二人の愛はさらに深まる。一方、都を去る莫山山(ばく・さんさん)は、寧缺(ねい・けつ)への複雑な想いを胸に、墨池苑の弟子たちと共に都を後にした。過去への懐かしさと名残惜しさが、彼女の心を満たしていた。

寧缺(ねい・けつ)は莫山山(ばく・さんさん)から届いた手紙を読む。そこには、深い愛情と諦めが綴られており、荒野での生死を共にした日々が思い出され、彼の心は複雑な感情で揺れ動く。桑桑(そうそう)は静かにそれを見守り、心中穏やかではないものの、寧缺(ねい・けつ)を支えることを選んだ。白塔では、道石の遺体が戻り、曲妮(きょくに)大師は息子の死に悲嘆に暮れ、寧缺(ねい・けつ)を魔道に堕ちたと断定し、復讐を誓う。そして、懸空寺の宝樹大師に相談を持ちかける。

帰還した夫子(ふうし)は、すぐに陳皮皮(ちんぴぴ)を呼び、寧缺(ねい・けつ)が道石に勝利した経緯を尋ねる。陳皮皮(ちんぴぴ)はありのままを語った。寧缺(ねい・けつ)は曽静(ぞうせい)夫妻への謝罪のため、桑桑(そうそう)と共に贈り物を持って学士府を訪れるが、冷たくあしらわれてしまう。それでも桑桑(そうそう)は寧缺(ねい・けつ)と共にいることを固く決意し、曽静(ぞうせい)夫妻に初めて「お父様、お母様」と呼びかけ、土下座をする。その姿に、二人は心を打たれ、涙を流す。

掌教(しょうきょう)と大神官(だいしんかん)は、宝樹大師を利用して寧缺(ねい・けつ)を魔道に堕ちた者と糾弾し、書院(しょいん)を討伐し、唐国を併呑しようと企む。さらに、柳亦青を唆し、寧缺(ねい・けつ)に挑戦させ、柳白をも巻き込もうと画策する。月輪国の使者が唐王に訴え出るが、唐王は修行界の争いには介入しないと突っぱねる。李青山は曲妮(きょくに)がこのままでは済まさないと懸念するが、唐王は夫子(ふうし)がうまく処理してくれると自信を持っている。

挑戦状を受け取った柳亦青は、葛藤の末、師兄の柳白に報告することを決める。しかし、剣閣に潜む西陵(せいりょう)の弟子に挑発され、激昂した柳亦青は挑戦を受けることを決意し、朝小樹(ちょう・しょうしゅ)の剣を密かに持ち出す。書院(しょいん)に戻った寧缺は、陳皮皮(ちんぴぴ)に連れられ夫子(ふうし)と対面する。あの日酒を酌み交わした酒友が夫子(ふうし)だったと知り、寧缺は驚きと恐慌に襲われる。酒に酔って失言したことを後悔する。

後山(こうさん)で師兄師姉たちに挨拶をした寧缺。夫子(ふうし)は皆の前で、寧缺の入門の儀式を延期し、思過崖で仮省するように命じる。書院(しょいん)の弟子たちは夫子(ふうし)の帰還を祝い、陳皮皮(ちんぴぴ)は新作の鰻の蒲焼き餅で夫子(ふうし)を喜ばせる。皆が寧缺の許しを請うが、夫子(ふうし)の決意は固く、寧缺に試練を与え、浩然気の真諦を悟らせようとしていた。

寧缺の苦しみを分かち合いたい桑桑(そうそう)は、思過崖まで同行する。宝樹大師は道石の遺体に異変を感じ取るが、曲妮(きょくに)は寧缺が魔道に堕ちたという主張を曲げず、宝樹大師にそれを公表するように迫るが、拒否される。曲妮(きょくに)は諦めず、真実を暴くと脅す。桑桑(そうそう)は見送る中、寧缺は思過崖に入り、夫子(ふうし)によって入り口が封じられる。こうして、寧缺の修行が始まった。

第49話の感想

第49話は、様々な感情が交錯する、非常にドラマチックな展開でした。桑桑(そうそう)と寧缺の愛の深まり、莫山山(ばく・さんさん)の切ない想い、そして曲妮(きょくに)の復讐心など、それぞれのキャラクターの感情が丁寧に描かれており、見ているこちらも胸が締め付けられるようでした。

特に印象的だったのは、桑桑(そうそう)が曽静(ぞうせい)夫妻に初めて「お父様、お母様」と呼びかけ、土下座をするシーンです。これまで控えめであった桑桑(そうそう)が、寧缺を守るため、自らの意誌で行動を起こす姿は、彼女の成長と深い愛情を感じさせ、非常に感動的でした。

つづく