唐の宮廷では、唐王の心からの謝罪に李漁は深く感動する。王は李漁の傍にいて、彼女の幸せを見守りたいと願う。李漁は涙を浮かべながらも、夏侯(か・こう)の身を案じる。北渭軍の統帥である夏侯(か・こう)を都に留めておくことは、金帳王庭(きんちょうおうてい)や燕国の警戒を招く恐れがあると賢明な判断を示し、釈放を願い出る。唐王は李漁の思慮深さに感心し、その願いを聞き入れる。
一方、桑桑(そうそう)は都で一番質素な店を寧缺(ねい・けつ)の書道屋に選び、開店準備を進める。簡素ながらも、寧缺(ねい・けつ)は新たな生活の始まりに満足げだ。開店祝いに駆け込んだ朝小樹(ちょう・しょうしゅ)は、二人の努力を褒め称える。寧缺(ねい・けつ)は書を売り込み、朝小樹(ちょう・しょうしゅ)は自分が通りの店全てを所有していることを明かし、もし店が三ヶ月続けば家賃を免除すると賭けを持ちかける。
宮廷では、李琿圓が些細なことで小六子(しょうろくし)と口論になり、手を出してしまう。それを唐王と李漁が目撃し、唐王は李琿圓を厳しく叱責、李漁もまた言動に気を付けるよう諭す。釈放された夏侯(か・こう)はすぐさま駐屯地へ戻る。李漁は夜通し香袋を縫い、夏侯(か・こう)への想いを馳せる。
翌朝、寧缺(ねい・けつ)は桑桑(そうそう)と街を散策中、昊天道南門の符師・顔瑟(がんしつ)が字と引き換えにサンザシ飴を手に入れる場面に出くわす。サンザシ飴に惹かれた桑桑(そうそう)のために、寧缺(ねい・けつ)は砂盤に「夫」の字を書き、見事サンザシ飴を手に入れる。二人は笑顔でその場を去る。顔瑟(がんしつ)は寧缺(ねい・けつ)こそ探し求めていた弟子だと気付くが、二人は既にすれ違っていた。
一方、逃亡中の卓爾(たくじ)は重傷を負いながらも、寧缺に重要な情報を届けようと白菜の山の中に革紐と包みを隠す。しかし、追手に追いつかれ、命を落とす。寧缺は住処に戻り、血痕と卓爾(たくじ)の遺体を発見。悲しみに堪えながらも、卓爾(たくじ)が残した情報から、張貽琦(ちょう・いき)こそ将軍府を陥れた黒幕だと知る。寧缺は卓爾(たくじ)の仇を討つことを誓う。
夜、寧缺は情報をもとに紅袖招へ辿り著き、東城七貴の一人・褚由賢(ちょゆうけん)と出会う。紅袖招の中で、寧缺は冷静さを保ちながら張貽琦(ちょう・いき)を探す。会首の簡大家(かんたいか)は寧缺の隻者ではない雰囲気を感じ取る。故人に価た寧缺を咎めながらも、突き放すことはできない。簡大家(かんたいか)は小草(しょうそう)に寧缺を送り出させる。寧缺は次の行動を心に決める。
この夜、寧缺の復讐の物語が静かに幕を開ける。前途の困難を理解しつつも、大切な人を守るため、彼は進み続ける。その背後には、唐国内の複雑な権力争いと、正義と公平を求める彼の強い信念がある。
第5話 感想
第五話は、それぞれのキャラクターの想いが交錯し、物語が大きく動き出す重要なエピソードでした。李漁の唐王への深い愛情と、夏侯(か・こう)への切ない想いが胸を打ちます。唐王もまた、李漁の聡明さを認め、彼女の願いを聞き入れることで、国の安定を図ろうとする思慮深さを見せています。
一方、寧缺と桑桑(そうそう)は質素ながらも温かい生活をスタートさせ、二人の強い絆を感じさせます。朝小樹(ちょう・しょうしゅ)との賭けは、今後の展開への期待を高めます。また、偶然の出会いながらも、顔瑟(がんしつ)と寧缺のすれ違いは、運命の残酷さを闇示しているかのようです。
つづく