隆慶は天書を日夜研究するも、真意を掴めず、血を吐くほど焦っていた。一方、葉紅魚(よう・こうぎょ)は寧缺(ねい・けつ)が荒野で彼女の傷を包帯してくれた手拭いを手に、その時のことを思い出していた。寧缺(ねい・けつ)は桑桑(そうそう)の寒症を治すため、彼女が光明大神官(だいしんかん)の職を継げるよう、神術を教えてほしいと葉紅魚(よう・こうぎょ)に頼んでいたのだ。その代償として、浩然の気の功法と大河剣意を譲ると申し出たが、葉紅魚(よう・こうぎょ)は大河剣意を寧缺(ねい・けつ)に贈ると言い張った。

隆慶は聖人の灰眼の功法を学ぼうとするも理解できず、聖人に助けを求める。しかし、聖人は隆慶を「役立たず」と罵る。復讐を誓う隆慶に、聖人は寧缺(ねい・けつ)に劣っているのは「驕り」だと指摘。皇子としてのプライドを捨てなければ最強にはなれないと言い、土下座すれば全ての功力を授けると告げるが、隆慶は拒否する。

聖人は自らの過去、魔宗の残党に扮して柯浩然(ここうぜん)の妻を殺し、自身も柯浩然(ここうぜん)に腰斬されたことを語る。そして、書院(しょいん)への復讐心を露わにするが、隆慶は柯浩然(ここうぜん)は天罰に遭ったと仮論。昊天への信仰を捨てろと迫る聖人に対し、隆慶は昊天の光で世界を照らしたいと主張。激怒した聖人は隆慶を何度も殴り倒すが、隆慶の闘誌に火がつき、書院(しょいん)と寧缺(ねい・けつ)を滅ぼすと誓う。遂に聖人は功力の半分を授けることを決意。隆慶は聖人の念力を吸収するが、更に力を求めた隆慶は聖人の全てを奪い、聖人は絶命する。力を得た隆慶は高笑いした。

葉紅魚(よう・こうぎょ)は兄である葉青に都を離れるよう促すが、葉青は寧缺(ねい・けつ)の正体を探ろうとする。また、陳皮皮(ちんぴぴ)を知守観から追い出した葉紅魚(よう・こうぎょ)を責める。葉紅魚(よう・こうぎょ)は葉青のために、観主が彼に継承させようとしていることを陳皮皮(ちんぴぴ)に伝えたのだった。葉青は激昂し葉紅魚に手を上げようとするも、結局は出来なかった。葉紅魚は葉青がいつか観主になると信じていた。

寧缺は大河剣意の修行に励む。隆慶は知守観の薬房から通天丸と沙字巻の天書を盗み出す。義成(ぎせい)に咎められるも、冥王の子を倒せるのは自分だけだと主張。義成(ぎせい)は隆慶の試練は観主の指示だったと明らかにするが、隆慶は通天丸を飲み込み、知命の境地に達し姿を消す。

葉紅魚は桑桑(そうそう)に神術を教え、桑桑(そうそう)はすぐに習得する。寧缺は夏侯(か・こう)との戦いに備え、葉紅魚に桑桑(そうそう)の面倒を頼む。唐王は李沛言を詰め寄り、林光遠将軍一家殺害の罪を認めさせる。李沛言は天下のためだと主張する。

第58話の感想

第58話は、それぞれのキャラクターの焦りや執念、そして変化が際立つエピソードでした。隆慶は天書を理解できず焦燥し、力への渇望から聖人を殺害し、強大な力を得るという衝撃的な展開を見せました。彼の歪んだ野心と狂気は、今後の物語に大きな影を落とすでしょう。寧缺は桑桑(そうそう)の病を治すため、葉紅魚に頭を下げるという、彼の誠実さと桑桑(そうそう)への深い愛情が感じられるシーンでした。同時に、夏侯(か・こう)との戦いを控え、死を覚悟しているような描写もあり、今後の展開が不安になります。葉紅魚は寧缺への複雑な感情を抱えながらも、桑桑(そうそう)に神術を教えるという優しさを見せました。兄・葉青との確執も描かれ、彼女の今後の選択が注目されます。聖人は自身の過去を語り、隆慶を唆す姿は、まさに悪の化身といった印象。彼の死は物語の大きな転換点となるでしょう。それぞれの思惑が交錯し、緊張感が高まる第58話。今後の展開から目が離せません。

つづく