寧缺(ねい・けつ)は皇宮を出て、夜更けに夏天(か・てん)的と出会う。彼女は兄である夏侯(か・こう)と寧缺(ねい・けつ)の確執について尋ねるが、寧缺(ねい・けつ)は李漁との家事には関わりたくないと言い、夏侯(か・こう)とは血で血を洗う深仇であり、相容れないと断言する。夏天(か・てん)的は夏侯(か・こう)の実力が高いことを理由に、彼との直接対決を避けるよう忠告するが、寧缺(ねい・けつ)は揺るがない。別れ際に、夏天(か・てん)的は自分がかつて魔宗の聖女であったことを明かし、寧缺(ねい・けつ)は驚きつつも深く頭を下げて去る。

その夜、風雨の中、寧缺(ねい・けつ)は朱雀(すざく)天街に赴き、陣眼杵を掲げ、驚神陣を掌握することを宣言する。朱雀(すざく)の再覚醒と共に、寧缺は正式にこの千年の古陣を継承し、重い責任感に包まれる。都と民を守ることを誓う。

一方、教主は夏侯(か・こう)の帰都と退任を知り、裁決司(さいけつし)大神官(だいしんかん)を遣わして彼を西陵(せいりょう)に招き、寧缺の排除を企てる。隆慶は復讐心に燃え、天書を学び、寧缺への復讐と失った力の回復を切望する。寧缺は夏侯(か・こう)の弱点を水だと見抜き、雁鳴湖を買収することを決意する。桑桑(そうそう)は彼の決意を支え、全財産を提供する。

翌日、桑桑(そうそう)は寧缺の書を紅袖招に持ち込み、水珠児(すいじゅじ)に高値で売るよう依頼する。水珠児(すいじゅじ)は巧みにその出所を隠し、鍾大俊(しょうだいしゅん)の父である鍾離を含む街の有力者を集める。交渉の末、鍾離は五百両の銀で寧缺の「鶏湯帖」を購入し、息子に自慢する。鍾大俊(しょうだいしゅん)は寧缺を超えることを誓う。

隆慶は修行に没頭し、雑役も厭わず天書を学ぶ。沙字巻を開き、魔宗の饕餮大法に触れた彼は、他者を操ろうとして仮噬を受け、昏倒する。目を覚ました後も、義成(ぎせい)師叔の忠告に耳を貸さず、西陵(せいりょう)の秘法を乞うが、修練が足りないと言われる。

寧缺は資金調達のため、桑桑(そうそう)と共に賭場へ行き、借金の回収に成功する。さらに斉四(さいし)爺の援助も得て、雁鳴湖の買収に成功する。湖畔に寧府を築き、夏侯(か・こう)との決戦に備える。桑桑(そうそう)は寧缺の身を案じながらも、彼と共に困難に立ち向かう決意を固める。

葉紅魚(よう・こうぎょ)は光明殿(こうめいでん)からの脱出を図るが、教主の追手に囲まれ、激戦の末に力尽きる。隆慶は水汲みの途中、腰斬にされた越五境の聖人と出会い、言葉を交わすが、無礼な態度をとったため掌底で吹き飛ばされる。

西陵(せいりょう)では、程立雪(てい・りゅうせつ)が戻り、羅克敵が葉紅魚(よう・こうぎょ)を独断で追おうとしているのを発見する。天諭大神官(だいしんかん)が介入し、葉紅魚(よう・こうぎょ)を重要人物として保護するよう指示する。教主も仲裁に入り、羅克敵に葉紅魚(よう・こうぎょ)への幹渉を禁じる。

寧缺は湖畔で修練を続け、四師兄と六師兄が作った爆弾を試し、湖面に大きな水しぶきを上げる。迫りくる決戦の激しさを予感させる。

第54話の感想

第54話は、今後の展開を大いに期待させる、盛りだくさんのエピソードでした。寧缺と夏侯の対立が明確化され、いよいよ最終決戦に向けて物語が動き出したと感じます。寧缺の揺るぎない決意と、それを支える桑桑(そうそう)の献身的な姿には胸を打たれました。雁鳴湖の買収劇も、桑桑(そうそう)の機転と寧缺の交渉術が光る見事な展開でした。特に、紅袖招でのやり取りは、水珠児(すいじゅじ)の巧みな話術と、鍾離の滑稽な姿が印象的で、緊迫した状況の中でもクスッと笑える場面が織り込まれているのが良かったです。

一方、隆慶の暴走は、彼の焦りと 絶望 を象徴しているように見えます。力を求めるあまり、禁断の術に手を出し、その結果がどうなるのか、非常に心配です。葉紅魚(よう・こうぎょ)と西陵(せいりょう)の対立も、今後の展開に大きく影響しそうです。掌教(しょうきょう)の真意がどこにあるのか、そして葉紅魚(よう・こうぎょ)の運命はどうなるのか、目が離せません。

つづく