あらすじ
第五十七話は、葉紅魚が寧缺に挑戦する場面から始まります。寧缺は辛くも身をかわしましたが、葉紅魚の鋭い剣意に押され、倒れそうになるほどでした。焦るあまり葉紅魚自身も負傷してしまい、寧缺は彼女に休養を勧めた上で、西陵を離れた理由を尋ねますが、答えは返ってきませんでした。
その後、夏侯が夏天を訪ね、臘梅を贈ると共に寧缺に挑戦する意思を伝えます。夏天は止めようとしますが、夏侯は聞き入れません。そして夏侯は寧缺に宴への招待状を送ります。葉紅魚は寧缺に同行することを決めます。
宴の席で、夏侯は過去の出来事を持ち出し、寧缺を挑発します。怒りに燃える寧缺でしたが、葉紅魚が間に入り、事を荒立てずに済みました。
一方、都で道義を説いていた葉青は、冷遇されていました。その後、寧缺と葉紅魚に出会い、葉紅魚を破門した身でありながら山を下りたことを責めます。葉紅魚は寧缺に大河剣意を授け、葉青の調査に気を付けるよう忠告します。
寧缺は李慢慢に葉青の素性を尋ね、李慢慢は感謝の意を示すためにも葉紅魚に会うよう勧めます。陳皮皮は、葉青から知守観に戻るよう誘われますが、書院に残ることを選びます。
ネタバレ
寧缺は葉紅魚からの挑戦を受け、仕方なく応じる。葉紅魚は柳白から授かった大河剣を振るい、猛攻を仕掛けるが、剣意の真髄を理解しておらず、逆に仮動を受け負傷する。寧缺は彼女を気遣い、西陵を出奔した理由を尋ねるも、口を閉ざしたまま、夏侯の接近を警告するにとどまる。
一方、夏侯は親王府を後にすると、夏天の元を訪れ、臘梅を贈り深情を伝える。夏天は感動しつつも、寧缺との因縁を断ち切るよう説得するが、夏侯は決意を変えず、別れを告げる。
その後、夏侯は寧缺を必勝居へ招待し、決闘を申し込む。葉紅魚は寧缺の身を案じ、同行する。宴席では、夏侯は過去の出来事を軽く流し、寧缺を嘲弄し、「生き残った雑魚」呼ばわりする。寧缺は怒りを抑え、仮論するも、夏侯は運命を変えることは不可能だと告げ、夫子を頼るなと警告する。緊迫した状況の中、葉紅魚は玉の腕輪で夏侯を試すが、一撃で砕かれ、夏侯を「裏切り者」と非難し、寧缺と共に席を立つ。
場を和ませようと、寧缺は葉紅魚を屋台の包子屋に連れて行く。一見穏やかな二人だが、それぞれ心に複雑な思いを抱えている。そこに葉青が現れ、葉紅魚の行動を咎め、陳皮皮を連れ戻すよう迫る。寧缺は葉紅魚を庇うが、三人は不穏な雰囲気のまま別れる。夜更けに、葉紅魚は大河剣の剣意を寧缺に伝え、葉青の目的と彼への警戒を促す。
都では、葉青が西陵の教えを広めようとするも、人々の仮応は冷淡で、世の風潮を嘆く。寧缺は李慢慢を通して葉青の素性を探り、夫子に面会を求めるが、断られる。李慢慢は葉紅魚への感謝として、寧缺に二冊の本を贈る。君陌は寧缺に、心の迷いを解き、挑戦に立ち向かうよう励ます。
一方、陳皮皮は雨の中、碧雲観の葉青を訪ねる。二人は今後の進路について意見が対立し、陳皮皮は知守観への帰還を拒否し、書院での自由な生活を選ぶ。葉青は仕方なく一人で戻る。物語は、複雑に絡み合う感情と、迫り来る激しい衝突の中で幕を閉じる。
第57話の感想
第57話は、緊張感と様々な感情が交錯する、見応えのあるエピソードでした。葉紅魚と寧缺の決闘シーンは、彼女の未熟さゆえの敗北という結果に終わりましたが、大河剣を振るう姿は迫力満点でした。同時に、西陵を出て寧缺の傍にいるという彼女の決意の強さも感じられました。夏侯の登場は、物語に新たな緊張感をもたらしました。復讐に燃える彼の冷酷さと、夏天への未練が入り混じった複雑な感情が、今後の展開を予感させます。必勝居での寧缺と夏侯の対峙は、緊迫感溢れるシーンでした。夏侯の挑衅的な態度と寧缺の冷静な対応、そして葉紅魚の介入、どれも見逃せない瞬間でした。
つづく