月明かりの下、相柳(そうりゅう)と玟小六(びんしょうりく)は静かに語り合った。束の間の穏やかな時間は、二人にとって貴重なひとときとなった。別れを惜しみつつ医館に戻った玟小六(びんしょうりく)のもとに、瑲玹(そうげん)が重傷を負ったとの知らせが届く。矢傷から血が止まらず、昨夜の襲撃は防風意映(ぼうふういいえい)の仕業だと疑う瑲玹(そうげん)は、解毒剤を持つ塗⼭璟(とざんけい)を説得できる玟小六(びんしょうりく)を呼ぶよう命じた。協力しなければ、同じ苦しみを味わわせると脅しをかけるほど、瑲玹(そうげん)は焦っていた。

急ぎ駆けつけた玟小六(びんしょうりく)は、矢に氷晶の毒が塗られていたことを見抜く。一刻を争う事態の中、彼女は瑲玹(そうげん)を湯穀へ連れて行くまでの時間稼ぎとして、塗⼭璟(とざんけい)から氷晶を借り受け、極寒の力で血を止めようと考えた。しかし、塗⼭璟(とざんけい)の屋敷で彼女を待っていたのは、防風意映(ぼうふういいえい)だった。その場に現れた塗⼭璟(とざんけい)に事情を説明すると、彼はすぐに静夜(せいよ)に氷晶を取ってくるよう指示を出す。防風意映(ぼうふういいえい)はそれとなく邪魔をしようとするが、玟小六(びんしょうりく)は無事に氷晶を手に入れ、瑲玹(そうげん)の止血に成功する。

瑲玹(そうげん)は五神山へと向かい、玟小六(びんしょうりく)は清水(せいすい)鎮に残ることを決意する。瑲玹(そうげん)との別れに寂しさを感じていると、相柳(そうりゅう)が現れる。玟小六の危機を二度も救ったことで、彼女を見直した相柳(そうりゅう)は、情蠱の解き方を明かす。それは、蠱虫を他の人間に移すことだった。相柳(そうりゅう)は玟小六に想いを寄せており、自ら危険を冒す覚悟を決めていた。ただし、玟小六は彼に一つの条件を呑まなければならない。

玟小六は、瑲玹(そうげん)と塗⼭璟(とざんけい)に害が及ばなければどんな条件でも受け入れると約束する。二人は五神山へ向かうため、海路を選ぶ。貝殻に乗って海底を進む中、二人は血を交わし、相柳(そうりゅう)は玟小六の体から蠱虫を引き抜いて自らの体へと移した。激しい苦痛に襲われる相柳(そうりゅう)。

同じ頃、瑲玹(そうげん)は過去の記憶を辿る中で情蠱の仕掛けが作動し、血を吐いて蠱毒から解放される。一方、海底では、玟小六が相柳と共に神秘的な世界を探検していた。宮灯に照らされた彼女の笑顔はひときわ輝き、相柳の顔にも優しい笑みが浮かぶ。その表情に、玟小六は不思議な感情を抱くのだった。

第12話の感想

第12話は、玟小六と相柳の関係性が大きく進展する重要な回でした。これまで謎めいていた相柳の心情が明らかになり、彼の秘めた想いと自己犠牲的な行動に胸を打たれました。特に、海底での蠱虫の移動シーンは美しくも切なく、二人の絆の深まりを感じさせる印象的な場面でした。

玟小六は、瑲玹(そうげん)への想いと塗⼭璟(とざんけい)からの愛情に揺れ動く一方で、相柳の優しさに触れ、新たな感情が芽生え始めています。三人の男性の間で揺れ動く彼女の心情は、視聴者としても共感できる部分が多く、今後の展開がますます気になります。

また、瑲玹(そうげん)が情蠱から解放されるシーンも印象的でした。しかし、彼の表情には喜びよりも複雑な感情が読み取れ、今後の行動に影を落とす予感がします。防風意映(ぼうふういいえい)の闇躍も不気味さを増しており、物語にさらなる波乱を巻き起こしそうです。

つづく