別れの後、瑲玹(そうげん)は玟小六(びんしょうりく)を紫金宮へ優しく背負って帰った。表面上は明るく振る舞う玟小六(びんしょうりく)だが、瑲玹(そうげん)はその奥底に隠された深い悲しみを感じ取っていた。塗⼭璟(とざんけい)との別れを受け入れようとするも、忘れられてしまった事実に苦悩する玟小六(びんしょうりく)。その複雑な心境は瑲玹(そうげん)の胸を締め付け、かつて彼女を守りきれなかった自責の念を新たにした。
一方、病状が悪化する西炎(せいえん)王は、後継者を決める時が来たと悟る。辰栄山の祭祀を西炎(せいえん)王徳岩に一任し、その重要性を闇に示唆する。西炎(せいえん)王徳岩はこれを継承の証と受け取り、意気揚々と準備を進め、瑲玹(そうげん)たちを巧みに遠ざける。
そんな中、⾚⽔豊隆(せきすいほうりゅう)(せきすいほうりゅう)は辰栄馨(しんえいけい)悦(しんえい けいえつ)の名を借り、玟小六(びんしょうりく)に求婚する。中原における赤水氏の地位強化と瑲玹(そうげん)への支援、そして玟小六(びんしょうりく)への純粋な好意を理由に、一生涯を共にすると誓う。その誠実さに心を動かされた玟小六(びんしょうりく)は、返事を保留にする。
西炎(せいえん)王徳岩が次期王に指名されるという噂が広まり、辰栄山は西炎(せいえん)王の軍勢に包囲される。瑲玹(そうげん)にとって非常に不利な状況の中、玟小六(びんしょうりく)は辰栄馨(しんえいけい)悦(しんえい けいえつ)と再会する。価た境遇ながらも異なる人生を選んだ二人。玟小六(びんしょうりく)の強さと率直さに、辰栄馨(しんえいけい)悦(しんえい けいえつ)は羨望と同時に過去の選択への後悔を覚える。
玟小六(びんしょうりく)と⾚⽔豊隆(せきすいほうりゅう)(せきすいほうりゅう)の婚約を知った瑲玹(そうげん)は、複雑な思いを抱く。玟小六(びんしょうりく)が自分のために幸せを犠牲にすることを望んでいなかった。玟小六(びんしょうりく)は、これが瑲玹(そうげん)のために行う最後のことだと告げ、もはや自身の幸せは求めていないと語る。塗⼭璟(とざんけい)もまた、この知らせに心を痛めながらも、玟小六(びんしょうりく)にとって最良の選択だと理解する。玟小六を愛する二人の男は、運命のいたずらにより清水(せいすい)鎮で偶然出会う。それぞれの胸に様々な感情が去来する。
婚約式は滞りなく執り行われ、⾚⽔豊隆(せきすいほうりゅう)(せきすいほうりゅう)は赤水族長に就任し、瑲玹(そうげん)への支持を表明する。中原の各大氏族の支持を取り付け、彼らは西炎(せいえん)王に瑲玹(そうげん)を後継者とするよう嘆願する。しかし、西炎(せいえん)王は予想に仮し、瑲玹(そうげん)を次期西炎(せいえん)王に指名する。この決定は五王(ごおう)と七王(しちおう)をはじめ、在場の全員を驚愕させる。
西炎(せいえん)王は自ら瑲玹(そうげん)に王冠を授ける。祖父を見つめる瑲玹(そうげん)の目に涙が光る。西炎(せいえん)王は、国の繁栄には新たな力が必要であり、瑲玹(そうげん)こそが西炎(せいえん)王を未来へ導く人物だと確信していた。玟小六は手にした弓矢を静かに下ろす。いざという時は兵を起こす覚悟だったが、もはやその必要はないと悟ったのだ。
新王と西炎(せいえん)王は並んで階段を降りる。西炎(せいえん)王は玟小六の知略と勇気を称賛し、自身の選択に満足する。臣下の新王への跪拝の声が響き渡る中、西炎(せいえん)王は未来への希望に胸を膨らませる。玟小六もまた、かつてないほどの安堵と喜びを感じていた。瑲玹(そうげん)の治世によって、西炎(せいえん)王国がより輝かしい未来を迎えることを確信していた。
第39話の感想
第39話は、これまでの様々な伏線が回収され、大きな感動と興奮をもたらす、まさにクライマックスと言えるエピソードでした。特に、西炎(せいえん)王の瑲玹(そうげん)への王位継承の決定は、誰もが予想し得ない展開で、物語全体に衝撃を与えました。西炎(せいえん)王の深い洞察力と、国の未来を見拠えた決断には感服させられます。
玟小六の複雑な心情も丁寧に描かれており、彼女が瑲玹(そうげん)のために自身の幸せを犠牲にする覚悟には胸が締め付けられました。⾚⽔豊隆(せきすいほうりゅう)(せきすいほうりゅう)の誠実な求婚、そして塗⼭璟(とざんけい)の静かな諦念も、玟小六への深い愛情を感じさせ、切なさを増幅させています。
また、西炎(せいえん)王徳岩の野望と、それを利用する西炎(せいえん)王の老獪さも印象的でした。西炎(せいえん)王徳岩の浅はかさと、西炎(せいえん)王の深謀遠慮のコントラストが、物語に緊張感を与えています。