玟小六(びんしょうりく)と葉十七(ようじゅうしち)は帰路につく。玟小六(びんしょうりく)の心は複雑だった。葉十七(ようじゅうしち)の無鉄砲さに腹を立てつつも、温かさを感じていた。しかし、金儲けどころか相柳(そうりゅう)に目をつけられたことで、今後の不安は募るばかり。老木(ろうぼく)たちを心配させまいと、玟小六(びんしょうりく)は葉十七(ようじゅうしち)に口止めをする。翌朝、葉十七(ようじゅうしち)は玟小六(びんしょうりく)の傷の手当てをし、一人で山に入り貴重な霊草を二本採ってきて麻子(マーズ)の結婚に光明をもたらす。

老木(ろうぼく)たちの尽力により、麻子(マーズ)と肉屋の娘、春桃(はるもも)の結婚式が盛大に行われる。戦争孤児だった麻子(マーズ)は玟小六(びんしょうりく)に育てられ、彼女を実の母のように慕っていた。祝宴の最中、塵一つついていない白い衣をまとった相柳(そうりゅう)が回春堂に現れる。場の空気は一気に重くなる。玟小六(びんしょうりく)は笑顔を作って相柳(そうりゅう)を奥に招き入れるが、内心は警戒と軽蔑でいっぱいだった。相柳(そうりゅう)は神族である玟小六(びんしょうりく)がなぜ儚い人間界の生活にこだわるのか理解できない。玟小六(びんしょうりく)は言葉ではなく行動で、毒を盛ろうとすることで、その意思と抵抗を示す。しかし、相柳(そうりゅう)には全く効果がなかった。

一方、瑲玹(そうげん)は内通者からの密告を受け、老桑(ろうそう)を山に派遣する。万が一に備えてのことだった。時を同じくして、阿念(あんねん)は春桃(はるもも)と些細なことで口論になり、麻子(マーズ)にまで矛先を向ける。麻子(マーズ)は体が大きいものの温厚な性格で、今回の怪我で老木(ろうぼく)と串子(チュアンズ)は憤慨し、仕返しに出かける。しかし、清水(せいすい)鎮の掟は残酷で、二人は返り討ちに遭い、面子を失ってしまう。玟小六(びんしょうりく)が機転を利かせて事態を収拾するが、彼女の中の激しい怒りはなかなか収まらなかった。

夜、玟小六(びんしょうりく)は葉十七(ようじゅうしち)に自分の過去を語る。自分は善人ではない、数々の殺戮を経験してきたため、挑発されるとまた戦いたくなる衝動に駆られる、と。葉十七(ようじゅうしち)は彼女の側にいると約束するが、海棠(かいどう)が毒に侵され、阿念(あんねん)と瑲玹(そうげん)が解毒剤を求めてきた時、葉十七(ようじゅうしち)は姿を消してしまう。玟小六(びんしょうりく)は一人で強敵に立ち向かうことになる。瑲玹(そうげん)は玟小六(びんしょうりく)の実力を誤解し、彼女を倒してしまうが、すぐに後悔し謝罪する。阿念(あんねん)の横柄な態度に、玟小六は葉十七(ようじゅうしち)への失望を深め、相柳(そうりゅう)と共に清水(せいすい)鎮を去る。天地の間で静寂を求め、自分自身と向き合うためだった。

この経験を通して、玟小六はこの予測不能で危険な世界では、自分自身を頼る以外に生き残る術はないと悟る。誰かに頼ることを諦め、どんなに険しい道であっても、自分の道を進んでいく決意を固めるのだった。

第4話 感想

第4話は、玟小六の複雑な心情と、彼女を取り巻く人間関係の難しさが描かれた、非常に印象的なエピソードでした。前半は麻子(マーズ)の結婚式という喜ばしい出来事がある一方で、不穏な影を落とす相柳(そうりゅう)の登場、そして阿念(あんねん)と春桃(はるもも)の些細な諍いが、清水(せいすい)鎮の危うい均衡を闇示しているように感じました。

特に印象的だったのは、玟小六の心の葛藤です。葉十七(ようじゅうしち)への複雑な感情、相柳(そうりゅう)への警戒心と軽蔑、麻子(マーズ)への深い愛情、そして自分自身の過去への苦悩。これらの感情が入り混じり、彼女の不安定な精神状態を際立たせています。表面上は明るく振る舞っていても、内心では常に緊張感を抱えている玟小六の姿に、胸が締め付けられるようでした。

また、葉十七(ようじゅうしち)の行動にも注目すべき点があります。玟小六への献身的な姿を見せる一方で、肝心な場面で姿を消してしまうという、謎めいた行動。彼の真意はどこにあるのか、今後の展開が非常に気になります。

そして、相柳(そうりゅう)の存在感も圧倒的でした。白装束で現れ、静かに玟小六の本質を見透かすような物言いは、単なる敵役以上の存在感を示唆しています。彼が玟小六に何を求めているのか、二人の関係がどのように変化していくのか、今後の展開が楽しみです。

つづく