辰栄山の頂で、瑲玹(そうげん)は一人、玟小六(びんしょうりく)との約束を重荷に感じ、彼女の安全を案じて眠れずにいた。そこで、親友の⾚⽔豊隆(せきすいほうりゅう)(せきすいほうりゅう)に辰栄に留まり、玟小六(びんしょうりく)を守ってくれるよう頼む。豊隆は快諾し、二人の強い絆が垣間見える。

一方、皓翎の宮では、瑲玹(そうげん)からの手紙で喜んでいた阿念(あんねん)が、彼が辰栄馨(しんえいけい)悦(しんえい けいえつ)と縁談を進めていると知り、深く傷つく。しかし、皓翎(こうれい)王の励ましもあり、気持ちを切り替え、蓐収(じゅくしゅう)に縁談を頼むことにする。

賑やかな歌舞街では、相柳(そうりゅう)が玟小六(びんしょうりく)を担保に、塗⼭璟(とざんけい)に荷物の運搬を依頼する。商人である塗⼭璟(とざんけい)は、相柳(そうりゅう)が防風邶(ぼうふうほく)として玟小六(びんしょうりく)に弓術を教えた恩を思い、難しい依頼を引き受ける。

玟小六(びんしょうりく)は、塗⼭璟(とざんけい)が琴を弾くことで心の傷を癒せるよう励ます。彼女の支えもあり、塗⼭璟(とざんけい)の琴の音は以前の輝きを取り戻し、二人は音楽を通して心を通わせる。偶然通りかかった静夜(せいよ)は、二人の穏やかな様子に安堵する。

二人の仲は深まり、共に琴を弾き、酒を酌み交わし、楽しい時間を過ごす。しかし、辰栄馨(しんえいけい)悦(しんえい けいえつ)の鋭さに気づいた玟小六(びんしょうりく)は、塗⼭璟(とざんけい)に簡単な曲を教わり、練習する。馨悦と豊隆は彼女の演奏を聞いて笑うが、玟小六は楽しんでいる。

年末が近づき、塗⼭璟(とざんけい)は一族の祭祀のため帰郷することに。別れを惜しむ二人は、互いの気持ちを確かめ合い、静かに別れの言葉を交わす。塗⼭璟(とざんけい)は玟小六に愛のこもった手紙をそっと渡す。

新年、辰栄の屋敷は賑やかで、玟小六は瑲玹(そうげん)、豊隆兄妹と共に楽しい時を過ごす。一方、皓翎(こうれい)王の祝宴とは対照的に、西炎(せいえん)王は孤独に過ごしている。塗山家は賑やかだが、塗⼭璟(とざんけい)は玟小六を想い、一人寂しく過ごしている。辰栄の軍隊は篝火を囲み、相柳(そうりゅう)は一人で酒を飲み、思い悩んでいる。

五王(ごおう)と七王(しちおう)は瑲玹(そうげん)に対抗するため密談し、そこで長年隠されてきた秘密が明らかになる。辰栄馨(しんえいけい)悦(しんえい けいえつ)は玟小六を梅見に誘う。美しい梅の花に囲まれ、玟小六は瑲玹(そうげん)とこの景色を一緒に見たいと願う。しかし、突然の静寂が梅林を包み、玟小六は自分が陣に閉じ込められていることに気づく。危険が迫り、新たな試練が始まろうとしていた。

第29話の感想

第29話は、様々な登場人物の心情が繊細に描かれ、今後の展開への期待が高まるエピソードでした。瑲玹(そうげん)は、玟小六への想いと王としての責任の間で揺れ動き、その苦悩が伝わってきました。親友である⾚⽔豊隆(せきすいほうりゅう)(せきすいほうりゅう)に玟小六の護衛を頼むシーンは、彼の深い愛情と責任感を感じさせます。

一方、阿念(あんねん)は、瑲玹(そうげん)と辰栄馨(しんえいけい)悦(しんえい けいえつ)の縁談にショックを受けながらも、父の言葉に励まされ、前向きに新たな一歩を踏み出そうとする姿が印象的でした。恋に破れた悲しみを乗り越えようとする彼女の強さに共感しました。

また、相柳(そうりゅう)と塗⼭璟(とざんけい)の取引シーンは、緊張感がありました。玟小六を担保にするという大胆な行動に出た相柳(そうりゅう)の真意が気になります。塗⼭璟(とざんけい)は、商売人としての立場と玟小六への恩義の間で葛藤しながらも、最終的には相柳(そうりゅう)の依頼を引き受ける決断をします。彼の優しさと苦悩が見て取れました。

つづく