2000年の元旦の夜、林祥(リン・シアン)は王萍に不動産売却と立ち退きについて報告していた。そこに、酔っ払った厳紅橋(ヤン・ホンチアオ)が乱入し、林祥(リン・シアン)が王萍を「ピンピン」と呼ぶのを気に食わず、いきなり平手打ちを食らわせる。王萍が止めに入るも、厳紅橋(ヤン・ホンチアオ)は以前王萍の大学の卒業証書を買ってやったことを持ち出し、王萍はついに堪忍袋の緒が切れ、離婚を切り出す。
時は流れ、2005年12月30日。劉(リウ)局長と関宇(グァン・ユー)は局内で部下に王萍逮捕の指示を出していた。その時、関宇(グァン・ユー)は楊四(ヤン・スー)が逃亡したとの連絡を受ける。王萍の行方を探るため、楊四(ヤン・スー)は張松北(ジャン・ソンベイ)を訪ね、王萍が逃げるなら洪兵(ホン・ビン)ルートを使うだろうと聞く。大振りの包丁を手に、楊雪松(ヤン・シュエソン)の車を奪った楊四(ヤン・スー)は採炭工場へ向かい、7人をなぎ倒す。その後、洪兵(ホン・ビン)がようやく姿を現す。
一方、匯寧大学瀾河校区の起工式が行われていた。徐長慶(シュー・チャンチン)は式典に駆けつけるも、王萍の姿は見当たらない。洪兵(ホン・ビン)は楊四(ヤン・スー)に、王萍を逃がす約束だったが現れなかったと伝える。楊四(ヤン・スー)は式典の車列を見つけ、後を追うが王萍は見つからない。式典会場の向かいにあった瀾河県化肥工場に車を乗り入れた楊四(ヤン・スー)。その時、王萍は化肥工場の講堂の舞台で、誰もいない客席に向かって自らの経歴と野望を語っていた。瀾河でこそ自分の才能を発揮できると信じ、瀾河を故郷と思い開発に執著していたのだ。
起工式会場で楊四(ヤン・スー)の車が化肥工場から出て来るのを見た関宇(グァン・ユー)は、すぐさま追跡を開始する。窮地に陥った王萍は、楊雪松(ヤン・シュエソン)に厳紅橋(ヤン・ホンチアオ)の身代わりになるよう説得し、幸福小区のマンションを与える約束をする。しかし楊雪松(ヤン・シュエソン)は、そのマンションは楊四(ヤン・スー)のために取っておいたものだと答える。関宇(グァン・ユー)たちは必死に追跡するも、市民の安全を考慮し、楊四(ヤン・スー)を見失ってしまう。
レンタカー会社に連絡を取った関宇(グァン・ユー)は、楊四(ヤン・スー)が河沿に向かったと推測し、直ちに人員を派遣する。案の定、河沿の氷上で、楊四(ヤン・スー)が氷に穴を開けているのを発見する。彼は手足を縛られた王萍を穴に落とそうとしていた。以前、王萍に借金をして恩を売った劉建剛(リウ・ジエンガン)を襲った楊四(ヤン・スー)。今度は、張松北(ジャン・ソンベイ)から受け取った2万元を王萍のポケットに詰め込み、「金輪際、お前とは縁を切る」と言い放ち、王萍を氷の穴に引きずり込もうとする。
その時、関宇(グァン・ユー)たちが到著する。複数の銃口が向けられるも、楊四はひるまず王萍を引きずり続ける。脚を撃たれてもなお、楊四は関宇(グァン・ユー)の言葉を信じようとしない。そこで関宇(グァン・ユー)は、身代わりになる前に楊雪松(ヤン・シュエソン)が録画したビデオを見せる。ビデオの中で楊雪松(ヤン・シュエソン)は、楊四が実の父親だと知っていたこと、成功すれば幸福小区に家を買い、一緒に暮らしたいと思っていたことを伝える。「お父さん」と呼びかける楊雪松(ヤン・シュエソン)の声に、楊四はついに心を揺さぶられる。
最終回 第12話 感想
「沈黙の凍土」最終回、第12話は、息詰まる展開と登場人物たちの複雑な感情が交錯する、見応えのあるエピソードでした。特に、楊四の壮絶な最期は、視聴者の心に深く刻まれることでしょう。
物語は、2000年の元旦から2005年へと時間軸を巧みに移動させながら、王萍と彼女を取り巻く人々の運命を描き出します。過去の出来事と現在の状況が交差し、登場人物たちの行動の動機が徐々に明らかになっていく構成は見事でした。
王萍の野心と執念、そしてその裏にある孤独。厳紅橋(ヤン・ホンチアオ)の歪んだ愛情表現。林祥(リン・シアン)の王萍への想いと、それゆえの嫉妬。それぞれのキャラクターが抱える葛藤が丁寧に描かれ、共感と仮発が入り混じる複雑な感情を抱かせます。
中でも印象的なのは、楊四というキャラクターです。彼は粗暴で冷酷な一面を見せながらも、息子である楊雪松(ヤン・シュエソン)への深い愛情を秘めていました。楊雪松(ヤン・シュエソン)のビデオメッセージによって、彼の心の奥底に眠っていた父性が呼び覚まされるシーンは、涙なしには見られません。
最終的に、楊四は自らの罪を償うことなく、氷上で息絶えます。彼の最期は悲劇的ですが、同時に、人間の中に潜む善性と悪性、愛と憎しみの複雑さを改めて考えさせられるものでした。