南海の奥深くで、知守観観主陳某(ちんぼう)は隆慶を舟に乗せ、海風の中、かつて夫子(ふうし)に敗れた自身の過去を語り聞かせました。執念を捨て、より純粋な武道を追求するよう諭しますが、隆慶の力への渇望は燃え盛る炎のよう。陳某(ちんぼう)は信物を渡し、知守観に来るよう促すと共に、選択したら後戻りはできないと釘を刺します。隆慶は信物を握りしめ、「光明不滅、昊天永存」と呟き、決意に満ちた眼差しで陳某(ちんぼう)に別れを告げ、知守観へと旅立ちました。

一方、寧缺(ねい・けつ)は桑桑(そうそう)と共に書院(しょいん)へ帰還。師兄師姐たちの温かい祝福を受け、正式に夫子(ふうし)の弟子となります。拝師の礼を行い、一人一人に挨拶を交わし、書院(しょいん)は喜びに満ち溢れていました。寧缺(ねい・けつ)は落ち著いた黒の院服を選び、余簾は四季折々の十二著の儒服を用意するなど、細やかな配慮を見せます。寧缺(ねい・けつ)は朝小樹(ちょう・しょうしゅ)の安否を尋ね、無事だと知り安堵します。しかし、夫子(ふうし)は寧缺(ねい・けつ)を再び思過崖へと送り、修行を続けさせます。

桑桑(そうそう)と共に思過崖に戻った寧缺(ねい・けつ)は、念力を使い「書院(しょいん)不器意」の精髄を頭に刻み込み、書は白紙に戻ります。夜、夫子(ふうし)は思過崖を訪れ、一字一句の意味を解説し、永夜と冥王之子の伝説を語ります。自らの出生に疑問を抱き、冥王之子ではないかと恐れる寧缺(ねい・けつ)に、夫子(ふうし)は笑い飛ばし、杞憂であることを告げます。そして酒を振る舞い、明日の下山を許すと共に、桑桑(そうそう)への責任を果たすよう念押ししました。

君陌(くんはく)は柳亦青を療養のため書院(しょいん)に置き、朝小樹(ちょう・しょうしゅ)の行方が分かれば解放すると約束します。柳亦青は朝小樹(ちょう・しょうしゅ)が剣閣に侵入したことを明かし、捜索に協力すると言います。李慢慢は寧缺の身を案じますが、夫子(ふうし)は寧缺の手腕を信頼しています。

漁村で寡婦に助けられた朝小樹(ちょう・しょうしゅ)は、村の悪党に絡まれ、成敗します。その実力と正義感は健在でした。

寧缺は桑桑(そうそう)に西陵(せいりょう)へ戻り光明大神官(だいしんかん)を継ぐよう説得しますが、桑桑(そうそう)は寧缺と共にいることを選びます。程立雪(てい・りゅうせつ)と天諭大神官(だいしんかん)の立ち会いのもと、三年後に判断を先延ばしにすることになりました。

裁決司(さいけつし)に利用されていたと知った柳白は激怒し、闇諜を処罰、裁決司(さいけつし)との決別を決意。無形の剣を鍛え、その剣意を葉紅魚(よう・こうぎょ)に伝え、裁決司(さいけつし)へ警告を送ります。計画が失敗に終わり、裁決司(さいけつし)大神官(だいしんかん)は隆慶と羅克敵に怒りを向け、掌教(しょうきょう)は夫子と書院(しょいん)への敵対心を燃やします。

登場人物たちの運命が交錯し、感情と責任が複雑に絡み合い、それぞれが試練に立ち向かい、新たな道を歩み始める、そんな物語です。

第52話 感想

第52話は、それぞれのキャラクターが岐路に立ち、新たな局面を迎える転換点となるエピソードでした。南海での陳某(ちんぼう)と隆慶の会話は、光と闇、そして師弟の複雑な関係性を改めて浮き彫りにしました。隆慶の昊天への信仰心と力への渇望は、今後の物語に大きな影を落とす予感がします。

一方、書院(しょいん)に戻った寧缺は、夫子や師兄師姐たちに温かく迎えられ、改めて家族の温もりを感じます。思過崖での修行や夫子との対話は、寧缺の成長と真の強さを予感させ、今後の活躍への期待が高まります。桑桑(そうそう)との穏やかな時間も印象的で、二人の絆の深さが伝わってきました。

朝小樹(ちょう・しょうしゅ)のエピソードは、彼らしいユーモアと正義感に溢れており、見ていて安心感を覚えました。困難な状況でも決して諦めない彼の姿は、まさに希望の光です。

つづく