瑲玹(そうげん)は相柳(そうりゅう)からの知らせで小夭(しょうよう)こと玟小六(びんしょうりく)の無事を確認し、安堵する。一方、塗⼭璟(とざんけい)は療養のため帰墟へ送られるが、病状は悪化し辰栄の屋敷へ戻される。
禺疆(うきょう)は瑲玹(そうげん)への闇殺に失敗するも、罰せられるどころか瑲玹(そうげん)の寛大な処置と兄・玄庭(げんてい)が残した過酷な刑罰を目の当たりにし、復讐の意義に疑問を抱き始める。⾚⽔豊隆(せきすいほうりゅう)(せきすいほうりゅう)は瑲玹(そうげん)の深謀遠慮と小夭(しょうよう)への深い愛情に感嘆する。
相柳(そうりゅう)は昏睡状態の小夭(しょうよう)を献身的に看病し、自身の過酷な過去、奴隷からの脱出、極寒の地での修行、義父・洪江(こうこう)との出会い、辰栄軍への入隊などを語る。小夭(しょうよう)は意識のないまま、相柳(そうりゅう)の物語に耳を傾ける。相柳(そうりゅう)は小夭(しょうよう)のために幻術で雪を降らせ、鮫人の求愛の歌を聞かせ、彼女を癒そうとする。
37年後、辰栄山は鳳凰花で彩られる。瑲玹(そうげん)は小夭(しょうよう)への想いを募らせ、塗⼭璟(とざんけい)の病状は依然として重い。相柳(そうりゅう)は瑲玹(そうげん)に戦死した兵士たちの墓地として辰栄山の峰の一つを下賜してほしいと願い出る。これは小夭への最後の頼みであり、彼女に負担をかけたくないという思いからの行動だった。
最後の別れの時、相柳(そうりゅう)はいつもより饒舌になり、小夭も微かに異変を感じる。小夭が意識を取り戻すと、すっかり回復していた。相柳に会いたいと願うが、毛球(もうきゅう)に連れられて帰るように言われる。
小夭の帰還を知った瑲玹(そうげん)は入念な準備をする。辰栄の屋敷に戻った小夭は静夜(せいよ)から塗⼭璟(とざんけい)の自暴自棄な行動を聞き、彼を守る決意を新たにする。献身的な介護により、塗⼭璟(とざんけい)は生きる希望を取り戻す。
瑲玹(そうげん)は辰栄の屋敷を訪れ、塗⼭璟(とざんけい)の傍らにいる小夭の姿を見て、感極まり涙を流す。長年の待ち望んだ再会を果たし、三人の複雑な想いが交錯する。
第32話の感想
第32話は、登場人物それぞれの想いが交錯し、感動と切なさが胸に迫るエピソードでした。特に相柳の深い愛情と自己犠牲には、涙が止まりませんでした。37年間、小夭が昏睡している間、常に寄り添い、自分の辛い過去を語り聞かせ、美しい景色を見せて励まし続けたその姿は、まさに献身そのもの。小夭への最後の頼みである戦没者のための墓地の提供も、彼女に負担をかけたくないという純粋な愛ゆえの行動でした。最後の別れの時、饒舌になる相柳の言動には、小夭への溢れる想いと別れを受け入れなければならない苦しみが込められており、見ているこちらも胸が締め付けられました。
一方、瑲玹(そうげん)の深い愛情と忍耐も印象的でした。小夭の無事を確認した安堵、そして再会時の感涙は、長年の待ち望んだ瞬間がどれほど大切なものだったかを物語っています。また、塗⼭璟(とざんけい)の苦悩と小夭の献身的な介護によって、二人の絆がより深まったことも感動的でした。
つづく