瑲玹(そうげん)は五神山に戻り、皓翎(こうれい)王に清水(せいすい)鎮での出来事、特に玟小六(びんしょうりく)の謎めいた素性を詳しく報告した。皓翎(こうれい)王は玟小六(びんしょうりく)に興味を持ち、旧知の者の末裔ではないかと考え、瑲玹(そうげん)に彼女を皓翎(こうれい)国へ連れてくるよう命じた。
一方、玟小六(びんしょうりく)は回春堂で友人たちをもてなしていたが、桑甜児(そうてんじ)は別れの気配を感じ取っていた。宴の後、玟小六(びんしょうりく)は荷造りを始め、来るべき変化に備えた。
そこへ塗⼭璟(とざんけい)が氷晶を持って訪ねてきた。玟小六(びんしょうりく)の出発を知り、彼は驚きを隠せない。玟小六(びんしょうりく)は彼を傷つける言葉で突き放そうとするが、塗⼭璟(とざんけい)の退出後、瑲玹(そうげん)が現れ、玟小六を皓翎(こうれい)国へ連れて行くと告げた。
玟小六は動揺しながらも抵抗を試みるが、瑲玹(そうげん)は強硬な態度で、二時間だけ猶予を与えた。玟小六は皓翎(こうれい)王との接触を避けようと策を練る。
相柳(そうりゅう)は強力な武器を作るため、金天星沉(きんてんせいしん)を探し出し、必要な材料を提供すると約束した。窮地に陥った玟小六は相柳(そうりゅう)に助けを求めようとするが、連絡が取れなかった。
藁にもすがる思いで、玟小六は塗⼭璟(とざんけい)に助けを求めた。塗山氏の勢力と義軍との繋がりを利用すれば、清水(せいすい)鎮から脱出できるかもしれないと考えたのだ。彼女は回春堂を桑甜児(そうてんじ)に任せ、塗⼭璟(とざんけい)の元へ急いだ。
塗⼭璟(とざんけい)は迷わず玟小六を助けることを決意した。皓翎(こうれい)国との対立を招く危険を承知の上で、彼女の安全を優先したのだ。静夜(せいよ)の製止を振り切り、塗⼭璟(とざんけい)は玟小六を連れ、秘密の抜け道を通って清水(せいすい)鎮を脱出した。
瑲玹(そうげん)は二人の行方を追う。防風意映(ぼうふういいえい)がわざと情報を流し、捜索は激しさを増す。相柳(そうりゅう)が回春堂に戻った時には、玟小六の姿は既になかった。
夜、野外で一夜を明かす玟小六と塗⼭璟(とざんけい)。塗⼭璟(とざんけい)は過去の苦しみを玟小六に打ち明ける。彼の告白に玟小六は心を揺さぶられた。
しかし、束の間の安息は破られる。皓翎軍に包囲され、強力な神族が二人いることに気づいた塗⼭璟(とざんけい)は、玟小六を逃がし、一人で瑲玹(そうげん)に立ち向かう。激しい戦いの末、重傷を負った塗⼭璟(とざんけい)は捕らえられ、瑲玹(そうげん)は彼を人質に玟小六を呼び出した。
第13話 緊迫感高まる逃亡劇、それぞれの想いが交錯する
第13話は、息つく間もない展開で、玟小六の運命が大きく揺れ動く、非常に緊迫感のあるエピソードでした。皓翎(こうれい)王の思惑、瑲玹(そうげん)の決意、塗⼭璟(とざんけい)の献身、そして相柳(そうりゅう)の焦燥…それぞれのキャラクターの想いが複雑に絡み合い、物語はより一層深みを増しています。
特に印象的なのは、塗⼭璟(とざんけい)の玟小六への深い愛情です。危険を顧みず、彼女を助けようとする姿は、彼の秘めた想いの強さを物語っています。静夜(せいよ)の製止を振り切り、密道を使って逃亡を図るシーンは、彼の覚悟がひしひしと伝わってきました。これまで静かに玟小六を見守ってきた彼が、ついに自分の気持ちを行動で示した瞬間であり、大きな変化と言えるでしょう。
対照的に、瑲玹(そうげん)の行動は冷酷に映ります。目的のためには手段を選ばない彼のやり方は、見ていて辛いものがあります。もちろん、彼にも大義があり、玟小六を皓翎(こうれい)国へ連れて帰ることは彼の使命なのでしょう。しかし、塗⼭璟(とざんけい)を人質にするという方法は、あまりにも非情です。
つづく