あらすじ
第五十二話は、陳某が隆慶を南海深く連れて行き、執着を捨てるよう諭す場面から始まります。しかし、隆慶は光明は消えぬと信じ、知守観へと向かいます。
一方、寧缺は書院に戻り、正式に夫子を師と仰ぎ、黒い院服を選びます。夫子は「書院不器意」の意味を説き、永夜と冥王の息子の伝説を語り、寧缺の疑念を払拭し、思過崖での反省を続けさせます。
桑桑は光明大神官の位を継ぐことを望まず、寧缺は彼女の決断を尊重し、三年後に西陵へ戻る約束をします。
柳白は真相を突き止め、西陵裁決司と決別し、無形の剣を鍛え、葉紅魚に贈ります。
漁村で傷を癒していた朝小樹は、四爺の悪行を暴き、地に叩き伏せます。掌教は夫子と唐国の民への復讐を誓います。
ネタバレ
南海の奥深くで、知守観観主陳某は隆慶を舟に乗せ、海風の中、かつて夫子に敗れた自身の過去を語り聞かせました。執念を捨て、より純粋な武道を追求するよう諭しますが、隆慶の力への渇望は燃え盛る炎のよう。陳某は信物を渡し、知守観に来るよう促すと共に、選択したら後戻りはできないと釘を刺します。隆慶は信物を握りしめ、「光明不滅、昊天永存」と呟き、決意に満ちた眼差しで陳某に別れを告げ、知守観へと旅立ちました。
一方、寧缺は桑桑と共に書院へ帰還。師兄師姐たちの温かい祝福を受け、正式に夫子の弟子となります。拝師の礼を行い、一人一人に挨拶を交わし、書院は喜びに満ち溢れていました。寧缺は落ち著いた黒の院服を選び、余帘は四季折々の十二著の儒服を用意するなど、細やかな配慮を見せます。寧缺は朝小樹の安否を尋ね、無事だと知り安堵します。しかし、夫子は寧缺を再び思過崖へと送り、修行を続けさせます。
桑桑と共に思過崖に戻った寧缺は、念力を使い「書院不器意」の精髄を頭に刻み込み、書は白紙に戻ります。夜、夫子は思過崖を訪れ、一字一句の意味を解説し、永夜と冥王之子の伝説を語ります。自らの出生に疑問を抱き、冥王之子ではないかと恐れる寧缺に、夫子は笑い飛ばし、杞憂であることを告げます。そして酒を振る舞い、明日の下山を許すと共に、桑桑への責任を果たすよう念押ししました。
君陌は柳亦青を療養のため書院に置き、朝小樹の行方が分かれば解放すると約束します。柳亦青は朝小樹が剣閣に侵入したことを明かし、捜索に協力すると言います。李慢慢は寧缺の身を案じますが、夫子は寧缺の手腕を信頼しています。
漁村で寡婦に助けられた朝小樹は、村の悪党に絡まれ、成敗します。その実力と正義感は健在でした。
寧缺は桑桑に西陵へ戻り光明大神官を継ぐよう説得しますが、桑桑は寧缺と共にいることを選びます。程立雪と天諭大神官の立ち会いのもと、三年後に判断を先延ばしにすることになりました。
裁決司に利用されていたと知った柳白は激怒し、闇諜を処罰、裁決司との決別を決意。無形の剣を鍛え、その剣意を葉紅魚に伝え、裁決司へ警告を送ります。計画が失敗に終わり、裁決司大神官は隆慶と羅克敵に怒りを向け、掌教は夫子と書院への敵対心を燃やします。
登場人物たちの運命が交錯し、感情と責任が複雑に絡み合い、それぞれが試練に立ち向かい、新たな道を歩み始める、そんな物語です。
第52話 感想
第52話は、それぞれのキャラクターが岐路に立ち、新たな局面を迎える転換点となるエピソードでした。南海での陳某と隆慶の会話は、光と闇、そして師弟の複雑な関係性を改めて浮き彫りにしました。隆慶の昊天への信仰心と力への渇望は、今後の物語に大きな影を落とす予感がします。
一方、書院に戻った寧缺は、夫子や師兄師姐たちに温かく迎えられ、改めて家族の温もりを感じます。思過崖での修行や夫子との対話は、寧缺の成長と真の強さを予感させ、今後の活躍への期待が高まります。桑桑との穏やかな時間も印象的で、二人の絆の深さが伝わってきました。
朝小樹のエピソードは、彼らしいユーモアと正義感に溢れており、見ていて安心感を覚えました。困難な状況でも決して諦めない彼の姿は、まさに希望の光です。
つづく