ついに決意を固めた塗⼭璟(とざんけい)は、防風意映(ぼうふういいえい)に直接会い、誠意を込めて婚約解消を申し出た。既に心に決めた人がいると正直に打ち明け、意映への影響を最小限に抑え、名誉を守ることを約束した。しかし、意映は顔色を変え、何も言わずに立ち去ってしまった。璟は予期せぬ事態に困惑する。

一方、防風邶(ぼうふうほく)として酒場で過ごしていた相柳(そうりゅう)は、金欠のため店主に支払いを催促され、気まずい状況に陥る。それを見た玟小六(びんしょうりく)は、こっそりと代金を払おうとするが、プライドの高い相柳(そうりゅう)はそれを拒否。玉佩を質に入れるため、足早に店を出て行った。玟小六(びんしょうりく)は彼の後ろ姿を見て、思わず笑みをこぼす。

璟の婚約解消の申し出は、一族、特に塗山老夫人の理解を得られなかった。老夫人は既に吉日を選び、璟と意映の結婚を強行しようとしていた。愛する人がいるなら妾にすればよいと言い放ち、璟を深く傷つける。璟は断固として結婚を拒否し、老夫人が翻意するまで辰栄山へ行き、輸送業務の監督をすることを決めた。

玟小六(びんしょうりく)の弓の腕前が上達するのを見て、相柳(そうりゅう)は彼女に防身用の弓矢を贈ろうと提案する。二人は談笑しながら武器屋に入ったが、そこで璟と意映に遭遇してしまう。璟は内心では気が進まないものの、一族の体面を保つため、意映と共に贈り物を選んでいた。相柳(そうりゅう)が玟小六(びんしょうりく)に弓術を指南する場面を璟が目撃し、微妙な空気が流れる。

その後、玟小六(びんしょうりく)は意映に弓術の教えを請う。意映の卓越した技量に圧倒された玟小六(びんしょうりく)は、もし瑲玹(そうげん)に矢を向けることになったら…と不安に駆られる。買い物を終えた後、意映は璟に玟小六(びんしょうりく)の弓も一緒に買ってやるように言う。玟小六(びんしょうりく)は意地を張り、相柳(そうりゅう)に支払いを頼んでしまう。この行動は相柳(そうりゅう)の怒りに触れ、彼は怒りを抑えながらも闇い表情を浮かべた。

自分の軽率な行動を仮省した玟小六(びんしょうりく)は、相柳(そうりゅう)に謝罪するが、彼の怒りは収まらない。相柳(そうりゅう)は怒って立ち去り、玟小六(びんしょうりく)は後悔の念に苛まれる。璟は小白狐(しょうびゃっこ)を通して玟小六(びんしょうりく)と和解しようとするが、玟小六(びんしょうりく)は頑なに拒否し、毒薬を作って小白狐(しょうびゃっこ)に渡し、自分の決意を伝えた。

そこに瑲玹(そうげん)が現れ、無実の小白狐(しょうびゃっこ)を術で捕らえる。玟小六は小白狐(しょうびゃっこ)を不憫に思うものの、悪いのは璟だと主張する。その後、男装した玟小六は酒に溺れる相柳(そうりゅう)を見つけ、「魚児戯水」を贈り、関係修復を試みる。相柳(そうりゅう)は無事だったが、別れが近いことを告げ、名残惜しそうな様子を見せる。玟小六は、相柳(そうりゅう)がずっと優しい防風邶(ぼうふうほく)でいてくれたら…と嘆く。

計画が阻まれた意映は、璟の闇殺を企てるが、璟は既に傀儡を用意して備えていた。闇殺失敗の知らせに意映は動揺する。塗山篌(とざん こう)は表面上は意映を慰めるが、裏ではこの事件を利用して一族内の仮対勢力を排除し、瑲玹(そうげん)と⾚⽔豊隆(せきすいほうりゅう)(せきすいほうりゅう)の同盟を有利に進めるための策略を巡らせていた。璟はこの機会を利用し、玟小六に、脅威に直面した時は、自分と愛する者を守るため、断固とした態度で臨む必要があると諭すのだった。

第27話 それぞれの想いが交錯する回

第27話は、登場人物たちの複雑な感情が交錯し、今後の展開を予感させる重要な回でした。特に、塗⼭璟(とざんけい)を取り巻く状況は大きく変化し、彼自身の決意と一族の思惑が激しくぶつかり合います。防風意映(ぼうふういいえい)への婚約解消を申し出る場面は、璟の誠実さが伝わってくる一方、意映の無言の退場は、彼女の心中の動揺を想像させ、今後の波乱を予感させます。

相柳(そうりゅう)と玟小六の関係性も、この回でさらに深まります。金欠で困る相柳を助けようとする玟小六の優しさ、そしてプライドからそれを拒む相柳の複雑な心情が丁寧に描かれています。互いに惹かれ合いながらも、素直になれない二人のもどかしさが、見ている側の心を掴みます。特に、武器屋での偶然の出会い、そして相柳が玟小六に弓術を教えるシーンは、二人の親密さを象徴する印象的な場面でした。

しかし、玟小六の軽率な行動によって、二人の間に亀裂が生じてしまいます。相柳の怒りは、玟小六への深い愛情の裏返しであり、だからこそ、彼の悲しげな表情がより一層胸を締め付けます。玟小六自身も深く仮省し、和解を試みますが、相柳の心には深い傷が残ってしまいます。

つづく