あらすじ
第五十八話は、隆慶が天書の修練で挫折を味わい、後に聖人の指導の下、高慢な身分と昊天への信仰を捨て、最終的に聖人の全功力を無理やり吸収し、見事重生を果たし知命の境地に達するまでを描いています。
一方、寧缺は桑桑を光明大神官の後継者とし、寒症を治療するため、葉紅魚に神術の指導を懇願します。葉紅魚はこれに応じ、桑桑に神術を伝授し、桑桑はたちまち神術を習得します。
また、知守観の継承問題をめぐり、葉青と葉紅魚は対立します。葉紅魚は葉青が観主になると確信しています。
最後に、寧缺は夏侯との戦いに備え、桑桑の世話を葉紅魚に頼みます。そして、李沛言は唐王の追及を受け、夏侯と共謀して林光遠一家を殺害したことを認めますが、それは天下蒼生のためだと主張します。
ネタバレ
隆慶は天書を日夜研究するも、真意を掴めず、血を吐くほど焦っていた。一方、葉紅魚は寧缺が荒野で彼女の傷を包帯してくれた手拭いを手に、その時のことを思い出していた。寧缺は桑桑の寒症を治すため、彼女が光明大神官の職を継げるよう、神術を教えてほしいと葉紅魚に頼んでいたのだ。その代償として、浩然の気の功法と大河剣意を譲ると申し出たが、葉紅魚は大河剣意を寧缺に贈ると言い張った。
隆慶は聖人の灰眼の功法を学ぼうとするも理解できず、聖人に助けを求める。しかし、聖人は隆慶を「役立たず」と罵る。復讐を誓う隆慶に、聖人は寧缺に劣っているのは「驕り」だと指摘。皇子としてのプライドを捨てなければ最強にはなれないと言い、土下座すれば全ての功力を授けると告げるが、隆慶は拒否する。
聖人は自らの過去、魔宗の残党に扮して柯浩然の妻を殺し、自身も柯浩然に腰斬されたことを語る。そして、書院への復讐心を露わにするが、隆慶は柯浩然は天罰に遭ったと仮論。昊天への信仰を捨てろと迫る聖人に対し、隆慶は昊天の光で世界を照らしたいと主張。激怒した聖人は隆慶を何度も殴り倒すが、隆慶の闘誌に火がつき、書院と寧缺を滅ぼすと誓う。遂に聖人は功力の半分を授けることを決意。隆慶は聖人の念力を吸収するが、更に力を求めた隆慶は聖人の全てを奪い、聖人は絶命する。力を得た隆慶は高笑いした。
葉紅魚は兄である葉青に都を離れるよう促すが、葉青は寧缺の正体を探ろうとする。また、陳皮皮を知守観から追い出した葉紅魚を責める。葉紅魚は葉青のために、観主が彼に継承させようとしていることを陳皮皮に伝えたのだった。葉青は激昂し葉紅魚に手を上げようとするも、結局は出来なかった。葉紅魚は葉青がいつか観主になると信じていた。
寧缺は大河剣意の修行に励む。隆慶は知守観の薬房から通天丸と沙字巻の天書を盗み出す。義成に咎められるも、冥王の子を倒せるのは自分だけだと主張。義成は隆慶の試練は観主の指示だったと明らかにするが、隆慶は通天丸を飲み込み、知命の境地に達し姿を消す。
葉紅魚は桑桑に神術を教え、桑桑はすぐに習得する。寧缺は夏侯との戦いに備え、葉紅魚に桑桑の面倒を頼む。唐王は李沛言を詰め寄り、林光遠将軍一家殺害の罪を認めさせる。李沛言は天下のためだと主張する。
第58話の感想
第58話は、それぞれのキャラクターの焦りや執念、そして変化が際立つエピソードでした。隆慶は天書を理解できず焦燥し、力への渇望から聖人を殺害し、強大な力を得るという衝撃的な展開を見せました。彼の歪んだ野心と狂気は、今後の物語に大きな影を落とすでしょう。寧缺は桑桑の病を治すため、葉紅魚に頭を下げるという、彼の誠実さと桑桑への深い愛情が感じられるシーンでした。同時に、夏侯との戦いを控え、死を覚悟しているような描写もあり、今後の展開が不安になります。葉紅魚は寧缺への複雑な感情を抱えながらも、桑桑に神術を教えるという優しさを見せました。兄・葉青との確執も描かれ、彼女の今後の選択が注目されます。聖人は自身の過去を語り、隆慶を唆す姿は、まさに悪の化身といった印象。彼の死は物語の大きな転換点となるでしょう。それぞれの思惑が交錯し、緊張感が高まる第58話。今後の展開から目が離せません。
つづく